回答一覧 - 不育症・流産・子宮外妊娠・陽性判定後 No.3 -
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 他院で19週の時に破水し死産しました。原因は感染症との事でした。担当医には、「おそらく初期に感染していたのでしょう。防ぎようがありませんでした。」と言われました。
 でも、13週で血液検査した時には、異常はありませんでした。17週頃から緑色のおりものがあり、その後出血がみられましたので、病院に行きましたが、消毒しただけで他の処置はありませんでした。
 感染症を起こしたら流産は防ぎようがないのでしょうか?次回、また妊娠しても、何かに感染したら流産する可能性は高いのですか?

 お話から察するに、「絨毛膜羊膜炎」からの破水と思われます。膣内の細菌培養やクラミジア検査をして下さい。陽性の場合には、妊娠前に治療されるようお勧めします。妊娠初期にも再度検査をして、必要に応じて治療を行って下さい(膣錠、内服、点滴など)。
 膣内に多少の雑菌がいても必ずしも流産に繋がるわけではなく、子宮の入り口(頚管の部分)には、細菌の侵入を防ぐためのバリア機能があります。もしかしたら、その部分の働きに問題があるのかもしれません。そのような場合、次回の妊娠では妊娠14週頃に予防的に子宮頚管部を縫縮するシロッカー式手術を行うこともあります。[2006年8月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:4回 人工授精:4回 体外受精:2回
 移植後14目に妊娠判定の予定でしたが、10日目に生理と思われる出血を認めました。念のため、判定日(14日目)に受診すると尿検査で薄く陽性が出ました。先生は、マークが薄いので、妊娠の継続は難しいだろうとの事で、黄体ホルモンの補充も中止となりました。化学流産はよくおこると聞いていたのですが、インターネットなどでみていると、出血をしていても妊娠の継続ができている方もいらっしゃって、もしかしたら私も継続できていたのかも?という思いで、安易にあきらめてしまったことに、後悔しています。あの時、あきらめずにホルモン補充をつづけ、安静にしておくべきだったのか、今更ながら、思わずにいられません。私の場合は、明らかに出血も多く、判定マークも薄かったために、どうしようもなかったのでしょうか?今後のために、教えて下さい。

 一般に流産の大半は胎児側の原因(偶発的に起こる染色体異常)であり、それは避けることのできない流産です。したがって医学的に結論を言えば、残念ですが、もしも特殊な対応をしていたとしても同様の結果となっていた可能性が高いと思います。性器出血はあっても妊娠継続している方も多くいますが、この場合は、根本的な出血原因が異なっていると考えられます。
 妊娠した時点で、すでに潜在的には流産が避けられないケースも多いのです。ただ、中には夫婦や妻の側に原因があって流産を繰り返す「不育症」の場合もありますので、流産を2回以上繰り返す場合には検査(や治療)が必要だと思います。[2006年7月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:8回 体外受精:5回
 グレードの良い胚で3日目、5日目戻しの体外受精(IVF)をしても一度も着床したことがなく、主治医からは着床障害があるのかもといわれています。多嚢胞性卵巣ではなく、どちらかといえば卵子があまり育ちにくいほうです。糖尿病の治療薬であるアクトスやメルビンが着床にも効果があると聞いたことがあるのですが、臨床結果がわからず、また副作用もあるのか心配なので、詳しく教えていただけませんでしょうか?

 無月経、多毛、肥満、卵巣の腫大を認める病態に多嚢胞性卵巣(PCO)という病態があります。この原因は、未だに明らかではありませんが、強い排卵障害を認め、インスリン抵抗性を合併することが注目されています。
 インスリン抵抗性と伴う高インスリン血症は、糖尿病、肥満、高血圧、脂質代謝異常を引き起こし、これらはメタボリックシンドロームとして知られています。このように不妊症の原因の一部にインスリン抵抗性を伴った糖代謝も関与することから、古くから糖尿病の治療薬として使用されているメトホルミン(メルビン)や、インスリン抵抗性改善薬として作られたビオグリタゾン(アクトス)等の薬剤が、PCOに対しても臨床的使用が試みられています。
 これらのお薬は、作用機序が異なり、注意して使用しなければなりません。作用が緩徐であり、安全性の面からはメルビンの方が良いようです。もちろん、副作用も無いわけではありませんので注意して使う必要があります。
 実際の使用例としては、多嚢胞性卵巣(PCO)が基礎にある排卵障害の方に効果があるのですが、まだまだ一般的ではありませんし、今のところ、着床に効果があるという実績はありません。従って卵子があまり育ちにくい人や、また着床障害のある人へ使う薬とはいえません。
 卵子を育てるには卵巣刺激の方法を考えてゆくことが先決ですし、着床障害があれば、着床しやすいような胚と子宮内膜の状態を作り出し、胚移植のタイミングを一番良い状態にしておくといったことの方がより重要であると思います。[2006年7月1日]
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:6回
 先日8週で流産しました。現在、凍結胚が残っているのですが、流産した周期の凍結胚なので、戻してもまた流産するのではないかと不安に思っていますが、どうでしょうか?
 また、これまでに、凍結胚移植を2回しましたが、2回とも妊娠には至りませんでした。そういった場合、凍結胚移植には向かないということでしょうか?

 凍結した胚は、それぞれ内容が異なりますので、前回流産をしたとしても、次も流産する可能性は高くはなりません。戻されて結構だと思います。但し、流産が2回以上になった場合には、不育症の検査をされることをお勧め致します。[2006年7月1日]
(院長:田中温)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 これまでに初期流産を2回経験しました。もう2度とこんな悲しい思いはしたくはありません。
 セントマザーで治療をしていた知人が妊娠したときに、流産予防の注射を週1回していたと聞きました。具体的にどのような注射なのか、効果はどうかなど具体的に教えていただけませんか?その注射をすれば、流産をしないですむのでしょうか?また、希望すれば、妊娠がわかった時点でその注射をしていただけるのでしょうか?

 HCGの注射だと思いますが、この注射によって流産を防げる可能性はさほど高くはありません。
 流産の大半は「避けることのできない胎児側の原因」が関与しています。流産を繰り返す「不育症」の場合には、妻や夫あるいは夫婦間に原因が潜んでいることも多いので、そのための検査や治療が必要となります。[2006年7月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:29 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:10回 体外受精:5回
 5回目の体外受精で妊娠反応が出たのですが、初期流産しました。これまでに子宮外妊娠を2回しています。
 次回に備えて流産の血液検査をした結果、何項目かのうち、抗カルジオピリン抗体(igm)の項目でひっかかりました。わたしの数値は10なのですが、これがどのようなものなのか詳しく教えてください。それから、治療方法も教えてください。お願いします。

 2回の子宮外妊娠と流産の原因は別のものと考えてもよいだろうと思います。 「抗リン脂質抗体症候群」という自己免疫異常によって流産を繰り返す人がいます。「抗カルジオピリン抗体(igm)」もその診断のための検査の1つです。他に「ループスアンチコアグラント」「抗CLβ2GPI抗体」「抗フォスファチジルエタノールアミン抗体(IgG,IgM)」「抗フォスファチジルセリン抗体(IgG,IgM)」など多くの検査項目が挙げられます。(多くは自費となります。)
 抗リン脂質抗体症候群による不育症では、胎児とつながっている微小血管内に血栓ができて血液障害が起こり、子宮内胎児死亡が起こるといわれています。
 治療方法については、数年ごとに変化しており、低用量アスピリン療法、(プレドニゾロンなどの)ステロイド療法、柴苓湯による漢方療法などが挙げられますが、現在では、専門医グループでは、低用量アスピリン療法とヘパリン療法(連日の皮下注射)の併用が推奨されています。しかし今後数年のうちにまた国内の専門医の考え方が変化することも十分あると思います。[2006年6月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:8回 人工授精:0回 体外受精:0回
 妊娠6週目、7週目と心拍確認できて順調だったのに、8週目に心拍停止で稽留流産をしました。心拍が確認できたら流産率は下がると聞いており、安心した矢先の出来事でしたので、とてもショックです。流産は、年齢も関係があるのでしょうか?早くまた妊娠したいのですが、また同じ事になるのではないかと不安で、次の妊娠に踏み込めません。アドバイスをお願いします。

 確かに児心拍を確認できたことは、1つのハードルを越えたといえますが、たとえ児心拍が確認できたとしても12週くらいまでは流産しやすい期間です。また、女性の年齢とともに、卵子の染色体異常が起こる率が徐々に高まり、流産率はやや上昇します。この原因に対しては、特別な治療法はありません。
 一般のカップルでも10%以上の流産率はあるといわれていますし、その大半は胎児側の原因ですから、避けられません。まだ1回の流産なのであれば、次に元気な赤ちゃんができる可能性は充分ありますのでがんばりましょう。
 このようなたまたまの流産が2回続く可能性もあります。ただ、なかには御夫婦のいずれか、あるいは御夫婦同士の間に流産の原因が存在する「不育症」の場合もあります。不育症の原因は様々で、また今日の医療レベルでも、原因を特定できないことも多いのが現実です。不育症の原因や治療法についてはWebサイトでも説明していますので参考にしてください。[2006年6月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:29 基礎体温:不明 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 2年前、第1子を帝王切開で出産しました。出血量が多かったそうですが、幸い輸血はせずにすみました。
 そろそろ第2子をと思っているのですが、なかなか妊娠しません。帝王切開をすると、癒着などで不妊になることがあると聞きましたが、本当でしょうか?どうすればいいのでしょうか?

 手術の際の出血量が多いと、種々な止血処置を行いますし、手術時間も延長します。その場合、癒着が起こることもあります。帝王切開ばかりでなく、開腹手術でも開腹してからの手術操作の状況で癒着が起こることもあります。しかし、癒着のし易さやその程度は個人差が大きいと言われていますし、例外も多くあります。
 帝王切開後の第2子希望ですので、まず子宮卵管造影検査を行うことをおすすめします。術後癒着から卵管の閉塞が起こっているかどうかが判定できます。特に問題が無ければ、タイミング法など通常の治療から開始しても構わないと思います。もし卵管が閉じていたり、狭くなっていたら通水治療を行ってみて下さい。通水治療後、子宮卵管造影の再検査を行い、スムーズに通るようになったかを確認されてみて下さい。[2006年6月1日]
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:2回 体外受精:14回
 セントマザーでもヘパリン治療を始めたと聞きました。インターネットなどでは「1日2回の自己注射で定期的な血液検査による管理が必要」とありますが、セントマザーでは1日1回聞いています。その違いは何でしょうか?また定期的な血液検査などはないのでしょうか?また、遠距離通院者でもヘパリン治療を受けることは出来ますか?ヘパリン治療について、詳しく教えてください。

 「抗リン脂質抗体症候群」の診断をする検査で陽性が出た場合、低用量アスピリンに加えて、ヘパリン投与を併用します。しかし、妊娠の期間中、毎日の投与となりますので、患者さんは通院が大変です。
 当院では患者さん御自身による自己注射は行っておりませんので、通院可能な方を対象としています。しかし、12時間おき、1日2回の皮下注射は、現実的に難しいため、1日1回(5000単位)としています。投与期間中は、出血傾向の検査も行います。[2006年6月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:30 基礎体温:不明 生理周期:不明 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 妊娠25週で残念ながら死産になり、帝王切開をしました。帝王切開後、母乳を止める薬を飲みました。その後、約2ヶ月がたちましたが、いまだ生理がありません。通常はどのくらで生理が再開するのでしょうか?
 生理がこないので、どこかに問題があるではないかと不安でいっぱいです。治療が必要でしょうか?

 死産の精神的および肉体的ストレスから排卵が起こりにくくなっている可能性もありますが、ひとまず基礎体温をつけた上で近医を受診して下さい。卵巣の状態も経膣超音波検査でみてもらって下さい。[2006年5月4日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:1回 体外受精:0回
 過去に、死産1回、初期流産(心拍確認後)を2回経験しています。次回の妊娠時にはアスピリン療法を薦められました。アスピリンによる胎児への悪影響(奇形誘発など)などは心配しなくてもよいのでしょうか?

 流産を繰り返す多数の妊婦さんが世界中でこの薬(低用量アスピリン)を使用しています。もし催奇形性があれば、当然すぐに使用禁止の指示が世界中に出されているはずです。胎児への影響についての心配はありません。[2006年5月4日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:29 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:2回 体外受精:0回
 これまでに2回流産しています。染色体の検査など全て異常なしで、リンパ球移植をすすめられています。
 私は極度の便秘症で、19歳の頃から市販の漢方の便秘薬を服用しており、便秘薬を服用しないと便が出ない状況です。
 便秘薬の使用上の注意で、「妊娠の可能性のある人・妊娠している人は服用しないで下さい」との記述があります。妊娠した時には、産婦人科にて便秘薬の処方を受けましたが、その便秘薬では排便しませんでした。他の病院で便秘薬の服用と妊娠は関係がないと言われたことがあるので、現在も気にせずに服用を続けています。実際、便秘薬の服用と流産は関係があるのでしょうか?

 便秘薬、下剤は多くの種類があり、ほとんどの薬剤がそうですが、下剤にも「妊娠の可能性のある人、妊娠している人は服用しないで下さい」との記述があります。しかし一般的には腸内容物を軟化し、排泄を容易にする薬剤が主体ですので、体内に取り込まれ、妊娠に影響することは少ないといわれています。まして便秘薬で流産となるようなことは非常に強い作用が現れない限り無いといってよいのではないでしょうか。やはり何事にも程度といったものがあるように、産科医が安全と考えて処方した薬剤であれば、問題無いと思います。更に便秘の原因はさまざまで、生活習慣によることも多いので、朝は早く起き、軽く運動し、朝食も取り、冷たい水か牛乳を飲む、野菜や食物繊維を摂り、排便習慣をつけるといった生活習慣にも取り組むことも必要です。[2006年5月15日]
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:7回
 私はセントマザーで5年前に第1子を授けていただき、無事出産することが出来ました。その後、体外受精を何度か失敗をして、流産も経験しましたが、2人目を授かることが出来ました。現在、妊娠8週目で安定期に入っていないので、毎日不安です。さらに、前回の子供が双子で、心拍確認後の稽留流産だったのでとても心配です。長期休暇を利用して、車で近郊に旅行に行く予定なのですが、やはり控えたほうがいいのでしょうか

 普通の妊娠経過の方であれば、妊娠初期でも近所の散歩や近郊の日帰り程度の旅行は問題になることはありません。しかし、あなたの場合は体外受精でやっと妊娠に至っており、また8週目と妊娠初期で、しかも前回、心拍確認後、流産もされていますので、今の時期できるだけ安静をとった方が良いと思います。従って旅行へは行かない方が良いでしょう。[2006年5月15日]
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:4回
 凍結胚移植、ホルモン補充方法にて、3ヶ月前に妊娠しましたが、14週にて死産をしました。多胎妊娠だったこともあり、分娩による流産の処置でしたが、なかなか子供が出てこなかったため、掻爬のような形でかなり痛みを伴う処置をとられました。その後も出血が長期間続き、不安だらけの日々でした。
 自然妊娠はできないので、再度不妊治療をすることになるのですが、そういった場合は、どのくらいの期間が経てば治療を再開しても大丈夫なのでしょうか?今現在2歳半の子供が1人います。なんとか第2子を出産できたら...と考えています。良い方法があればどうか教えてください。また今回多胎妊娠だったのですが、今後の多胎妊娠のリスクも考えた場合にどのような移植方法を考えたらよいでしょうか?

 苦労の末にようやく妊娠できたにもかかわらず、大変残念な結果になってしまい、辛い日々をお過ごしのことと存じます。流産後は、「プロラクチン」という乳汁分泌を促すホルモンが高くなっていることもあるので、「14週」の場合でも薬の処方が必要なことがあります。「流産手術」の後も出血が続くことはよくありますが、必ずしも異常の経過とは限りません。心配であれば、もう一度受診して下さい。一度月経が来たあとに出血がきれいに止まる場合もよくあります。
 不妊治療の再開は、3ヶ月後頃からでよいのではないのでしょうか。ご自身の体調をみながら判断して下さい。また多胎妊娠を避けるためには、「単一胚盤胞移植」という方法も検討してはいかがでしょうか。[2006年4月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 先日、妊娠25週で常位胎盤早期剥離になりました。その後、血液検査をうけると、ループスアンチコアグラント(LAC)が陽性でした。抗リン脂質抗体症候群ということですが、医師からは次に妊娠した場合は小児用バファリンの服用が必要だといわれましたが、これには、どのような効果があるのでしょうか?また、初期から飲むとのことですが、副作用や赤ちゃんへの影響はないのでしょうか?

 「抗リン脂質抗体症候群」の患者の中には、流産を繰り返す以外には、他の自覚症状のない人も多くいます。自己免疫疾患のひとつですが、子宮内の胎盤(絨毛)内の微小血管の中で、血液が固まってしまう異常が起こって流産になってしまいます。妊娠週数が進んでいても、子宮内胎児死亡が起こることがあります。少量のアスピリン(バファリン)を内服し続けることは、血液が凝固しにくくする作用があります。現在に至るまで世界中でかなり多くの妊婦がこの治療を受けていますが、胎児への明らかな異常は報告されていません。
 アスピリンによる母体への副作用としては、かなり稀ですが「アスピリン喘息」があります。薬剤アレルギーや気管支喘息の既往歴がある場合には、注意が必要です。また、28週以降において、非ステロイド性消炎剤の大量投与は、胎児の動脈管を閉塞させて、重篤な状態をまねくことがしばしばありますので、使用は禁止されています。
 またアスピリンのみでは、治療効果が不充分な場合には、低分子ヘパリンなどを妊娠中、連日皮下注射する方法(12時間おき)があります。「柴苓湯」という漢方薬の併用も行われていますし、「プレドニゾロン」というステロイド剤も使われることがあります。[2006年4月17日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:5回 体外受精:0回
 5回目の人工授精(AIH)で妊娠しましたが、25週で常位胎盤早期剥離のため死産でした。また、治療を再開したいのですが、すぐに人工授精をしていただけるのでしょうか?どのくらい期間をおけばよいでしょか?前回のように卵管造影・通水治療をしてからでないと人工授精はしていただけないのでしょうか?

 大変悲しい結果になってしまいましたが、御本人が健康でいらっしゃることは不幸中の幸いだと存じます。分娩後は、「プロラクチン」という乳汁分泌を促すホルモンが高くなるので、それを低下させる薬を内服して、月経を整えます。約3ヶ月後から再治療も可能ではないでしょうか。ご自身の体調をみながら判断して下さい。もともと卵管の通過不良があったのであれば、ひとまず卵管造影検査を受けてみてはいかがでしょうか。[2006年4月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:5回 体外受精:0回
 約1年間、不妊治療を受け、5回目の人工授精(AIH)で待望の第1子を授かりました。ところが、妊娠25週目に常位胎盤早期剥離で死産になってしまいました。おなかの中で赤ちゃんが亡くなっていたので帝王切開でした。
 早く赤ちゃんがほしいので、また不妊治療を再開したいのですが、治療を再開するまでに、どれくらいの期間をあければよいでしょうか?また、次に妊娠したときも、胎盤早期剥離をする可能性が高くなるのでしょうか?気をつけることはありませんか?

 常位胎盤早期剥離は、原因不明のこともありますが、妊娠中毒症が原因であったり、腹部緊満などの早産症状が続いたり、外からの物理的刺激で起こることもあります。このようなこと考えると、妊娠中毒症にならないようにすること、妊娠中は無理をして早産傾向にならないようにすること、また腹部を保護することなどに気をつける事が大事です。また、食生活では塩分を摂り過ぎると、むくみや血圧上昇、尿蛋白が陽性になるなど、妊娠中毒症になりやすい条件が発生します。味は薄く、減塩を守って下さい。子宮を守るという面からは、筋力トレーニングなどで腹筋の力もつけられることも試みて良いかもしれません。また腹帯やガードルも腹部の保護に役立ちます。胎盤早期剥離をくり返すかどうかは、以上の注意を充分守ることができれば、くり返す可能性は少ないと思います。不妊治療再開は、通常の月経が2回程度発来したことを確認されれば、治療再開可能です。気持ちを切り替えて頑張って下さい。[2006年4月1日]
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
年齢:34 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:1回 体外受精:2回
 はじめまして。私は29歳の時に、他院で顕微授精(ICSI)を行い、妊娠・出産しました。2人目が欲しくて、治療を再開し、32歳の時に顕微授精(胚盤胞・アシステッド八チング)で妊娠しましたが、6週目に完全流産しました。また、34歳で凍結胚(胚盤胞・アシステッドハッチング)を移植して妊娠しましたが、7週目で稽留流産しました。
 今回の流産は、卵の質が問題なのでしょうか?私の場合は1度出産したことがあるので、不育症とはみなさないのでしょうか?検査を受けた方がよいか迷っています。

 続発性「反復流産」となります。出産を経験していらっしゃいますし、全く正常なカップルでも、流産が起こる可能性は1割以上の確率でありますので、2回の流産の既往があっても、特に治療の必要はない場合もあります。
 しかし、流産を繰り返す原因が存在している場合もあります。出産歴のない「不育症(習慣流産)」の患者さんと同様の原因が関与している可能性がありますので、ひと通りのスクリーニング検査をしてはいかがでしょうか。
 習慣流産の最も多い原因としては、「胎児の染色体異常(両親の染色体は正常)」があります。これは、たまたま起こった流産で、特に治療の必要はなく、加齢により流産率が増加します。他の原因としては、「抗リン脂質抗体症候群や膠原病などの自己免疫異常」や「同種免疫異常」があげられます。この場合は、治療が必要になります。他に「夫婦いずれかの染色体異常に起因する胎児の染色体異常」「黄体機能不全」「クラミジア・トラコマティス、淋菌、その他の菌による子宮内感染症」「子宮頚管無力症」「子宮奇形」「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「糖尿病」「甲状腺機能障害(亢進症、低下症)」「遺伝子疾患による流産」などが原因として挙げられます。[2006年3月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 こんにちは。これまでに、自然妊娠をしていますが、何度もトラブルが続いています。
 30歳:流産(枯死卵、8週で手術)
 31歳:出産(41週5日発症の重症妊娠中毒症、帝王切開、輸血あり)
 34歳:8月流産(胎嚢確認できず、5週くらい?尿検査で陽性でした)
 34歳:1月流産(7週で心拍確認、9週で心拍なし、手術)
 今回の心拍確認後の流産で不育症かもしれないといわれました。3回繰り返すと習慣性流産と聞きました、私の場合も当てはまるのでしょうか?次回の無事出産できるよう、不育症の検査は必要でしょうか?

 1回出産されていますが、その前後で3回の流産をなさっているので、「続発性の不育症」と考えて良いと思います。「1回の出産」も「重症妊娠中毒症」だったとのことですが、御自身の内科的検査(高血圧、糖尿病、甲状腺疾患、凝固機能、腎機能、自己免疫異常など)を確認しておく必要があると思われます。「原発性不育症(一度も出産していない)」の方と同様に、ひと通りの不育症のスクリーニング検査をなさることをおすすめ致します。また、高齢妊娠は一般に流産の確率が増加します。[2006年3月1日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:42 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:1回 人工授精:4回 体外受精:1回
 こんにちは。不妊治療をして、今回妊娠できました。妊娠3ヶ月までは流産しやすいと聞きます。今2ヶ月過ぎたばかりですが、心拍が確認されるまではやはり運動はしない方がいいのでしょうか?ヨガを週に2回を習っており、身体の曲げ伸ばしや腹筋などが結構多いので少し心配なのですが..。お休みをした方がよいでしょうか?安定期に入れば、また始めてもよいでしょうか?

 妊娠初期は、やはり流産しやすい時期なので、体の曲げ伸ばしや腹筋の多いヨガや激しい運動は、お休みした方がよいと思います。妊娠5ヶ月前後となり、お腹のはりや出血がなくて安定していれば、お散歩や軽い体操、ウォーキングと徐々に負荷をかけていき、体力的に余裕があれば、マタニティビックスやマタニティスイミングをされるとよいでしょう。ただし、大切なことは、運動後には、疲労が残らないようにすることです。疲れが残るなら運動量や時間を制限されて下さい。[2006年2月15日]
(産婦人科医:永吉基)
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