回答一覧 - 男性が原因の不妊について No.13 -
年齢:27 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 私の主人は、子供の頃に慢性骨髄性の白血病のため妹から骨髄移植を受けたそうです。幼少期の白血病治療が原因で、無精子症になる場合があると聞き不安になりました。今から20年くらい前のことで、後遺症はあまり考慮していない治療ではなかったかと不安です。
 主人は、自分に無精子症の可能性があることを全く知らないようです。検査に行けば、はっきりする問題なのは分かっていますが、私から言い出すのも主人に申し訳ない気持ちが強く、大変躊躇しています。
 幼少期の白血病治療が原因で、無精子症になる確率はどれくらいなのでしょうか?

 白血病の治療として使用される抗がん剤には、がん細胞の増殖を抑制する作用があるとともに、正常な細胞の増殖を抑える作用があります。抗がん剤の使用により多少造精機能が低下する可能性は十分考えられます。
 妊娠は夫婦にとって大切なことですので、ご相談のうえ、是非検査を受けられることをお勧めします。[2012年2月15日]
(産婦人科医: 伊熊 慎一郎)
年齢:39 基礎体温:無関係 生理周期:無関係 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 下垂体腫瘍で手術後、全ホルモン値が低下しており、薬で補充が必要となりました。子供を希望しているので内科に通院したところ、とりあえずHCGの注射をしてホルモンの補充を行うことになり、現在週1回打っています。
 ただ妻は今のHCGの注射だけで妊娠が可能になるのか疑問を持っております。HCGの注射を打っているだけで本当に妊娠は望めるのでしょうか?また、HCGの効果が期待できる期間はどのくらいなのでしょうか?やはり泌尿器科で精液をみてもらうか、早く顕微授精を行った方がいいのでしょうか。

 一番大事な点は精子の性状です。精子の数、動きを詳しく調べる必要があります。精子形成には脳下垂体から出るLH、FSHのホルモンが必要です。この2つのホルモンがあなたの場合には減少していると思われますので、LH、FSHの両方のホルモンの投与が必要でしょう。正常な状態になるにはかなり時間がかかると思いますが、反応する割合はかなり高くなりますので、まず泌尿器科で男性不妊症の専門のドクターに診てもらってください。長期戦となりますがちゃんとフォローアップして頂ければ、良い結果が出ると思います。[2012年2月1日]
(院長: 田中 温)
年齢:31 基礎体温:無関係 生理周期:無関係 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回 
 フーナーテストでは精子を1匹確認できたようですが、3回の精液検査では、いずれも精子を確認できず、無精子症と診断されました。血液検査ではホルモン値は正常で、睾丸の大きさは14ミリと16ミリでした。
 これから染色体と遺伝子の検査をします。現段階では、閉塞性と非閉塞性、どちらの可能性が高いと思われますか?また、染色体や遺伝子の異常はホルモン値に影響するのでしょうか?

 閉塞性、非閉塞性を判別するには、FSHの値、精巣の大きさ、精巣上体が腫大しているかどうか、などの点より判別は容易です。
 あなたの場合には、閉塞性の可能性が高いように思われます。閉塞性であるならば染色体検査の必要はありませんが、非閉塞性の場合には必要となります。染色体異常で非閉塞性の代表的な疾患としてクラインフェルター症候群(47, XXY)というものがあります。遺伝子異常はY染色体の長腕の微小欠失が10〜20%認められているといわれておりますが、この遺伝子の微小欠失と無精子症との因果関係は未だはっきりとしておりません。[2012年2月1日]
(院長: 田中 温)
年齢:34 基礎体温:無関係 生理周期:無関係 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 最近テレビや雑誌、インターネットなどで「体外受精(IVF)なら双子や、男女の希望もできる」「セントマザーで手術すれば無精子でもすぐ子供ができる」という話をよく聞きますが、本当でしょうか。
 私は6年前に手術しましたが、精子細胞も見つかりませんでした。無精子症でも精子細胞が見つかって2、3人と子供を授かる人は増えているのでしょうか。

 現在体外受精(IVF)は移植する胚の数を1個(35歳以上は2個)と限定していますので、双子の確率は下がっております。
 日本では男女の産み分けは認められておりません。
 また無精子症には閉塞性と非閉塞性の2通りがあり、閉塞性の場合は精巣上体より精子を回収する方法で妊娠率は高くなっております。しかし非閉塞性の場合には精巣内の精子を回収しますので、なかなか良好な精子は採れず、妊娠率はかなり低下します。無精子症でもその原因によって妊娠の結果がかなり違ってきます。その点を十分に理解された上で治療を行うことをお勧めします。[2012年1月20日]
(院長: 田中 温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:2回 体外受精:3回
 夫が腎不全で透析しており、精子の運動率は3%です。私は12cmの筋腫を摘出し、小さな内膜症があると言われています。
 これまでに刺激法はロング法2回とアンタゴニスト法を、治療は体外受精(IVF)を1回と顕微授精(ICSI)を2回しており、ICSI時の精子は2回ともフレッシュです。IVFは受精せず、ICSIの1回目は陽性反応が出ましたが9週で繋留流産し、2回目は6日目胚盤胞を移植しましたが化学流産でした。
 先生からは、残念な結果が出るたびに「染色体異常だった」「卵に元気がなかった」などと言われます。夫の腎不全が原因なのでしょうか?このまま治療を続けて、良い結果が出る見込みはあるのでしょうか?

 ご主人の精子の運動率は3%とはいえ、顕微授精(ICSI)で受精し、妊娠反応が陽性まで至ったのですから、ご主人の腎不全は影響ないと考えていいのではないでしょうか。自信をもって良い結果を期待しましょう。[2012年1月20日]
(産婦人科医:山本 正孝)
年齢:29 基礎体温:無関係 生理周期:無関係 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:3回
 無精子症と診断されたため精巣精子回収法(TESE)を受け、精細管内に精子が存在していることが分かりました。これまで3回顕微授精(ICSI)を行っていますが、受精卵は1個しかでず、その後分割しませんでした。他の多くは第二極体が確認できるものの、核が1つしかない状態です。毎回の採卵で10個以上の卵が採れますが、ICSIをしても5個程度にしか反応がなく、核は1つしかありません。妻もいろいろと検査しましたが卵の状態も良く、特に問題はないようです。
 顕微授精の受精率は比較的高いと聞きますが、我々の場合受精率が1%未満というかなり厳しい状況です。TESEの結果では閉塞性無精子症で精子の数は多いとのことですが、やはり受精率が悪いのはTESEの精子だからでしょうか?

 精巣精子回収法(TESE)で回収した精子の状態が悪いのではないでしょうか。不動精子や奇形精子ではほとんど受精しません。このような場合には必ず同時に存在する後期精子細胞を用いることが有効だと思います。また採取した精巣精子の凍結法の技術の差も結果に大きく影響します。
 閉塞性無精子症であるならば、TESEではなく精巣上体より精子を採るMESAの方が、間違いなく良質で多数の精子が採れますので受精率は高く、妊娠率も高くなりますので、MESAを受けてみてください。
 ただし、この方法は泌尿器科の医師はあまり好まないようです。しかし、間違いなくMESAの方が良い成績が得られます。[2012年1月20日]
(院長: 田中 温)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:0回 体外受精:0回
 結婚3年目、共に30歳の夫婦です。夫は仕事上不在(2カ月不在の後20日休み)が多く、注射や薬を使用したタイミング法を行なってきましたが妊娠しませんでした。1年前に精液検査で夫が無精子症と発覚し、不妊専門病院を転々と紹介され、血液検査やエコーを半年前に受けました。結果は、FSHが15.5で少し高めでしたが、エコーでの異常は見られませんでした。再度精液検査もしましたが、やはり精子を発見できずに転院し、10月に初のTESEを行ないました。
 結果は、精子、細胞ともに発見できず。精巣が生まれつき小さく難しいケースといわれ、現在夫は処方された薬を服用しています。今後は様子をみていくそうですが、夫婦共に子どもが大好きで、特に保育士の私は、保育士の夢とともに、人一倍母になることを夢見てきました。TESEの後、これからどうしたらいいのか二人とも落ち込んでいます。もう夫の子どもは諦めるしかないのでしょうか。何かまだ治療法があれば教えてください。

 ご質問の内容では、非閉塞性の無精子症だと思います。
 どの精子細胞に受精能力があり、妊娠に期待できるかという点に関しては、施設間の判断に差がある場合もあります。当院は精子細胞を用いた治療において、400人以上の生児を得られておりますので、他施設とは異なる結果となるということがあります。
 精巣生検は大変辛い検査ですが、挙児をご希望であればもう一度行われてはどうでしょうか。[2011年12月17日]
(院長: 田中 温)
年齢:34 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 夫は36歳です。23歳のときに、全身の77%をやけどし、3ヶ月間入院して皮膚移植しています。また、入院中は50度近い熱が続いていたそうです。
 先日夫と精液検査に行きました。結果「精子0」だと言われましたが、「稀に精子が採取できていないことがあるので再検査を」とも言われました。睾丸を調べて精子があるかもしれないそうですが、「精子0」と言われたことで夫も私も頭の中が真っ白になってしまいました。私より夫の方がショックだと思いますが、何をどうしたらよいのかわかりません。夫は高熱で精子が作れなくなったのでしょうか?妊娠する可能性はありますか?

 やけどをする前の精子の状態がどうであったのかが分かりませんので、無精子症の原因が高熱であるのかどうかは分かりません。無精子症については、ホルモン検査、睾丸検査で閉塞性か非閉塞性かを鑑別します。また、非閉塞性であったとしても、当院では精子になる前の細胞を用いての顕微授精(ICSI)を行なっておりますので、一度、思い切って検査を受けられることをお勧めします。[2011年12月17日]
(産婦人科医: 山本 正孝)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:4回 体外受精:0回
 セロフェンを処方しており、お薬の成果か卵は毎回30mm以上あり、排卵もスムーズに出来ています。主人の精子運動率は毎回50%くらいです。数は1億だったり7000万だったりと問題ないと思いますが、『とても良い』の精子の状態が1〜5%程度なのでとても心配です。主人には漢方を処方してもらっていますが、特に改善が見られていないのが現状です。数値的に、問題はあるでしょうか?
 また、先日4回目の精子の結果の用紙に『処理後』と追記されていましたが、その時も運動率50%でした。この場合、処理前はもっと数値が低かったと言うことでしょうか?また、これから2ヶ月ほど治療もお薬もお休みして心身を休めるつもりですが、期間があいてからの人工授精(AIH)は確率が落ちたりするのでしょうか?

 基本的に、精子処理後だと運動率は上昇しているとお考えください。
 人工授精(AIH)の妊娠率は7~8%と低いものですから、精子の症状が軽度であれば適用となります。ただし、中等度以上の障害がある場合には、人工授精の妊娠率は非常に低くなります。精子数は問題ないようですが、処理後の運動率が50%だと中等度の精子無力症の対象となりますので、体外受精(IVF)にステップアップされることをお勧めいたします。[2011年11月2日]
(院長: 田中 温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:1回 人工授精:回 体外受精:回
 夫が44歳で、現在うつ症状の軽減のため、半年前からスルピリドを1日100mg、サインバルタを1日20mg服用しています。服用し始めてから、性欲減退やEDなどの症状が見られ、マスターベーションでも射精しなくなってしまいました。精神安定剤の服用を減らしたり、種類を変えたりできないかと心療内科に依頼するのですが、改善していません。夫の精液検査はこれからですが、検査のための射精もできないのではと心配です。
 私は卵巣予備能が44歳相当と言われていますので、治療を急ぎたいのですが、良い方法はありますか?

 ご心配のことと思います。うつ病自体が性欲の減退症状が強い上、治療薬の副作用がそれを増強させてしまいます。かといって治療を中止する訳にはいきません。
 勃起不全の治療にはバイアグラ、性欲促進剤にはプロピオンのようなドパミン取り込み阻害薬がありますが、日本では未承認であり慎重に服用しなければなりません。マスターベーションが可能になれば精子の凍結保存が可能になりますが、最終手段にはMD-TESEなど外科的に精子を採取するという手段もあります。[2011年11月2日]
(産婦人科医:山本 正孝)
年齢:26 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 主人は精液検査を3回行ない、精子数は0、血液検査や睾丸の大きさに問題はなく、おそらく閉塞性無精子症だと診断されました。数年前に副睾丸炎にかかっていたことがあるため、それによる閉塞でないかと言われました。
静脈瘤の閉塞には手術など治療手段がありますが、副睾丸炎による閉塞の場合は人工受精(AIH)しか方法はありませんか?また、何年経っても閉塞が自然に戻ることはないのでしょうか?

 人工授精(AIH)をするには、精子数が足りません。また、閉塞した精細管が自然に元に戻る可能性は、ほぼ0と考えております。
 閉塞性無精子症の場合、精巣上体精子回収法(MESA)が最も有効です。精巣上体より精子を採取して凍結保存し、顕微授精(ICSI)をすることで、妊娠成績は高くなります。ただし、この手技には1日の入院が必要です。
 精巣内精子回収法(MD-TESE)は明らかに成績が低下しますので、一日でも早くMESAの施術を受けることをお勧めいたします。[2011年10月15日]
(院長: 田中 温)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:6回 体外受精:6回
 私側に特に不妊の要因は見あたりません。主人は中等度の精子無力症、乏精子症です。主人は58歳で、前妻との間に20代の時に子供を3人年子で授かっています。
 私たちの不妊治療歴は5年になりますが、不妊治療を始めたときは主人の精液検査の結果はかろうじて基準値内でしたが、年をとるにつれて一直線に主人の精液検査の結果が悪くなっており、現在精子濃度2000万、運動率22%、奇形率88%です。受精率も一直線に下がっており、次は顕微授精(ICSI)でないと難しいと言われました。
 男性は年をとっても精子を作り続けられるので、妊娠には影響はないといわれましたが、年とともに精液検査の所見が悪化しているのをみると、子供を授かれる年齢は過ぎたように思え、妊娠はあきらめた方がよいのかと思ってしまいます。男性も年をとるにつれて女性と同じように妊娠しづらくなるのでしょうか。また男性の年齢は子供へ影響するのでしょうか。

 男性の精液所見についてはかなりの個人差があり、過去にも驚くほど高齢の男性が子供を作ったという話は数々あります。
 しかし、現代の男性の方が、ストレスなどの関係があり受精能力が落ちている傾向にあります。まさに、ご主人の精液所見が現代男性の象徴であるかもしれません。生殖医療の最前線である顕微授精(ICSI)では、精子数がそれ以下でも受精可能です。また、妊娠にいたったとして、男性の年齢が子供に影響を与えることはありません。[2011年10月4日]
(産婦人科医:山本 正孝)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:0回 体外受精:0回
 主人は39歳で、私は32歳です。結婚4年目になります。なかなか子供に恵まれず、不妊治療を始めて半年がたちます。私は7年前に甲状線疾患を患い甲状腺全摘出手術をしてから毎日チラージンを服用しているのですが、ホルモン検査などは異常ありませんでした。しかし、フーナーテストと精液検査の結果が良くなく、先生からは人工授精(AIH)をすすめられました。精液検査の結果は以下の通りです。
(精液検査)精液量:2.2ml 運動率:20% 精子濃度:1100万/ml
SQA:65 奇形率:35% 前進性:16% 細胞成分:600万/ml
 このような結果だと、自然妊娠は難しいでしょうか?AIHだと妊娠可能な数値なのでしょうか?主人も私も出来れば自然妊娠を望んでいるので、なかなか踏ん切りがつきません。

 フーナーテストと精液検査の結果が悪かったとのことですね。精子濃度が2000万/ml以下ですので、やはり自然妊娠は難しいと思います。人工授精(AIH)でも妊娠可能とは充分に言いきれませんので、何度かチャレンジして良い結果が得られなければ、体外受精(IVF)にステップアップすることをお勧めします。[2011年10月4日]
(産婦人科医:山本 正孝)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回 
 夫がバセドウ病で、半年前から治療薬としてメルカゾールとヨウ化カリウム丸を服用しています。病院には、治療薬の服用前に採取した精子を凍結保存しています。
 胎児への影響を考えると、薬を飲んでいてもフレッシュな精子を使用したほうがいいでしょうか?それとも病院に保存している凍結精子を使用した方がいいでしょうか?

 ご主人が服用中の治療薬が精子へ影響を与えることはないと考えていいと思います。人工授精(AIH)であればフレッシュな精子の方が成績は良いのですが、体外受精(IVF)であればフレッシュか凍結かで差はありません。[2011年10月4日]
(産婦人科医:山本 正孝)
年齢:28 基礎体温: 生理周期: タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 無精子症と診断されましたが、現在はまだ不妊治療を始めておらず、今後検討する予定です。
 無精子症の私が性交を行うことで、妻の生理痛を増強したり、悪化させたりすることはあるのでしょうか?また、無精子症の精液は女性に対して何か悪影響を与えることがあるのでしょうか?

 無精子症は閉塞性(精子の通り道が何らかの原因で塞がっている)、非閉塞性(睾丸内の精子を作る働きが低下している)の2種類に大別されます。いずれの場合も、精液の大部分を占める精しょう(精嚢分泌液や前立腺液など)は正常に分泌されます。
 無精子症男性の精漿しょうのサイトカイン(炎症の原因物質)などの影響で、月経痛が増強する様な報告もあるようですが、今のところ明らかな根拠は無いと思います。
 また男性に感染症などが無い限りは女性への悪影響も無いと思います。[2011年6月15日]
(産婦人科医:岡田 潤幸)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 6年ほど前に主人が無精子症と診断され、紹介された病院先でMD-TESEを受けました。1時間ほどの手術の結果、後期精子細胞は見つからず、何もできず終了してしまいました。
 後期精子細胞より前段階の細胞である前期精子細胞や円形細胞などは見つかったのか気になり、手術後に先生へ質問したところ、「今回は後期精子細胞のなかでも妊娠率の高い成熟した後期精子細胞を探したので、それより前段階の細胞があったかどうかはわかりません」といわれました。
 その後、MD-TESEで採取した精細管あたりの細胞を分析したところ、「セルトリ細胞のみ」といったようなコメントが結果用紙に記載されていました。英語のためしっかりとした内容までわからなかったですが、円形細胞などもなく「セルトリ細胞しかなかった」ということなのでしょうか?当時はショックでそこまで突っ込んで聞くことができず、ずっと疑問にもったままです。セルトリ細胞のみと判断できるのは、「円形細胞などがあるかどうかも判断できた」ということなのではないでしょうか?

 精巣生検で採取した組織の中には多種の細胞が存在し、正常な造精機能が認められる場合には精子が存在します。また、後期精子細胞、円形精子細胞、第二精母細胞、第一精母細胞、精祖細胞、セルトリ細胞及び一般の血液の細胞、組織の細胞なども存在しています。「セルトリ細胞のみ」と診断するためには「セルトリ細胞以外の細胞が存在しない」ということが確認できることが前提となります。つまり、「セルトリ細胞のみ」と診断されたということは、セルトリ細胞以外の細胞は存在しなかったということです。
 しかしながら、円形精子細胞と他の細胞との判別は非常に困難な場合が多くあります。最終的にはDNAを対象とした検査で判別ができると考えられています。同じ丸い細胞でも精子細胞であればDNAの量は普通の体を構成する細胞の半分しかありませんので判別は容易になると思われます。しかしこの検査法は一般的なものではなく、研究レベルのものです。[2011年6月15日]
(院長:田中 温)
年齢:29 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:10回
 過去ログを拝見すると、精子細胞での治療の場合、5回を超えたら諦めた方がよいとのことでした。最高では10回目に妊娠された方がいらっしゃるとのことでした。
 私はこれまでに10回の治療をしてきましたが、一度も妊娠反応はなく、受精率も低く、分割しても凍結もできないほど分割がとても遅く、移植キャンセルもありました。
 まだ少し精子細胞は残っています。せっかく見つけていただいたのだし、わずかな可能性があるならと、がんばってきましたが、これ以上の治療は無駄でしょうか。

 精子細胞を用いた妊娠率は、10〜15%ですので、やはりこの治療は今後続けられても妊娠する可能性は低いと考えます。まだある細胞を全て使い切り、それでも一度も妊娠しなかった場合には、AID(非配偶者人工授精)や養子、または2人だけの生活など、次のステップに入られてはどうでしょうか。[2011年4月4日]
(院長:田中 温)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:6回
 後期精子細胞で6回治療し、一度だけ陽性反応がでたのを励みに治療を続けています。(3日目7分割胚を採卵周期に移植し、胎嚢らしきものは見えたもののはっきりと確認はできず。)
 前回の質問で、「後期精子細胞の治療は5回をめどにして非配偶者間人工授精(AID)や養子、2人だけの生活などをお考えになるのも1つの方法だと思います」との回答もありましたが、最高で何回目の治療で出産された方がいますか?やはり5回を越えると妊娠の可能性は低くなるのでしょうか?一度陽性反応が出たことと、そこそこ良い卵が採れているので、次こそはと期待をし、治療をやめるタイミングを失ってしまいそうです。アドバイスをいただけると嬉しく思います。

 最高では10回目の治療で出産された方がいます。1回目のTESE(精巣精子採取法)で細胞を使い切り、2回目のTESEの細胞で出産された方などおられますが、一般的には2回以上の反復TESEは、ご主人の健康を考えてお勧めしておりません。やはり、ステップアップする時期はあると思います。決断が必要となります。[2011年2月17日]
(院長:田中 温)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:5回
 後期精子細胞を用いた治療では、以前、年間300人が治療して産まれてくるのは20人程とお聞きしました。
 最近、色々なブログや掲示板などで後期精子細胞からの妊娠・出産報告を見かけるのですが、以前より妊娠率、出産率は上がってきているのでしょうか?

 1年間に約30〜40人のお子様が誕生されております。妊娠率や出産率は、排卵誘発法や培養液の改善に尽くして、少しずつ向上してきております。[2011年2月17日]
(院長:田中 温)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 主人の初回の検査で、精子数2万/ml以下、奇形精子率60%以上、精子運動率0%、高速直線精子も0という結果で、精子減少症と診断されました。再検査を予定していますが、検査結果が変わることもあるのでしょうか?そうであれば、次の検査に行く時に気をつけるべきことを教えて下さい。
 親や親族にも、このような不妊をもった方はおらず、本人はものすごく落ち込んでいます。5年ほど前に扁桃腺肥大で、高熱を出したのですがそれが原因で精子に異常がおきた可能性もあるのでしょうか?顕微授精(ICSI)で授かれるのであればと思っていますが、大丈夫でしょうか。

 精液検査のときのご主人の体調はどうだったのでしょうか。寝不足や、風邪、発熱など体調が悪いときには、精子所見が悪いことがよくあります。次の検査時には、2〜4日くらい禁欲期間(精子を出さない状態)をとって体調のいい時に受診してみてはいかがですか。状態が悪い場合でも顕微授精(ICSI)によって、妊娠の可能性はあります。 状態が悪い方でも漢方等の治療で改善がみられることもありますので、まず再検査し、必要に応じて治療を選択されると良いでしょう。[2011年2月17日]
(産婦人科医:永吉 基)
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