回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.1 -
 体外受精を行っています。いつもより1週間ぐらい遅れて排卵した場合でも、内膜の状態がよければ、凍結卵の戻しをしてもいいのでしょうか?ホルモンの検査などは必要ないのでしょうか?着床率や妊娠率に影響はありませんか?

 排卵が遅れること自体問題はありません。ちゃんとLHサージが起こり、内膜も反応して厚くなっているのであれば一向に構いません。もしも心配ならば、排卵後の血中の黄体ホルモンを測るとより正確になると思います。
(院長:田中温)
 以下のことを雑誌などで読んだのですが、本当でしょうか?これが本当ならば、胚盤胞まで培養してから、凍結した方がいいと思うのですが、違うのでしょうか?
 「胚の凍結・解凍という操作に対する受精卵(胚)の強さは、受精直後の前核状態が一番強く、ついで胚盤胞となる。4〜8分割の胚の場合は一番ダメージを受けやすく、部分融解不全や細胞ダメージなどになることなく、融解に耐えられるのは5割程度・グレードが低くなるほど、凍結に耐えられないことが多い。」

 胚を凍結する時には、胚の中にある水分をすべて脱水させて凍結します。胚盤胞になると胚に含まれる水分の量が4-8細胞に比べ多くなります。全ての水分が脱水されずに凍結すると、完全に蘇生が出来なくなります。
 また細胞の凍結を行う際、細胞が同じような大きさで均等に位置している場合(4-8細胞)に比べ、拡張胚盤胞のように胚の大部分の構造が大きく異なってくる場合には、細胞の凍結が難しくなります。
 ですから、当院では胚凍結が必要な場合には極力胚盤胞に至る前のステージで行っております。当院での胚盤胞での胚の蘇生率は約70%で、4-8細胞期胚での蘇生率は約95%となっています。
(ラボディレクター)
 初めまして。結婚してすぐに赤ちゃんは出来るものと思っておりましたが、1年近くなるのに全然兆候がありません。年齢も次の3月には38歳になりますし、主人の仕事の関係で上海に住んでいるため、時間をかけて不妊治療という訳にいかないので、出来れば最初から「体外受精」を希望しています。
 検査を受けて、先生と相談の上、最初から体外受精ということは可能でしょうか?他に何かよい治療方法はありますでしょうか?
 現在のところ、夫婦揃っての来院は1,2日間しかできません。治療を始められるとしたら、私(妻)は、初診時のから移植までに何回くらい(1回につき何日間くらい)帰国する必要があるのでしょうか?海外で治療を続けることは可能でしょうか?

 文化の異なる外国で生活している方にとって、高度医療を受けられる際には、色々な困難にぶつかることが多いと思いますので、治療の時には帰国された方が良い結果につながると思います。
 海外にお住まいの場合には何度も通院することは時間的に難しいと思いますので、妊娠率が最も高くなる体外受精を選ばれる事は正解です。特にあなたの年齢を考えますとその方が良いと思います。
 御主人は一度来院された時に、精子凍結していただければ、その後来院する必要はございません。ご実家が当院より遠いの場合には、ご実家の近くの病院にて排卵の誘発を行い、当院では採卵と移植を行うことになります。
 移植は採卵後2-5日目までの4日間の有余があります。分割が順調に進んだならば胚一個あたりの着床率は培養日数が長い人より高くなります。しかし、この長期培養は決して万能ではありません。内膜が薄い場合や発育のスピードが遅い場合には、長くおかない方がいい場合もあります。特に内膜が極端に薄い場合には、全て凍結しておいて自然周期に戻す方が妊娠率は間違いなく高くなります。
 しかし、海外で生活されている方は、何度も来院が困難なので、なるべく培養を長くして、桑実期以降で戻されるといいと思います。そうすると、滞在は採卵から約5日間となります。凍結だけの場合には帰国後の滞在は2,3日で結構だと思います。
(院長:田中温)
 前回の治療では8分割を戻せたのに、今回の治療では同じ日にちで4分割までしか進みませんでした。
分割のスピードは、何に関係しているのでしょうか?前回は、戻してから分割が止まってしまったのですが、卵の質と関係があるのでしょうか?どのくらいまで分割した時に戻すのが一番良いのでしょうか。

 卵の分割のスピードは卵の質と深く関係しています。卵の質が良好な場合は分割のスピードは早くなり、一方質が不良な場合には遅くなりますので、質の高い卵が得られるどうかが問題となります。すなわち、良好な分割のスピードを維持する為には、良好な卵子を発育させなければなりません。その為には、あなたにあったベストな排卵誘発法をみつけることが必要となります。
 胚移植は、採卵2-5日目までの4日間が可能となりますが、胚の発育スピードが順調であるならば、5日目の胚盤胞が最も着床率が高くなります。しかし、スピードが少しでも遅くなるようであれば、早く戻した方が着床率は高くなります。
(院長:田中温)
 採卵2日目に4細胞、3日目に8細胞になることが分割の目安になります。分割のスピードは、卵の良し悪しに関係し、速度が遅い卵は妊娠率が低下します。分割卵の戻す時期は採卵2,3日に戻す場合と採卵4,5日(桑実期胚-胚盤胞期胚)に戻す場合がありますが、患者様の治療経過に応じて行なっています。
 分割のスピードが順調な場合は長期培養をしますが、スピードが遅くなってくる場合は排卵2,3日に戻す方が着床率は高くなります。
(産婦人科医:永吉基)
 こんにちは。受精卵を凍結して、解凍すると、分割をしなくなったり、卵にダメージがすごくかかったりすると聞いたことがありますが、本当でしょうか?また、凍結した卵を解凍して、問題なく戻せる確率は、どのくらいあるのでしょうか?そういった受精卵を使っての着床率や妊娠率、出産率を詳しく教えてください。

 受精卵の凍結保存は、卵巣過剰刺激症候群を避けるための全胚凍結、余剰胚の凍結、着床の準備状態が不良な場合の全胚凍結により自然周期に戻すために必要な技術です。しかし、マイナス196℃の液体窒素の中に入れますので、凍結の技術が完全でなければ、受精卵は駄目になってしまいます。
 受精卵凍結の有用性は、誰もが認めるところではありますが、受精卵の凍結の技術が完成されていない施設では、凍結することによる受精卵のダメージは決定的となります。しかしながら、完成された凍結技術のある施設では、受精卵のグレードが良好であるならば、ほぼ100%戻ります。
 ただし凍結する胚のステージによっても、その蘇生率は異なります。4-8細胞までの場合は、ほとんど100%戻りますが、それ以上に分割が進んでしまいますと蘇生率は除々に低下し、特に長期培養後の拡張期の胚盤胞では、その凍結後の蘇生率は、4-8細胞に比べると明らかに低下してしまいます。
 採卵後2日目の4細胞を凍結した場合の妊娠率は、内膜が10mm以上の場合は約70%となり、出産率は50〜60%で、着床率は50%と非常に高くなります。
(院長:田中温)
 現在、体外受精をしています。なかなかうまくいかず、悩んでいるのですが、だいたい何回くらいを目安にすればよいのでしょうか。何回しても上手くいかないときは上手くいかないのでしょうか?どのくらい回数を重ねた時に、他の治療を考えるべきでしょうか?

 回数は個人個人の原因によって異なると思いますが、3-5回が一つの目安と思われます。
 女性側では、1.良好卵が得られるか、2.胚移植に問題はないか、3.黄体期に問題はないかという3点に気をつけてください。
 1.に関しては、GnRHアンタゴニストやpure FSHが登場し、排卵誘発法の種類が増えています。排卵誘発剤の注射でも1,2個しかできない時は、セロフェン等の排卵誘発剤の内服が有効なことがあります。逆に多くできやすい人はGnRHアンタゴニストを使用して10個前後になるように調節しています。
 2.に関しては、内膜が薄い時は長期培養やAssisted Hatchingを行なうのも方法です。子宮内腔にソフトチューブがスムーズに入らない時にはハードチューブを使う技術を要することがあります。また卵管の通りがよければ無理して膣から戻さないでGIFTやZIFTで卵管内に戻すことが妊娠率をあげます。
 3.に関しては、エストロゲン、プロゲステンの内服、HCGの注射、プロゲステロンの注射、エストロゲンの 貼布剤の併用といった方法によって黄体機能の補充を行ないます。従来、黄体期のホルモン補充には黄体ホルモンのみを使用していましたが、エストロゲンを併用すると妊娠率を上昇するという報告もあり、当院ではエストロゲンの内服や貼布剤を使用するようにしています。
 あなたの場合は以上の3点のどこに問題があるのか、主治医にご確認ください。
(産婦人科医:永吉基)
 顕微授精をしてまだ5日しか経ってないのですが、結果が気になって仕方がありません。先生からは、2〜3週間後に近くの病院で診察を受けてくださいと言われましたが、その前に市販の妊娠検査薬で試したいと思っています。何日くらいでで結果が出るものですか?

 顕微授精をして受精卵が子宮内膜に着床して、妊娠ホルモンが分泌されるようになるまでは約2週間かかります。その前に妊娠反応を行なっても陰性に出ることも多いものです。基礎体温を測定され、高温期であることを確認し、胚移植後2週間経過してから妊娠反応を行なってみて下さい。陽性であれば受診してください。陰性であっても高温期であれば妊娠の可能性はありますので病院で詳しく調べてみましょう。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
 私は32歳の女性で、体外受精を受けています。今は、自然採卵をしていますが、卵はいつも2〜3個しか採れません。もう少したくさん卵が採れた方が妊娠しやすくなるのではと思います。排卵誘発剤やアンタゴニスト、アゴニストなどを使用した方がよいのでしょうか。どちらが妊娠しやすいですか?

 若年者で排卵誘発に反応しやすい人は、排卵誘発等の使用をおすすめします。良い卵がたくさん採れれば、排卵誘発周期に戻したり、自然周期に戻すことによって、妊娠のチャンスが増えます。
(産婦人科医:永吉基)
 治療を始めて4年になります。これまでに、体外受精をして、同じ側の卵管に子宮外妊娠を2回繰り返しました。また子宮外妊娠をしてしまうのではないかと思うと、とても不安で、治療にも身が入りません。もう2度と同じことを繰り返したくないのですが、胚移植をするときに、子宮外妊娠をしないようできないのですか?

 卵管開口部を避けるように、胚移植を行ったり、子宮内に注入する培養液を最小限にしたりという工夫は行っていますが、完全に防げるとはいえません。普通、子宮外妊娠をされた方は、再度子宮外妊娠を繰り返すことが多く、その率は10%程度とされています。従って当院では子宮外妊娠の手術時、対側卵管まで十分観察し、問題があればそこで再度子宮外妊娠をしないように、処置を行っています。
(産婦人科医・麻酔医:姫野憲雄)
 セントマザーにて遠隔治療で体外受精をしています。残念ながら、今回は妊娠していませんでしたが、また治療を開始したいと思います。
 そこで、質問があるのですが、再度、近隣の同じ病院で注射をうっていただく場合、紹介状が必要なのでしょうか?どうすればよいのでしょうか?また、注射をうっていただく病院をかわる場合にはどのようになるかも教えて下さい。

 同じ排卵誘発法で前回との間があまりあいていない場合には、紹介状は不要ですので、そのまま近医へ連絡をして通院してください。前回との間が半年以上あいている場合には、紹介状をお送り致します。
 追記して、紹介状について、説明をしておきます。
 注射の変更や追加、治療の変更があれば、新たに依頼のための紹介状をお送り致します。
 また、注射をうっていただく病院をかわる場合も、紹介状を書き直します。転院する場合には、こちらから院長先生にお願いのお電話を前もって差し上げます。
 新たに紹介状が必要な場合には、遠慮なくお申し出下さい。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
 体外受精を行っているのですがなかなか成功しません。体外受精を何度も失敗した場合は、2段階移植がよいという記事をみたのですが本当ですか?本当であればやってみたいのですが、うまくいくのでしょうか?

 2段階移植は、体外受精反復失敗例に効果があると報告がありますが、私達が行った結果では、その効果は認められませんでした。当院では卵の数が2〜4個の場合は顕微授精後のGIFT、5〜6個の場合はZIFT、7個以上の場合は長期培養をおすすめしています。
(院長:田中温)
 不妊治療にはたくさんのお金が必要で、家計をやりくりするのがとても大変な日々を送っています。今度、セントマザーに転院したいのですが、自宅が県外なので、宿泊費や交通費など治療以外にかかる費用を考えるとなかなか踏みきることができません。採卵や移植の時には、毎回宿泊をしなければならないのですか?人にもよると思いますが、滞在する方は、たいだい何日間くらい宿泊しているのですか?

 遠隔治療をされている方の治療法には、長期滞在ができる方とできない方とで2通りの方法があります。
 長期滞在ができる方の場合には、当院近くの施設に滞在していただきます。治療中に特に問題がなければ、一般的に2〜3日程度の滞在となります。
 長期滞在ができない方の場合には、採卵のみを行い、体外受精後に採取した卵子をすべて凍結し、自然周期にこれを戻すという方法を行います。この方法であれば、それぞれ採卵および移植はそれぞれ1日で終わり、日帰りが可能となります。
 ただし、採卵時に多数の卵ができており、麻酔をした場合は、原則的に当地での1泊滞在をおすすめしております。付き添いの方がおられる場合には、帰省されても構いません。移植の場合には、当院での滞在期間は2〜3時間ですので日帰りは十分可能です。
 尚、宿泊をされる場合には、特別割引で宿泊可能な近隣宿泊施設もあります。詳しくは、当院Webサイトに掲載しております。
(院長:田中温)
 子宮内膜が薄かったので、今回は戻さないで凍結をしました。今後、内膜の状態がよくなるのか不安です。どうしても内膜が厚くならない場合には、どのような治療法がありますか?また、私は月経の量が少ないと感じているのですが、それと内膜の厚さには関係があるのでしょうか?

 当院で行った統計では、子宮内膜の厚さと着床率には、明らかに相関関係が認められております。
 子宮内膜の厚さが10mm以上の方の着床率が45%であるのに対し、7mm以下の方では15%と著しく減少します。ですから、当院では原則として、子宮内膜が7mm以下の場合には胚移植を行わず、すべての胚を凍結して、内膜の状態が良くなる自然周期に胚移植を行うようにしております。しかしながら、どのような環境においても内膜が厚くならないという方もおられます。このような方には、凍結胚を融解した後、長期培養して胚盤胞(または桑実期)に戻す方法が有効的です。
月経は剥奪してきた内膜組織と血液とが混じったものですので、内膜が薄い場合には、月経血の量は少なくなる可能性が高いと考えられます。しかしながら、いつも月経量が少なくても子宮内膜が厚くなる方や、子宮内膜が薄くても突然出血量が増える方もおられますので、必ずしも月経の出血量が少ない方は子宮内膜が薄いというわけではありません。また、排卵誘発剤を使用した排卵周期には内膜が薄くても、多くの方は自然周期では厚くなります。ここに内膜が薄い場合の全胚凍結、自然周期戻しの着床率が高くなる根拠があるのです。
もし、自然周期でも内膜が厚くならない場合(5〜6mm)には、採卵後の血中のE2(卵胞ホルモン)とP(黄体ホルモン)を測定し、それぞれのホルモンが不足していないかどうかの検査を行います。検査の結果、卵胞ホルモンが不足している場合には、プレマリン(抱合型エストロゲン剤)・エストラダーム貼付薬・プラギノール(エストラジオール:日本では手に入りません)のいずれかを投与します。また、黄体ホルモンが不足している場合には、ヒスロン・プロベラなどの内服薬・プロゲステロンの筋注・坐薬などを投与します。
採卵2日目で凍結した4〜6細胞期胚を胚盤胞まで培養し、透明帯を除去する方法も効果があります。
(院長:田中温)
 先日、友人から聞いた話です。体外受精(顕微授精)を受けている方が、内膜が薄く、次の周期に戻しをする事になり、カウフマン療法をしていたそうです。
 しかし、このカウフマン療法中に自然妊娠をしたそうです。このようなことは起こるのですか?

 カウフマン療法は、外からホルモンを補い、ホルモン環境を整える治療です。本来の自己の排卵が体外受精(顕微授精)することによって、促されたとしたら、自然排卵が起こり、妊娠が起りえるものと考えます。
(産婦人科医:永吉基)
 不妊治療(ART)で妊娠する人は、5回以内にほとんどが妊娠し、それ以降は頭打ちという記事を読んだことがあります。
 治療回数が2桁以上で妊娠される方は、セントマザーではいらっしゃいますか?回数を重ねれば、妊娠するのなら良いのですが・・・。たくさんの治療をされて、妊娠・出産された方が全体のどのくらいいるのかを教えてください。

 体外受精の治療を受けている方の治療回数は、大きく分けて1〜2回ですぐ妊娠・出産される方と、なかなか妊娠できないという2通りがあります。
 すぐに妊娠される方のグループは、女性の年齢が若い方で、原因が両側卵管閉塞や無精子症などと、はっきりとした為に治療に早く入られる方たちです。
 なかなかできない方のグループには、御主人と奥様の両者の所見に問題がなくて、原因が無いと言われる方たちが多くみられます。原因不明不妊というグループです。このような方たちは、治療に入る時期が遅くなり、女性の年齢が35才を過ぎてから治療に入るパターンが多くあります。
 治療回数が多くなる方の代表としては、高齢化があります。女性の年齢が卵子の成熟度と相関しますので、卵子の質、数が低下する高齢化女性では、どうしても治療回数が増え、2桁以上ということにもなり、当院での患者さんの2〜3割にあたると思います。
 この様な場合には、私達は卵管に入れるGIFT、ZIFT、EIFTという方法をお勧めしております。卵管内は精子と卵子が出会い、発育していく所であり、この自然な環境に卵子を入れることにより、妊娠率が高くなるのだろうと考えられます。妊娠率の低い症例に対しては、その症例ごとに戦略を立てて望む事が重要だと思います。
(院長:田中温)
 こんにちは。不妊治療と仕事の両立ができればいいと思っています。
 セントマザーでは時間外診療が可能だそうですが、すべての治療(体外受精など)を時間外でできるのでしょうか?それとも、時間外診療できる治療は決まっているのでしょうか?
 時間外診療を行う場合、何かリスクなどはありますか?

 当院での時間外診療の内容は、卵胞の発育のモニター、人工授精および胚移植です。採卵は時間外にはできません。基本的に、採卵以外の緊急時に対しては、24時間の体制で対応しております。費用は、時間外では520円(自費)高くなり、人工授精は10,500円(自費)高くなります。
【採卵を時間外に行えない理由】
 採卵をする場合には、麻酔が必要ですし、採卵した時点から病院内での操作が始まります。採卵後に行う操作には、8時間ほど時間がかかりますので、時間外に採卵を行っていると、深夜でも常に専門のスタッフが勤務しなければなりません。また、深夜に勤務しているスタッフは昼間よりも少ないため、全員の方に十分なケアが行き届かない可能性も出てきます。このような理由で、採卵は診療時間内に行っておりますのでご理解下さい。
(院長:田中温)
 体外受精等を行った後に、着床するまでのおよそ2週間に喫煙をしていると、妊娠率や胎児に影響はありますか?煙草が体に悪いことは十分わかっているのですが、ついつい吸ってしまいます。
 妊娠がわかったらやめようと思っていますが、自分自身、意思の弱さに自己嫌悪の日々です。すごく自分が情けないのですが・・・。喫煙をやめられるいい方法はありませんか?

 喫煙は、発癌因子であるばかりでなく、虚血性心疾患、脳血管障害、慢性胚疾患を引き起こし、胎児の発育障害にもつながります。妊娠率や着床にも影響を及ぼす可能性も否定できません。また、現在では受動喫煙、副喫流に曝されることでさえ健康被害を与えるということで、一刻も早い禁煙が望まれます。
 アメリカでも喫煙と肥満は予防可能な死因の第1位に挙げられています。また、喫煙はニコチン依存症として知られており、止めることが難しいともいえます。意思が弱いと片付けることは簡単ですが、喫煙には深い背景が潜んでいることもあり、なぜ喫煙するのかといった背景を掘り下げて考える必要もあるので、御主人や家族、ドクターとも十分話し合い止めるよう努力しましょう。禁煙マラソンという言葉もある位ですので、すぐにはできなくても頑張ってゆきましょう。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
 体外受精で治療を行っているのですが、体外受精後に排卵誘発剤の副作用である卵巣過剰刺激症候群OHSSになってしまいました。お腹の張り・水分をたくさんとっていても尿が少ない・トイレに行く回数が減る・腹水がたまる等の症状があったので、体外受精後だと病院に伝えて受診しました。
 せっかくここまできて、後は着床して妊娠することを祈る毎日ですが、OHSSになってしまったことで着床の妨げとかならないのでしょうか?着床率や妊娠率は下がってしまいませんか?またこのまま妊娠しても大丈夫なのでしょうか?

 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が重症となるに伴い、着床率は低下してきます。又、妊娠しますとこのOHSSの症状はひどくなります。OHSSが疑われる際には、全胚凍結し、自然周期に戻す方法がベストです。
(院長:田中温)



 OHSSになっても症状が軽症であれば、胚移植が可能なこともあります。症状が進行する場合や体調がよくないときは、当院ではその周期には戻さないで全胚凍結を行い、1周期まちます。戻しを行わない場合には、が10日くらいで月経が発来し、症状が急激にに改善します。このように1周期あけることにより、卵巣は元の状態に戻りますので、当院における凍結胚移植周期の妊娠率は高く、流産率は低いため、がっかりすることはありません。無理に刺激周期で戻すよりも、1周期あけて体調を整えて、凍結胚移植を行う方が、より高い妊娠率を上げる事ができます。
(産婦人科医:永吉基)
 今年の7月末に採卵をして、分割卵の戻しを行いましたが、今回は残念ながら妊娠しませんでした。
 現在、凍結保存している分割卵がありますが、その分割卵の戻しを行う場合は、いつごろ病院へ行くといいのでしょうか?
 また、戻しのみの場合の治療内容やスケジュールを教えてください。遠方に住んでいるのですが、セントマザーの近くに実家がありますので、スケジュールによっては実家から通うことになるかもしれません。遠方からと近くからの両方のスケジュールを教えていただけますと助かります。

 凍結卵戻しの場合は、排卵をみつけて戻す場合と子宮内膜をつくって戻す場合の2通りがあります。排卵をみつけて戻す場合には、a.自然周期、b.セロフェン内服周期があります。月経周期が順調な人はa.で行い、不順な人はb.で行います。月経周期が5日前後で卵胞が残っていないのを確認後、自然周期の人はそのまま、セロフェン周期の人は5日目より5日間内服し、月経周期12〜14日頃より卵胞の大きさ、尿の反応(LHの反応)を観察し、卵胞が1個でも消失した日を排卵日とし、その2日後に原則として戻します。内膜がうすい場合には、長期培養とし、3〜5日に戻すこともあります。
 子宮内膜をつくって戻す場合は、エストロゲンの内服ないし貼り薬によって子宮内膜を厚くしていき、9mm前後になったら黄体ホルモンを加え、4日後に凍結胚移植をします。
 遠方の方で、近医でみてもらう時は、近医で子宮内膜、卵胞の大きさ、尿の反応をみていただき、排卵まで確認可能なら、胚移植時に来院される方もいらっしゃいます。
(産婦人科医:永吉基)
 採卵時には麻酔をすると聞きましたが、その麻酔が卵には影響しないのですか?とにかく早く妊娠がしたいので、卵に影響のある麻酔があれば、なるべく避けたいと思います。卵に影響する可能性や、その麻酔の種類があれば教えて下さい。

 採卵時麻酔は、導入が速やかですので、血液から卵胞液に麻酔薬が入る前には、採卵は終わっています。従って、麻酔薬が卵に影響する可能性はないといっていいでしょう。また卵に影響を与えるようなお薬は、初めから使用しておりません。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
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