回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.39 -
年齢:29 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:2回
 過去2回、ショート法で誘発しましたが、両方の卵巣で100個くらいの卵胞ができ、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と診断されました。しかも2回とも採卵数は0です。
 その後、糖負荷検査で糖代謝が少し悪いと言われて薬を服用、運動もすすめられて、3kg痩せました。来月、3回目の誘発を行いますが、また同じようなことになるのではと不安です。
 1回目が空胞だったという話はよく聞きますが、2回3回と空胞が続くこともあるのでしょうか?OHSSを避けるためにできることや、注意点を教えてください。

 100個は多すぎます。しかし、あなたの場合は、月経周期が規則的ということは、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)ではありませんので、単なる多嚢胞性卵巣(PCO)でしょう。排卵誘発剤に非常に敏感なために卵がたくさんできたのだと思います。
 対策として、まずは、体重を落としてください.体重=身長−100くらいにはぜひしてください。これだけでも卵の数は減ります
。  また、糖代謝が少し悪いということであれば、糖尿病の薬のメルビンという薬が効果があります。また、LH-RHテストを行って、LHとFSHの値をもう一度調べてください。月経周期は正常となっていますが、そのようなホルモンを調べてみると、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)ということになるかもしれません。この場合は、腹腔鏡下に卵巣を焼灼する方法が非常に有効です。
 まだまだ治療法はありますから、あきらめないで下さい。
 また、あなたの場合、排卵誘発剤を使う前にピルを使うことも有用だと思います。ピルを2周期使えば、おそらく卵の数はかなり減ってくると思います。治療をスタートする前の月経3日目までの胞状卵胞の数を診てみれば、何個くらい卵ができるかが予測できますので、その所見をみながら排卵誘発法を決める事が重要です。[2009年11月18日]
(院長:田中温)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:4回 体外受精:1回
 子宮内膜症があり、腹腔鏡にてチョコレートのう腫はとりました。その後、体外受精(IVF)にステップアップしたのですが、妊娠には至りませんでした。質問が2点あります。
■質問1
 前回は、クロミッドで採卵しました。なんとか5〜6個の卵胞が確認できたのですが、中身のあるものは1個だけでした。この場合、次回の方法はもっと数を増やす注射での刺激がよいのでしょうか?
■質問2
 内膜症か子宮後屈の影響かわかりませんが、移植の時に、激痛を伴いました。何か良い移植方法はないのでしょうか?

 32歳で月経が正常で二相性の場合には、クロミッド採卵だと妊娠率が低くなります。GnRHアゴニストまたはアンタゴニストを用いた方法で排卵誘発をする方が、卵の数が増えて有利になります。
 どのような排卵誘発法を使うかは施設によって考え方が違いますが、一般的に採卵数の多いほうが少ない状態よりも妊娠率は高くなります。ただし、卵が20個以上と多くできてしまった場合は、かえって成功率が下がりますので、10〜15個くらいを目安に卵を作ることを、私たちは目指しています。
 上記のような場合には、移植した後にも十分な胚が残りますので、凍結保存しておくことも可能です(余剰胚凍結保存)。
 移植時の痛みの原因は何点かあります。
 まず、子宮頚管が曲がっているために、カテーテルが円滑に入らず、子宮頚管にぶつかってしまう場合です。(チューブ自体が子宮内に入ってきたことによる痛みはありません。)
 他には、移植時に超音波を見ながら戻す場合に、この超音波のプローブでお腹のお臍の下あたりをグイグイ押す場合の痛みです。特に皮下脂肪の厚い方や内膜症があって超音波画像が見えにくい方の場合は、子宮内腔がよく分からないために、ついつい強く押してしまうことがあります。 また、移植時に、導尿をしますので、その管を入れる際の痛みもあります。
 いろいろな原因がありますが、いずれにしても移植後にはなくなる痛みだと思います。主治医に伝えて激痛の原因をつきとめれば、それを排除する工夫ができると思いますよ。[2009年11月18日]
(院長:田中温)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:8回 人工授精:3回 体外受精:2回
 セントマザーで治療をしています。初回はグレード2の卵子に顕微授精(ICSI)し、4日目の桑実胚を2個移植して2つとも着床しました。しかし、10週で流産となりました。
2回目もグレード2の卵子にICSIして、3日目の7細胞期胚を2個移植しました。3日目で7分割はスピードが遅いのでしょうか?妊娠できる可能性はありますか?
セントマザーでは、胚移植の日に受精卵の写真の付いた結果用紙をくださいますが、7細胞期胚の左側に2個と書かれていました。左側の受精卵の写真と右側の写真の違いは何でしょうか?妊娠する可能性はどちらが高いのでしょうか?

 3日目7分割は朝の時点でしょうか、それとも午後の時点でしょうか。
 当院では、朝6時〜7時台に1回目の胚の観察をいたします。その後、9時、10時、午後と3〜4回見ていきます。
 3日目7分割という結果が、もしも早朝の状態であれば問題ないと思いますが、午後の時点で7分割であれば、少々遅いかもしれません。そのため4日目まで待たずに戻したのだと思います。
 写真の左右は見てお分かりのように、左の方が良好な胚です。右の胚も妊娠の可能性のある胚ですが、割球の左右の均等性が失われた(フラグメンテーション)壊れた細胞の一部が見えます。
 あなたの場合、左に2個と書かれているならば、質のいい卵細胞とお考え下さい。[2009年11月18日]
(院長:田中温)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:4回
 前回の移植で、超音波のモニターを見ていたら、胚盤胞が子宮の奥にカテーテルで置かれた後、何かに押し戻されて子宮口近くにきてしまったように見えました。(結果は陰性でした。)
 不安に思って培養士の方に質問すると、静電気のせいだといわれました。ドクターに質問すると、「(自分は正しく奥に置いたのだが)子宮にあった液が卵を押し戻している。入り口近くだと胚は外に流れてしまうことが多い。子宮後屈だし、次回は工夫しないといけないね。」といわれてしまいました。
 今までに3回の移植はきちんと子宮の奥に移植できていたのに、今回は私の子宮のせいにされているような気がしてならず、移植前に行った消毒液などが残っていたのではと疑心暗鬼になってしまっています。
セントマザーの先生方はどう考えられますか?子宮の奥に置いた胚盤胞が何かに押し流されて入り口近くに戻ってきたご経験はありますか?

 子宮内腔は子宮内膜が歯車のようにがっちりとかみ合っておりますから、入れた胚が流れ出るということはありません。あなたが押し戻されたように見たのは、チューブを抜く時に、そのチューブが戻ったように見えたのではないでしょうか。子宮前屈であれ後屈であれ、ごく少量の培養液と子宮内に移植した胚が出てくることはまず考えなくていいと思いますよ。[2009年11月18日]
(院長:田中温)
年齢:36 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:10回 体外受精:2回
 セントマザーにて体外受精(IVF)を行っています。高速を使って2時間近くのところに住んでおり、2回目の時は遠距離という理由で電話にて治療の指示を仰ぎました。
 過去2回、卵の質が良くなくて、陰性の結果となっていて不安に思っていますが、やはり少しくらい遠くても来院して、先生と直接話をして治療方針を決めたほうがいいのでしょうか。
 現在は、年齢的なことを考えてGIFT法など妊娠率の高い治療をしたいなと思っていますが、自分から希望することはできるのでしょうか?卵管内移植は1泊入院になると思いますが、入院費用も保険適用外なのでしょうか?

 可能ならば月経3日目の胞状卵胞のモニターと血中ホルモンの測定が有用と思います。ぜひ来院してください。
 GIFTやZIFTなど、卵管内移植はいい方法だと思います。ご希望であれば、ドクターや看護師に伝えて下さい。入院費用は保険適用外ですが、手術代から入院費までで総額35万円くらい(高くない部屋)です。[2009年11月18日]
(院長:田中温)
年齢:43 基礎体温: 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:3回 体外受精:10回
 先日、採卵後に少し出血があったため、内診(エコー)をしたのですが、映像を見ていたら卵胞のようなもの(黒い●)が見えました。これは一体何なのでしょうか?
担当医からは、採卵2日前のエコー検査では、3つの卵胞が見えていると説明を受け、採卵では3つの卵胞に針を刺して2つ採卵でき、1つは空胞だったと説明を受けました。

 数個の卵胞から卵子を採卵した後の、卵巣の中に残った空の袋の事だと思います。
 成熟した卵胞は排卵した後は、黄体のう胞に変化します。それを見たのでしょう。[2009年11月5日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:5回 体外受精:回
 いつも参考にしています。この質問コーナーで、採卵周期(刺激周期)は子宮内膜にダメージを受けているので、全胚凍結を行うとよいという回答をよく見かけます。それは内膜が薄くなる以外に、内膜の質など、何らかの影響を含んでいるといったことなのでしょうか。
 また、月経3日目のホルモン値ですが、基準より高い場合と低い場合の意味するところや、それについての改善方法について、セントマザーでは具体的に行っていることを教えてください。

 採卵周期(排卵誘発周期)で、子宮や卵子、その他全身への影響があります。 子宮では子宮内膜の厚さや、内膜の変化に影響します。厚さは、自然周期に比べて薄かったり異常に厚くなったりします。内膜の変化については、排 卵を境に内膜の変化が速く進むと、いくら良い卵でも着床できないことがあります。
卵巣に関しては、排卵誘発剤を使用すると黄体機能の低下をまねきますのでホルモン補充をしないといけません。  卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などで卵巣が拡大し、腹水がたまったりすると、全身の血液、リンパ、ホルモンなどの乱れが生じます。
当院では、3日目のホルモン値(LH、FSH)が高い場合は、更年期的なホルモン状態になっていることが多いため、卵胞ホルモンや黄体ホルモンを投与し、正常にしてから治療に入ります。低い場合もやはりホルモン治療後、治療に入ることが望ましいでしょう。[2009年11月5日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:44 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:12回
 膣座薬を使用していない時は、5回のうち3回妊娠しました。しかし、すべて流産となりました。
 流産後、膣座薬を使用開始しました。移植後10日前後でつわり様の症状があるのですが、結果はすべて陰性・・・膣座薬が合わないということはあるのでしょうか。プロゲステロンの値が高くなりすぎて着床にいたらないということは考えられませんか?

 膣坐薬はプロゲステロンと思いますが、1錠100mg(または50mg)でしょうか。200mg程度であれば高すぎるということはないと思います。また3回妊娠したとありますが、胎嚢を確認されていますか。
着床率を上げるためには、採卵周期には移植をしないですべての胚を凍結し(全胚凍結)、自然周期に戻すのが一番効果的だと思います。[2009年11月5日]
(院長:田中 温)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:7回 人工授精:4回 体外受精:1回
 子供を望んで3年半になりますが、今まで一度も妊娠に至ったことがありません。軽い子宮内膜症がありますが、それ以外は不妊の原因が見つかりません。
先月に初めての体外受精(IVF)をしましたが、結果は陰性でした。ロング法で、採卵できた卵は4つだけで、2つは体外受精、残り2つは顕微授精(ICSI)をしました。体外受精の2つは受精しましたが、顕微授精は未受精でした。 その後の受精卵の状態は、4分割で50%くずれているものと2分割で30%くずれているもので、移植を延期して培養することになりました。結果、1つは採卵から5日目に胚盤胞(グレードは3CB)になったので、その日に移植しました。移植後はプラノバールを服用、10日後に判定日だったのですが、結果は陰性でした。
人工授精(AIH)の時には、クロミフェンで卵の数を増やしていたのですが、毎月3〜5個の卵ができており、反応がいいといわれていました。(排卵は1〜2個で、残ってしまうことが多かったのですが・・・。)ですから、ロング法であれば、もっとたくさん採れると思っていました。質問は以下の4点です。
1.今回は前周期にデュファストンで排卵しないようにして卵巣を休ませた後に、誘発を進めましたが、誘発法が私に合っていなかったのでしょうか・・・?
2.保険のつもりで顕微授精を行ったのですが、結果が出なかったのはどうしてでしょうか?卵子の質が悪いからなのでしょうか?顕微授精の方が受精率は高いと思っていたので不思議に思っています。
3.胚盤胞にはなったものの着床できなかったのは、4分割のときに50%もくずれていた卵だからなのでしょうか?たまたま胚盤胞になっただけで、もともとの卵の質が悪いのでしょうか?
4.次回の採卵方法を決めておくようにと言われていますが、今回と同じピル+ロング法にするか、ピル+CC+HMG法か、ピル+アンタゴニスト法にするかわかりません。自分に合った誘発方法はどれも試してみないとわからないものなのでしょうか。

 まずは月経3日目までの胞状卵胞の数と大きさを診てもらって下さい。その数が体外受精(IVF)で発生してくる卵子の数と最も相関します。あなたは月経が規則的で二相性ですので、基本的には胞状卵胞の大きさが10mm以下であるならば、デュファストンの投与は必要ないと思います。またピルの投与も必要ないと思います。ピル投与、デュファストンにより卵胞の数は減ってしまいます。
 分割の卵が崩れていたのは卵子の質に問題があると思います。顕微授精(ICSI)で結果が出なかったのは、顕微授精に選んだ卵が悪かったのか、顕微授精の技術が低かったからでしょう。
 あなたにあった排卵誘発法は、月経3日目までの胞状卵胞の数と大きさ、E2、LH、FSHのホルモンの値によって決まると思います。胞状卵胞の数が左右に数個以上あり、ホルモンが正常な場合には、アンタゴニスト法がいいと思います。この場合もFSHのみよりも、HMGを混合した方が良い卵が採れると思います。もし胞状卵胞の数が少ない場合には、GnRHアゴニストを使ったShort法がいいかもしれません。
 ピルは残存卵胞がある場合には使った方がいいと思いますが、ピルは諸刃の剣です。FSHが15以上の場合にも使った方がいいと思いますが、その際も胞状卵胞の数が2〜3個以上ある事を確認して下さい。胞状卵胞の数が少ない上でピルを使うと、殆んど発育卵胞はなくなってしまいますので気をつけて下さいね。[2009年11月5日]
(院長:田中 温)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:不明 タイミング法:8回 人工授精:1回 体外受精:0.5回
 近いうちに筋腫(筋層内7cmほど)の手術をします。
 現在は3個の凍結卵があり、手術をして半年後に凍結卵を戻す予定です。
 元々、高温期が短いほうで(8〜12日、平均10日ほど)あることを医師に相談したところ、「ホルモン検査の結果は問題ないけれど、高温期が短いということなので自然周期よりホルモン補充周期でいきましょう」と言われました。知り合いに聞くと、ホルモン補充周期では薬や注射を頻繁に打つし、辛いというような話も聞きます。
 ホルモン検査の結果は異常なしですが、高温期が短めの場合はホルモン補充周期のほうが向いていると解釈してよろしいでしょうか。また、自然周期とホルモン補充周期では、どちらのほうが一般的であるのか、どちらの方が妊娠率は高いかという見解も教えてください。
 ちなみに、今までタイミング療法やクロミッドなどを使った治療を行ってきて、化学流産を2回経験しています。

 32才、基礎体温が二相性であれば、自然周期の方が有利だと思います。  自然周期とホルモン補充周期では、妊娠率はそれほど変わらないと思いますが、流産率が自然周期の方がやや低くなる傾向があります。
ただし自然周期では、排卵日が確認できることが前提条件です。高温相が短くても、排卵期より2〜3日後、すなわち排卵5日後(胚盤胞の時期)に移植します。10日までに着床した場合は、胚盤胞が絨毛を形成してホルモンを分泌しはじめますので、高温相の維持が可能となります。
 化学流産が2回となっておりますが、胎嚢が見えない場合、妊娠とは診断しません。もし、胎嚢を確認後の流産であるならば、是非、習慣流産のスクリーニングをされることをお勧めいたします。[2009年11月5日]
(院長:田中 温)
年齢:41 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:3回 体外受精:11回
 41歳で11回の体外受精(IVF)を試みていますが、いつも変性卵で良好卵子が採れません。
 これまでに2回、フォリスチムでの誘発を試みましたが、変性卵が1個しかとれず、それ以降は、完全自然周期になりました。
 D3のFSHが18前後、E2が80前後と高いため、誘発は不可と言われています。私としては、セロフェンだけでも使いたいと思っているのですが、セロフェンの効果は期待できないでしょうか?誘発が不可といわれている中で、今後どのような治療を行うべきか...アドバイスをお願いします。

 FSHの値が18、E2が80前後という状態では、自然周期の採卵よりもセロフェンを使った方が数が増え、また質も良くなる可能性があります。それは、自然周期では、最も大事な血中のLHサージがいつ始まるかという事を決定することが非常に難しく、HCG投与のタイミングを逃す事が多くなることで、採卵のキャンセル率が高くなるからです。
 その点、セロフェンを投与しますと、卵胞のサイズが大きくなり、また発育スピードもある程度予測できますので、HCG投与のタイミングが取りやすくなります。またアンタゴニストを使う事により、LHの上昇を防ぐことができるので、十分な発育を待つ事が可能となります。
 月経3日目までの胞状卵胞の数と大きさを是非測ってみて下さい。E2が高いため、残存卵胞もある可能性があります。その場合には、低用量のピルやドオルトンなどを投与すると、効果がある場合もあります。方法を慎重に選択すれば、まだチャンスはまだあると思います。[2009年11月5日]
(院長:田中 温)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:10回 体外受精:1回
 数ヶ月前にこちらで相談してから、お休みしていた治療を再開し、来月、顕微授精(ICSI)をすることになりました。
 先回は、ロング法での体外受精(IVF)で、20個採卵しましたが、すべて卵の質が悪くて1つも受精しませんでした。日本と海外での治療をあわせて10数回、その前に人工授精(AIH)もしていますが、1回も成功していません。男性不妊で始めた治療ですが、先回のIVFでは精子の状態は比較的よく、 卵の質の問題で失敗に終わりました。
その後の、ドクターとの話で、薬に反応し過ぎて卵の質が落ちたのかもしれないが、もともと卵の質が悪かったとしたらAIHが成功しなかったことにも説明がつくといった説明をされました。そうだとしたら誘発法をアンタゴニスト法にしてもらったとしても、希望があまり持てないまま治療に望むのか・・・と思うと気が重いです。卵の質は月によって変わるのでしょうか?それとも生まれつきなのでしょうか?卵の質は、どのタイミングで決まるのか教えてください。

 卵を20個採卵したということは、実際には卵は30個以上できていたということではないかと思います。
 卵が20個以上発育した場合には、必ず卵の質が下がりますので、卵が発育する数を減少させることが必要です。 卵の数を減少させる方法としてはピルが最も効果的です。1ヶ月ピルを投与し、その後Long法またはアンタゴニスト法を用いると必ずいい卵ができるはずです。
 卵の質は、どの排卵誘発をするかを選択した時点で決まるとお考えください。[2009年11月5日]
(院長:田中 温)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 2年前から「早発閉経」で治療をしています。FSHが100を超えていましたが、今年3月から転院して、プレマリンを1日4錠処方してもらいました。FHS15〜20くらいまでは下がりましたが、今の状態が限界だということです。転院して4ヶ月で卵胞が観察できましたが結局育たないまま、40歳になってしまいました。主治医は「眠っている卵がどのくらいあるのか」と首を傾げるだけでこちらも不安な状態が続いています。このまま、あきらめるしかないのでしょうか?他に方法はないのでしょうか?

 経膣超音波で左右卵巣内に胞状卵胞が認められるかどうか、また抗ミューラー管ホルモン(AMH)の値はいくらかを測定する事が必要です。
 もしもこれまでに色々なホルモン処理後でも、経膣超音波にて卵胞が認められない、またAMHの値が5以下の場合には早発閉経と診断されます。卵子提供者がおられるのであれば卵子提供を考えるのも1つの方法だと思います。但し早期閉経の定義は40歳未満ですので、残念ながらあなたの場合は適応とはなりません。もし胞状卵胞がわずかに(1〜2個)認められ、またAMHの値が10以上であればカウフマン療法を2〜3ヶ月続けてみられて反応をみるのもいいかもしれませんが、いずれにしても非常に厳しい状況だと思います。[2009年11月5日]
(院長:田中 温)
年齢:42 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:5回 体外受精:8回
 先日胚移植をしました。看護師さんによると、受精卵がモニターに映し出されるという事だったのですが、その時は何故か、うまく映らなかったようで、結局見せてもらえませんでした。そのようなことはよくあるのでしょうか。 また、今回は、3日目で凍結した受精卵はを更に2日培養して桑実胚になり、もう少しで胚盤胞になる胚を移植しました。このようなタイミングは、一般的でしょうか。

 経腔超音波モニターで子宮内に注入されるときに映るのは、受精卵(胚)の入った少量の培養液であり、受精卵そのものは小さすぎて確認する事はほぼ不可能です。液が子宮内に流れていく様子は見ることができます。
 ただ、開腹手術の既往による癒着や腸のガス像、子宮後屈や子宮筋腫などがモニター映像の妨げになることがありますし、超音波画像を担当する助手の経験や技術も影響します。また3日目凍結胚は8細胞になっていると思いますが、融解後2日間の追加培養を行えば、本来であれば胚盤胞にまでなっていることが期待されます。凍結前後を合わせて5日間の培養期間は妥当なところっだと思います。[2009年10月16日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:0回 体外受精:2回
 右の卵管閉塞、精子欠乏症で体外受精(IVF)を試みましたが受精しませんでした。顕微授精(ICSI)をしてグレードのいい卵で妊娠しましたが7週で完全流産でした。現在は、凍結している卵があるのですが、あまりいい卵ではないそうです。子宮が少し大きめのようです。
 性交痛があり癒着や子宮内膜症の可能性があるため、内膜症の治療をしてもいいし、凍結している卵をすぐに戻してもいいと言われていますが、どうする方がよいのかよく分かりません。アドバイスをお願いします。

 子宮内膜症の疑いと、子宮内膜症とは異なります。超音波上、卵巣に子宮内膜症のチョコレートのう腫の所見や癒着を示唆する画像が映っているのでしょうか。また採血でCA125が高くなっているのでしょうか。
 上記の所見がない、あるいはあったとしても軽度であれば、凍結卵戻しや体外受精(IVF)を優先されてはどうでしょうか。子宮内膜が薄くなるといった傾向が見られなければ、子宮内膜症があっても着床には問題ありませんが、性交痛や生理痛がひどかったり、大きいチョコレートのう腫があるなどの症状があるならば、子宮内膜症の治療を優先される方が良いと思います。その点は、主治医と十分に話をして、治療方針を決めて下さいね。[2009年10月16日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:34 体型:標準 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:5回
 現在は34歳で、33歳の時に採卵した受精卵を移植し、現在妊娠7週目です。 病院では、出産時には35歳になるということで羊水検査をするかどうかという話がありました。先天性異常の確率は、年齢があがるにつれて高くなると聞きますが、採卵時の年齢なのか、それとも着床・出産の時の年齢なのか、どちらと考えるべきですか?

 先天性異常の確率については、採卵時の年齢を考えます。ですから、若い時に採取し、凍結していた胚を40歳以上で戻すことはまったく問題ありません。40歳以上になりますと、若い年齢のグループに比べ、異常率が約5〜10倍高くなると言われていますが、実際のところ、40歳以上の染色体異常の発生率は約1%です。すなわち99%は正常ということになります。[2009年10月16日]
(院長:田中温)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:3回 体外受精:2回
 1回目の体外受精(IVF)では、前周期の生理4日目よりピルを服用し、ピルの服用開始から15日目よりGnRHを開始しました。その後、生理9日目から9日間、毎日HMGの注射を行って、16個採卵することができました。
 質の良い3個を体外受精、残りの成熟卵6個、未成熟卵3個、変性卵1個を顕微授精(ICSI)としました。体外受精をした卵は遅れて2個受精しましたが発育が停止、顕微授精した卵も4個受精しましたが発育が停止してしまいました。
 2回目の体外受精も1回目と同じように前周期のピルの服用から行いましたが、その後6日目から毎日12日間HMGの注射を行い、10個採卵しました。すべて顕微授精を行い、7個が受精、分割を始めましたが、分割速度が遅く一番質の高いと言っていた受精卵でも、採卵3日目で5分割、フラグメンテーションが50%という状態でした。それでも、一番状態の良い受精卵を胚移植して様子を見ている状況です。
 1回目、2回目ともにフラグメンテーションが高いために発育停止しているようですが、フラグメンテーションの割合を減らすことはできないのでしょうか。これはやはり卵の質が悪いからでしょうか・・・卵の質を上げるには自分にあった排卵誘発方法を見つけることが有用だと実際にどのようにすればよいのかがわかりません。

 採卵周期の前にピルを使用することは、十分注意が必要です。ピルを使用することによって、かえって卵胞の数が減少したり、採れる卵子の質が低下することがよくあります。もともとの胞状卵胞の数、大きさ、E2・LH・FSHの状態を観察して、使用を考える方がいいと思います。一時的にピルを投与することは、リスクを伴うこともありますので、十分ご注意下さい。
 フラグメンテーションが高いということは、卵子の質が低いということですので、排卵誘発があっていないと考えます。排卵誘発法があなたの卵巣に適しているならば、フラグメンテーションの率は下がってくるでしょう。また、フラグメンテーションが大きくなる理由として、顕微授精(ICSI)の技術があります。ICSIの技術が優れている場合には、フラグメンテーションは明らかに減少しますが、ICSIの技術が劣る場合にはフラグメンテーションが高くなるということもあります。[2009年10月16日]
(院長:田中温)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:4回 人工授精:6回 体外受精:2回
 今年の4月にshort法にて体外受精(IVF)をしました。その時の採卵数は3個、うち1個が胚盤胞となり、採卵周期に戻しましたが着床しませんでした。
 short法のわりに卵子の数が少ないので、卵巣の反応が鈍いということで、2周期お休みし、その後はクロミッドによる誘発になりましたが、採卵予測の直前に排卵してしまって人工授精(AIH)を行いました。
 翌周期もクロミッドによる誘発でしたが、早めに採卵(D10、2個)しました。1個は未成熟卵で、いずれも受精せずに終わりました。今周期はD2よりピル(オーソM21)、D3よりテルグリド、ビタミンEを服用しています。
 ここで質問ですが、私のように、高齢でD3の卵胞の数が2〜3個と少なく、short法でも卵巣の反応がよくない場合、ピルを使った調整で問題はないのでしょうか?ピルを使用するのは、多嚢胞性卵巣(PCO)といったことを聞くので、自分にあっているのかとても不安です。セカンドオピニオンとしてお教えいただきたくよろしくお願いいたします。

 排卵周期の前にピルを使用することは、諸刃の剣です。卵の数が多少増える場合もありますし、質が高くなることもありますが、その反面、数がまったく採れなくなるというリスクもあります。
 一般的に、もともと数が少ない場合にはピルは使用しない方がいいかもしれません。しかし、月経初期のE2、FSHの値が高い場合は、ピルを使用してもいいと思います。ピルも中容量、低容量とありますが、低容量の方が安全だと思います。期間も一週間から10日程度が適当ではないでしょうか。[2009年10月16日]
(院長:田中温)
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:20回 人工授精:7回 体外受精:1回
 初めての体外受精(IVF)をしました。2個の卵が採れ、翌日の受精確認で1個が受精していました。本日、採卵2日目に黄体ホルモンの注射を打つために病院に行きましたが、受精卵が分割していないといわれました。
 明日の夕方に再度病院に行って、分割を確認する予定ですが、採卵2日目で分割していない場合は、もうダメなのでは...と思っています。2日目に分割していなくても、3日目、4日目と分割が進むことがあるのでしょうか?
 また、もしも今後分割が進んだとしても、妊娠率は低いのではと思ってしまいますが、どうでしょうか。教えて下さい。
 明日も、分割していなかった場合は、今後の治療方針として、何に気をつければよいでしょうか?

 今回の体外受精(IVF)の排卵誘発法は何ですか。また、人工授精(AIH)のときには、HMG等の注射をうっていましたか。うっていたとしたら、卵はいくつくらいできていましたか。
 2日目の時点で分割していないということですが、2細胞にもなっていないということでしょうか。もしも2日目で2細胞になっていないようなら、3日目、4日目に分割するのはかなり難しいと思います。
 ただし、2日目に2細胞と、少なくとも分割をしているのであれば、3日目、4日目に分割が進むこともあります。順調に分割して妊娠すれば、その後は問題ないと思います。
 今回、分割しない場合は、次回は排卵誘発方を変えてみるといいでしょう。主治医とよく相談され、必要であれば顕微授精(ICSI)を行うことも考えるといかがでしょうか。[2009年10月1日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:5回 体外受精:3回
 FSHが高く(12〜32)、月経3日目までのホルモン値、胞状卵胞をみて治療開始しています。卵巣機能が悪いこともあり、低刺激の誘発で採卵中ですが、3回の採卵を行った結果、全て未熟卵です。
 1回目は、月経3〜8日にセロフェン2錠×2を内服し、月経19日目で3個採卵、すべて未熟卵
 2回目は、フェマーラ、隔日にフォリスチムを使用して月経14日目で3個採卵、すべて未熟卵
 3回目の今回も、2クールのカウフマン後にFSHが12になったのを確認して治療開始となりました。
 月経1日目からセロフェンを7日間、フォリスチム、HMGを隔日投与し、卵胞が18mmでHCGに切り替えて生理17日目に採卵しました。8個採卵できましたが、全てが未熟卵でした。IVMをしましたが途中で全て変性卵になり今回もダメでした。
 未熟卵しか採れない場合、誘発方法を変えてみてはどうかと、過去の回答に見つけたのですが、具体的にどのような方法があるのでしょうか?

 あなたと同じような悩みをお持ちの方は意外と少なくありません。排卵誘発法を変えても、おそらく結果は同じだと思います。おそらく、卵子が成熟する過程で必要な物質が不足しているか、反応が悪いかによるためだと思います。少し専門的になりますが、MPFという物質の作用が不十分なのだと思います。
 例えば、カエルの未成熟卵に成熟卵のMPFを含んだ細胞質を一部注入すると、未成熟卵は全て成熟卵となります。すなわち、このMPFというタンパク質の一種(ホルモンのようなもの)が、うまく働いていないためと思われます。
 本来ならば、若い人の卵細胞質を一部注入すればよいのですが、それは倫理的にできませんので、それと同じような働きをするお薬を、薬剤の中で培養すれば、成熟していく可能性は十分あると思います。決して諦めずに頑張ってみてはいかがでしょうか。[2009年10月1日]
(院長:田中温)
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