回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.48 -
年齢:42 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:3回
 前夫が閉塞性無精子症のため顕微授精(ICSI)でしか治療ができず、41歳の時にICSIを3回行いましたが、いずれも胚盤胞まで到達しませんでした。その際、医師からは私の卵子の質が悪いと言われました。
 1年後の今月、パートナーが変わり1度目は自分でタイミングを取り、検査薬では陽性反応が出ましたが、5Wで生理が来てしまいました。流産してしまう原因が染色体異常なら、いつかダメージのない卵が排卵される可能性があると信じて頑張れるのですが、細胞質の老化が原因ならば絶望的な気がします。化学流産するのも、卵子の質が悪いからでしょうか?卵子の質とは具体的にはどのような事を指すのか、教えて下さい。

 流産の多くは染色体異常といわれますが、その他の原因で流産を繰り返す患者様もいます。2回以上流産を繰り返すときは、当院では習慣流産に準じて、検査をします。その結果によってはアスピリン療法やヘパリン療法を行い、流産を防ぐことも可能です。一般的には女性の年齢が35歳を超えると、体外受精をする際に成長する卵の数が減ったり、分割する卵の数が減ってきます。年齢とともに卵の数は減り、質は落ちる傾向にあります。しかし、いろいろな排卵誘発法を行うことで卵の数は変わらないか、減っても質のよい卵が得られることはあります。
 卵は外側の殻、細胞質、核から成り立っており、細胞質と核の状態が卵の質を決めています。個人を決定する核がダメージを受けてしまえば、その卵は細胞として成り立ちません。核が問題なく細胞質が老化している場合の対処としては核置換という手段があります。核置換というのは若い人の細胞質をもってきて、その核を抜き患者様の核を入れ、成長させるという方法ですが、倫理的問題などでまだ実用化はされていません。
 年齢の高い方は、卵の質が落ちるものですが、その中でも1個でも質の高い卵が得られれば可能性はでてきます。卵が成長しているなら頑張る意味はあります。[2011年6月15日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:43 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:2回
 今43歳です。1年ほど前と今回、アンタゴニスト法で採卵し体外受精しました。今回は7個採卵でき、G2を1つ移植しましたが、妊娠に至りませんでした。残りの卵子のグレードはG3でしたが、凍結する前に全滅してしまいました。私の通っているクリニックでは移植数は1つのみですので、もう少し強い(質のいい)卵子を作りたいのです。
 今後も不妊治療を続けるか悩んでいます。卵子の数よりも質を上げる治療法はありませんか?

 卵の質を良くするために漢方療法やビタミンEの摂取など様々な方法が試されていますが、今のところ、年齢、ホルモンバランス、排卵誘発方法が最も卵の質を左右する要因でしょう。43才という年齢で7個の採卵が可能だった事は卵巣の反応はまずまず良いと思われますが、卵子のグレードはあまり良くなかった様ですね。
 次の治療はアンタゴニスト法では無く、ショート法やクロミッドなどの内服薬の併用などを考慮してみても良いかもしれません。顕微授精を試す事も一つの方法かと思います。
 太り気味との事なので、標準体重になるよう減量したり、十分に休養をとったり、栄養バランスに気を使ったりなど体調管理に努める事も効果があるかもしれません。
 いずれにしても主治医の先生とよく相談をして、納得した治療方法を選択する事が肝要だと思います。[2011年6月15日]
(産婦人科医:岡田 潤幸)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:15回 人工授精:6回 体外受精:11回
 凍結胚移植を2回、自然周期で行いました。その際、着床はしましたが、妊娠に至りませんでした。これまでに、刺激周期やホルモン補充周期で胚移植しても全く着床しなかったので、大変な進歩なのですが、妊娠できないのはやはり辛いです。
 今回の周期では、生理12日目の超音波検査で、17mmと13mmの卵胞があり、E2が200、LHが6でした。その日にHCGを注射し、1週間後にアシストハッチングした胚盤胞を移植し、胚移植時のE2は530で、胚盤胞移植から12日後の判定でHCGが38でしたが、着床はしたものの育ちませんでした。着床した2回とも卵胞の大きさが17mmでHCGを注射し排卵させたのですが、HCGを注射するタイミングが早いのではないか、毎日通院して自然に排卵する日を待つ方が良いのでないか、さらに、移植時に、E2が530もあったのも気になっており、排卵していなかったのではないか、など、色々と考えてしまいます。
 もう少し卵胞が大きくなってからHCGを注射した方が良いのではないでしょうか?また、LHが上がってきてしまってHCGを注射すると排卵日が分かりにくいので良くないのではないでしょうか?先生からは、排卵していなかったとしても生理15日目からルトラールを服用したので問題ないと言われましたが、自然周期胚移植では排卵日が重要ではないのでしょうか

 施設により方針は違いますが、当院ではできるだけ自然周期での凍結胚移植をお勧めしております。その理由は妊娠率が良いからです。自然周期の場合はHCG筋肉注射にて排卵させることも行わず、基礎体温と超音波検査、尿中LH検査、頸管粘液検査をこまめに行い自然に排卵するのを待つ方針です。
 なかには卵の育ちが悪かったり、排卵しない事、子宮内膜が十分な厚さにならない事もありますので、そのような場合は残念ながら胚移植をキャンセルして次周期に胚移植の計画を立てます。
 今回の場合、排卵しているかどうかは不明ですが、自然周期、ホルモン補充周期ともに患者様の子宮内膜や卵巣の状態は千差万別です。なかなか期待通り進まない事も多いですし、卵の質によっても妊娠率は大きな影響を受けます。今一度、主治医の先生と相談し今後の治療方針についてお話を伺う事が良いのではないでしょうか?[2011年6月15日]
(産婦人科医:岡田 潤幸)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:4回
 2月から不妊治療を始め、検査の結果、私の卵管がつまっていると診断されました。
 これまでの検査では精子に問題はないということだったのですが、4月に採卵した際は、主人の体調が悪かったのか、顕微授精(ICSI)になりました。15個採卵できたので、胚盤胞まで培養することになりましたが、8分割以上に進まないということで、初期胚を5個凍結保存することになりました。6月初旬に移植する予定です。
 採卵前に先生と話した際に、移植時は「2個戻す」と聞かされていたのですが、移植のスケジュールを決める際に、改めて「1個にしますか?」と聞かれました。聞かれた際は何も考えずに2個戻したいと即答したのですが、今になって不安になっています。
 ・顕微授精した卵を2個戻した場合、卵管に異常があると子宮外妊娠になりやすいのでしょうか?
 ・顕微授精した卵で妊娠した場合、赤ちゃんは10ヶ月間お腹にいられないことが多いと聞きました。2個移植するとなると、10ヶ月間お腹にいられないだけでなく、赤ちゃんに異常がでることはないのでしょうか?
 ・多胎妊娠の場合、脳性マヒの確率が高いと聞きました。顕微授精の赤ちゃんだと、その確率がさらに高くなったりするのでしょうか?

 卵管に異常のある方は正常の方と比べると子宮外妊娠になりやすいということは言えますが、子宮外妊娠が多いわけではありません。また顕微授精だから子宮外妊娠が多いということもありません。現在、顕微授精で妊娠し、産まれたお子さんはたくさんいらっしゃいます。そのお子さんたちが自然妊娠のお子さんと比べて、異常が極端に多いということはありませんし、10ヶ月お腹にいられないことが多いということもありません。
 多胎妊娠の場合は単胎時に比べて流産、早産、妊娠中の合併症が多くなりますが、顕微授精だからといって異常がさらに増えるわけではありません。[2011年6月15日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:4回
 これまでに顕微授精を4回行いましたが、回を重ねるごとに採卵できる卵の数が減ってきています。
  1回目・・・11個
  2回目・・・9個
  3回目・・・8個
  4回目・・・6個
 卵の数が減る原因は、やはり年齢なのでしょうか?あまり気にする必要はないのでしょうか?

 採卵数は回を重ねるごとに徐々に減ってくる傾向はあります。1〜4回の排卵誘発法とHMG量は同じでしょうか。また、卵の質はどうでしょうか。
 排卵誘発法を変えたり、注射量を増やすと数が増えることはあります。今の個数であれば減っても問題はないでしょう。問題は卵の質の低下です。分割している卵の数が減ったり、卵が分割しなくなる方が問題です。質がよいのであれば、今の採卵数で問題ないと思います。[2011年6月15日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:3回 体外受精:9回
 今周期に、HMGの600単位とクロミフェン2錠ずつを5日間服用して排卵誘発をしました。しかし、卵胞は確認できず、血中ホルモン値E2も68〜84という数値でした。4ヶ月前の誘発時にはE2が800を超えていたので、今回の数値の低さにショックを受けました。
 もう一度採卵して移植したいのですが、どんな誘発を試したら良いのかアドバイスをください。

 前回と今回の排卵誘発法は同じ方法で卵が育たなかったのでしょうか。違う方法だったのでしょうか。
 違う方法だった場合、GnRHアゴニスト使用の(1)ショート法(2)クロミフェンのみ(3)フェマーラのみ(4)自然の4通りがあります。HMGとクロミフェンで行ったとき、HMGは毎日でしたか。それとも一日おきに打ったのでしょうか。
 次に向けて月経周期3日目のLH,FSHは測定可能でしょうか。FSHが20を超えたりLHが10を超えている場合は、その周期は排卵誘発をせずにカウフマン療法やピルを内服してホルモンのリズムを整えた方がよいでしょう。[2011年6月15日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:40回 人工授精:0回 体外受精:1回
 凍結胚をホルモン補充周期で移植する為、薬を飲んで、内膜の厚さもホルモン値もOKと診断されました。
 しかし、移植当日に内診してみると、片方の卵巣で卵が大きくなってしまっていました。妊娠する確率は低いけど移植するか、次の周期に移植するかどっちか選んでと先生に言われ、悩みましたが中止にしました。
 今回、治療をはじめた当初E2の数値が189.9と低く、薬の追加で232.1、276.4と上昇していき、やっと当日418.8までになったのに、残念な結末となりました。まさかそんなところに落とし穴があるとは…と動揺してしまい、先生に聞きたいことも聞けませんでした。ですので、4点ほど教えてほしいことがあります。
 1.何故、薬を飲んでいたのに卵が育ってしまったのでしょうか?
 2.卵が育ってしまったために移植中止というのは、よくあることなのでしょうか?またあったら…と思うと心配になってしまいます。
 3.次の治療は自然周期でやるか、ホルモン補充周期で薬を変えてやるかだと思いますが、ホルモン補充の場合、また違う問題が出そうで心配です。ホルモン値と内膜の厚さ、卵が育ってしまうこと以外の要因で移植が中止になる事はありますか?
 4.フロモックス、マーベロン、ジュリナ、デュファストン、プラノバール、プレドニンと、今周期の治療は大量に内服しました。体への影響が気になります。気分が不安定になるか軽い生理痛、ちょっと下痢をする以外に自覚症状はありません。軽めの高プロラクチンでカバサールも週1で飲んでいますが、健康への影響はあるでしょうか?

 今回卵が育った理由はエストロゲンを最初に使用しているからです。本来はエストロゲンを使うことにより排卵が抑制されますが、場合によっては今回のあなたのケースのようにE2が高くなり卵胞が発育することはありえます。そのような場合は移植が中止になることはよくあることです。
 凍結胚移植は、原則的には月経が規則正しい場合にはホルモン補充ではなく、自然周期で移植するほうが妊娠率は高く、流産率は低くなります。ただし排卵日が正確に確認できるのが前提条件となります。また、ホルモン補充の場合でも卵巣が腫れていたり、ホルモン補充の影響ではなく自然のホルモン変化によって卵ができた場合等は移植が中止になることがあります。
 かなり沢山の薬剤を使用しておりますが、短期間ですので健康に害はないと思います。できるならば自然周期移植をされてみてはいかがでしょうか。[2011年6月1日]
(産婦人科医:田中 温)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:6回 体外受精:3回
 右5cmのチョコレートのう腫があります。これまでロング法で2回、嚢腫吸引後にスーパーロング法で1回の体外受精(IVF)をしました。毎回15個位採卵でき、半分以上受精するものの胚盤胞まではいかず、毎回3日目7〜8分割でグレード3の受精卵を1個ずつ移植してきましたが、いずれも陰性でした。
 主治医からは「チョコレートのう腫以外は原因不明で、次回も難しいかもしれない」と言われ途方に暮れています。腹腔鏡は卵巣機能低下があるので(AMHが20以下)一切すすめられていません。何か有効な方法はないでしょうか?

 子宮内膜症は、進行具合や、大きさによって卵の成長や質に影響がある場合と無い場合があります。15個採卵できるということは、反応はいいと思います。あとは、採卵した卵の質の問題でしょう。今後はGnRHアンタゴニスト法やShort法、クロミッド+HMG(FSH)法などに切り替えて排卵誘発法を行ってみてはどうでしょうか。[2011年6月1日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:5回 体外受精:1回
 先日セントマザーにて初めての体外受精を行いました。
 ロング法でHCGを8本打ち、卵子は全部で9個採れ(G1が2個、G2が3個、未成熟卵が1個、残りは空砲)でしたが、「精子もしっかり動いていますので、体外受精(IVF)で大丈夫ですよ」と言われました。
 しかし、分割するスピードが遅くて2個は2分割、他3個はそこまで進んでないとのことで、更に1日培養してみたら変形しはじめ、移植出来ませんでした。培養士さんのお話だと卵子の透明帯の質が悪く、精子が入るのに時間がかかり受精するタイミングが遅くなったのではとのことでした。
 最初に質の良い卵と言われたのですが、採取した時点で透明帯の質が悪いというのは分からないものなのでしょうか?1個だけでも顕微授精(ICSI)をお願いしておけば良かったのでは、何が悪かったのだろう・・・などといろいろ考えてしまい、初めての体外受精で期待した分、とても落ち込んでいます。
 次回からは顕微授精と言われていますが、顕微授精をしたらこの問題は解決できるのでしょうか?もし、顕微授精をしてもダメでしたら、もう諦めた方がいいのでしょうか?

 卵子の質の判定は各時期によって異なることがあります。まず採卵時に卵子の周りの顆粒膜細胞の付着状態、採卵数、柔らかさ等によって卵子の質が良好、普通、低いと形態学的に診断されます。しかしながら顕微授精を行う際にこの顆粒膜細胞をはずしてみますと、採取時には良好と思われた卵子が実は透明帯が厚く、少し黒ずんだり、細胞質の張りがなく透明感のない、質の不十分な卵であったということはよくあります。さらに顕微授精時には良好と思われた卵子でも受精しないということもありえます。最終的な卵子の質の良し悪しの判定は受精、分割、胚盤胞までの発育ができるかどうか、さらには着床するか妊娠するかによって決まります。
 あなたにとって今回は残念な結果となりましたが、次回は顕微授精をすることにより臨床成績が必ず向上するものと思われます。[2011年6月1日]
(産婦人科医:田中 温)
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:4回
 凍結していた胚は、胚盤胞の凍結時間117時間のものです。移植する当日、血液検査の結果もよかったので融解し移植することになりました。しかし、融解してみると移植できる状態ではないと判断され、今回は移植できませんと言われました。
 凍結時間に関係なく、卵子の状態が悪かったということでしょうか?このような事はよくある事なのでしょうか?

 融解後、思ったより胚の回復(蘇生)が進まず中止になるということは珍しくありません。凍結時の胚の質があまり思わしくなかったか、胚の凍結の技術に問題があるかのどちらかだと思います。[2011年5月9日]
(院長:田中温)
年齢:44 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:7回 人工授精:3回 体外受精:10回
 治療暦5年。今までに、採卵を10回しました(ショート法4回、ロング法1回、自然周期5回)。
 胚移植は、新鮮胚4回(初期胚・桑実胚)、凍結胚7回(桑実胚・胚盤胞)と合計11回しました。
 結果は、初期流産1回、着床反応3回でhCGの値はそれぞれ,12,20,15でした。年齢的な事もあり不育症の検査は勧められたことがありません。不育症や着床障害は考えられますか?また検査は必要でしょうか?
 私のように、移植が多くて結果が出ない人には、ZIFT法が有効だとホームページで見ました。
 BMIは24ですが、太っているとオペが出来ないとも書いてありましたが可能でしょうか?
 腺筋症があり、着床環境にも問題があるのでは、と思っていますが、それでもZIFT法は有効と考えられますか?

 なかなか着床できないのは、やはり年齢的な問題が大きいのではないでしょうか。すなわち、胚の質が一番影響力を持っていると思います。 ZIFT法(卵管内移植)は有効だと思います。卵管内移植でのベストな方法は、採卵後凍結し、これを4細胞から8細胞の段階で入れる方法です。 BMIが24は少し太り気味です。身長からマイナス100位の体重にしてください。皮下脂肪が多いと腹腔鏡下の処置のリスクが高くなります。[2011年5月9日]
(院長:田中温)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:7回 体外受精:2回
 今まで体外受精(IVF)をしていますが、採卵時にすでに排卵していたらどうしよう・・といつも不安になります。
 今回はクロミッド+数回のHMG注射での誘発です。スプレキュアは使っていません。
 たくさん卵胞ができている場合、すべての卵が一気に卵巣から出てしまって排卵となるのでしょうか。それとも、時間差で出るのでしょうか。後者の場合は、排卵直後であれば採卵は可能でしょうか。
 もし排卵直後で採卵できたとすれば、その時の卵の質はどのようなものなのでしょうか。分割の進んだ、質の高い卵は期待できるでしょうか?

 排卵は、一気にほとんど排卵する場合や、たくさん卵胞ができていても1〜2個しか排卵しない場合と、卵胞の状態によっていろいろな場合があり、決まっていません。排卵直後であれば、ダグラス窩という場所に針を刺して、腹水を抜いて、洗うとその中に卵が入っていることはあります。 卵の質は卵によって異なるので、いいときもあれば、よくないときもあります。卵の状態というのは日々かわりますので、卵を培養していかないと必ずしもわかりません。[2011年5月9日]
(産婦人科医: 永吉 基)
年齢:46 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:7回 体外受精:10回
 一昨年、海外にて10回目の体外受精(IVF)で初産しました。それ以前9回の移植は、受精卵は良好でしたが着床せず、成功した時は初めての自然周期、凍結胚移植でした。今年の6月に、凍結胚(胚盤胞1個)を移植予定ですが、今回も以前と同じく、自然周期でトライするつもりです。しかし46歳と高齢で心配があります。 生理は出産後半年で再開し、4〜5日のズレはありますが周期的にあります。排卵までは何も補充しませでしたが、私は着床に問題があるようなので、排卵後から黄体ホルモンを補充、移植後から卵胞ホルモンも補充しました。 最後の凍結胚なので、ベストな状態でしたいのですが、以前と同じ移植法でよいでしょうか。

 46歳の年齢では、ホルモン周期での移植のほうが自然周期よりも有利だと思います。自然周期移植時のエストラジオールとプロゲステロンの濃度を測り、その結果より黄体ホルモンの補充が必要な場合には投与されてください。ホルモン周期ですので、黄体ホルモンと卵胞ホルモンを同時に投与することになります。[2011年4月18日]
(院長:田中 温)
年齢:45 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:1回 体外受精:20回
 今まで分割卵移植4回、凍結胚盤胞移植4回の計8回の移植をしました。クリニックの方針で、分割卵移植当日はホルモン値の測定無しでの移植でした。
 凍結胚盤胞移植当日はホルモン値を測定し、P4値が10以上あるということで移植をしました。しかし、判定日はいつもβhCGは全てゼロで、P4は一桁台(1〜2くらい)でした。それが今回最後の凍結胚盤胞移植で陽性が出ましたが、数値は低い状態(βhCG=25、P4=8)でした。その日にプロゲデボー125の注射をして、デュファストンの内服薬(1日3回2錠ずつ)が出て、1週間後に再判定で、βhCGは5に下がり、P4は横ばいでした。
 担当医からは「今回は着床できたけど、継続できなかったのは着床側に原因がある」と説明を受けました。元々黄体機能不全があるので、もう少し黄体ホルモンを多めに補充していれば、妊娠継続ができたのではないかと思いますが、どうでしょうか?

 年齢的に凍結胚移植は、ホルモン周期の方が有利だと思います。ホルモン周期の移植時には黄体ホルモンと卵胞ホルモンが既に投与されておりますので、エストロゲン、エストラジオールおよびプロゲステロンの値はもう少し10〜20を維持できるような内部環境になるはずです。ホルモン周期で凍結胚移植を一度試されてはいかがでしょうか。[2011年4月18日]
(院長:田中 温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:?回 人工授精:14回 体外受精:16回
 不妊治療を始めて7年が経ちました。体外受精(IVF)で2回の妊娠判定が出ましたが、いずれも6週目で駄目になってしまいました。2回の転院をして、現在3件目の病院で治療しています。
 今の病院では毎回採血をしてホルモン値を調べますが、エストラジオール値が極めて低いということです。採卵はともかく、移植もできない状態が続いています。もちろん今までも採卵前にE2値は測定していましたので、まさか失速をしているということは知りもしませんでした。
 もともと、クロミッドやHMGなどの注射への反応が悪く、思ったようには卵が増えない体質のようで、卵も採れて2個という状態です。なので、当然E2は600程度です。最近では自然周期13日頃で100前後という状態が続いています。これでは全然前進できないのではないかと不安です。打開策はないでしょうか?

 移植には、自然周期移植とホルモン周期移植とがあります。自然周期移植でいい結果が出ない場合には、ホルモン周期にされてはどうでしょうか。ホルモンの値を人工的に調整することが可能です。[2011年4月18日]

(院長:田中 温)
年齢:43 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:3回 体外受精:5回
 自然周期での凍結胚移植の事で悩んでいます。
 以前、ホルモン補充周期で失敗したので、今回は自然周期でやりたいのですが、排卵を人工的に起こすためにhCG注射はする予定だと言われました。これでは自然周期ではないのではないか...効果ないのでは...と心配しています。
 自然周期の方がなぜ妊娠率が高いのでしょうか?hCG注射をすると、内膜に対して副作用がありますか?自然排卵で移植する方が妊娠率は高くなるのでしょうか?月経周期は規則的です。

 自然周期移植の場合、当院では原則として排卵まで自然にみます。卵胞が大きいのに排卵しない時、HCGをうって排卵を促すことはあります。近医の先生は排卵まで自然にみないでHCGをうって排卵を促すのでしょうか。HCGをうつとしても排卵しているなら自然周期と捉えられると思います。LHサージが尿検査で出ないときはHCGを打ちます。通常HCGは子宮内膜が厚くなるという正の効果がありますので問題はないでしょう。自然周期の方が卵巣のホルモン環境や子宮内膜に対して自然に変化します。ホルモン補充周期では強制的に子宮内膜を厚くしたり、移植後黄体ホルモンを維持しなければなりませんので卵と子宮内膜との間にアンバランスが生まれやすいのでしょう。自然周期とホルモン補充周期では、妊娠率はそれほど変わらないと思いますが、流産率が自然周期の方がやや低くなる傾向があります。[2011年4月18日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:8回 人工授精:2回 体外受精:4回
 自然周期で6回移植をしていますが妊娠できず、HCGの反応もまったくありません。
 凍結胚盤胞がまだ2個残っているのですが、このまま自然周期で移植を繰り返すことで本当に妊娠できるのか疑問です。基礎体温は二相性で、周期も27日前後で正常、ホルモン値も問題なく、内膜も10mm前後あります。卵の状態は良く、新鮮胚移植、凍結胚移植、胚盤胞移植といろいろ試しましたがダメです。誘発方法は、毎回自然です。
 月経周期が規則正しい場合は自然周期での移植の方が良いと聞きますが、私のように自然周期で妊娠できない場合はホルモン周期で移植した方がよいのでしょうか。

 月経周期が規則正しい40歳未満の方の場合は、自然周期移植の方がホルモン周期移植よりも臨床成績が高くなる傾向が報告されております。しかし、何度も失敗している場合には一度ホルモン周期を試すのもいいのではないでしょうか。[2011年4月18日]

(院長:田中 温)
年齢:40 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:4回
 精子の運動率も量も不足で、これまでに4回の体外受精(IVF)を行ないましたが、着床しませんでした。原因と考えられることは病院から説明はなく、カウンセラーより「続けますか?どうしますか?連絡をください」とのみいわれました。
 40歳になりましたが、まだ続けても望みはあるのでしょうか?月経周期は不規則と記載しましたが、不妊治療を開始する前は28日ぴったりで規則的でした。今回の治療では、生理が来ても高温期のまま基礎体温が下がらなくなり4日目です。卵巣機能が衰えてきていることが原因だと思っていますが、今後について医師からも説明をいただけず、どうすべきか悩んでいます。

 あなたが納得いくような説明を現病院に求めて返事が得られないのであれば、あなたの疑問を解決して、十分な説明が得られる別の施設への転院も考慮に入れた方がいいでしょう。治療施設との信頼関係はとても重要です。ご自身が納得した上で治療をされることがいいと思います
 高齢になるといろいろな不妊の要素が増えます。卵巣では卵の質や数、子宮内膜では厚さがあつくならない、黄体期に黄体ホルモンが十分増えないなど、1つ1つそれぞれの状態に合わせ対応しなければなりません。 今どこに問題があるのか、すべてわかるわけではありませんが、十分な説明とそれに対する理解がなければ不安な気持ちをぬぐうことはできません。今一度説明を聞いて、納得がいくようなら治療を開始してみてはどうでしょう。 [2011年4月18日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:29 基礎体温:二相性ではない 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:0回 体外受精:1回
 初めての体外受精(IVF)を行いました。FTカテーテルの経験もありますが、結果、両側卵管閉塞です。
 今回、アンタゴニスト法で誘発をしました。卵ができやすい体質で、フォリスチムペンで100単位×3日間、75単位×2日間、その後、フォリスチム75単位+フォリスチムペン50単位+セトロタイド0.25mg、翌日はフォリムチム100単位+セトロタイド0.25mgで卵を育てました。左右の卵巣に大小あわせて30個以上の卵が育ち、採卵2日前にゴナトロピン3000単位を注射しました。
 採卵では17個の卵が採れましたが、全てが未成熟卵でした。うち7個が成熟卵の一歩手前ということで1日未成熟卵を培養して、1つだけが成熟卵まで育ちました。主人の精子は量も運動率も問題なかったのですが、急遽、顕微授精(ICSI)となり、受精後3日目で9分割となり胚凍結しています。卵の殻が厚くて硬いためアシスティッドハッチングをして、ホルモン補充周期で胚移殖をする予定です。なるべく自然な形を望んでいますが、はやりAHAは必要でしょうか。また、私のように卵が育ちやすい場合、卵の質をよくするためにはどのような誘発方法がよいのでしょうか?また、未成熟卵を培養した場合、主人の精子が良好な場合でも体外受精では無理だったのでしょうか?

 透明帯(卵子の殻)が硬く、厚く黒ずんでいる場合にはAHAは有効です。
 卵が20個以上では、卵子の質が下がってしまいます。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断がついていますが、PCOSの場合にはFSHの値を少量投与しても時間がかかるだけで、最終的にはかなり多くの数の卵胞が出てしまいます。このような場合には、まずピルを1〜2周期服用して卵胞の数を減少させた後に、アンタゴニストまたはアゴニストを用いたLong法が有効だと思います。胞状卵胞の数を目安に排卵誘発法を行えば、卵胞数を少なくすることが可能です。卵胞数は15個までになるようにされてください。未成熟卵の培養による成績は、かなり低くなります。[2011年4月4日]
(院長:田中 温)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:4回 体外受精:1回
 体外受精(IVF)を行いましたが、すべて前核が1つの異常受精だと言われました。原因は何でしょうか。
 多核の場合は、顕微授精(ICSI)を行うことでその確率を下げることができるのではと思いますが、1つの核しかできない場合は、どうすればいいのでしょうか。

 体外受精(IVF)で前核が1つしかない場合、原因は2通り考えられます。
 1つ目は、精子が卵子内に侵入したが、卵子がそれに反応できず受精できなかった。
 2つ目は、精子が侵入できず卵子が自然に活性化し前核となった。
 この2通りですが、いずれにしても正常な受精ではありませんので、妊娠には至りません。ぜひ顕微授精(ICSI)に入ることをお勧めいたします。[2011年4月4日]
(院長:田中 温)
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