回答一覧 - 女性が原因の不妊について No.2 -
 Cushing症候群で、月経がありません。妊娠はできないのでしょうか?

 Cushing症候群の場合には、その診断と程度によりますが、一般的にはステロイド剤などで、副腎のと機能が正常に戻ることにより、妊娠は可能となります。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
 23歳で子宮内膜症が見つかり、薬で治療をしました。内膜症もよくなり、結婚もしたので、治療をやめました。しばらくは自然妊娠をと試してみたのですが、やはりうまくいかず、現在は人工授精(AIH)を受けています。子宮内膜症があると、着床率が下がると噂で聞いたのですが、本当でしょうか?

 子宮内膜症があるだけで、着床率が下がるということはありません。但し、子宮腺筋症がひどく、子宮内腔が圧迫されてきますと、子宮の内膜が薄くなってきますので、その結果、着床率が下がる可能性はあります。子宮腺筋症がどんどん進む前に早く妊娠、出産されることをおすすめ致します。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
 ひどい生理痛があり、25歳の時に婦人科で検査をしたところチョコレート嚢腫だと言われました。色々と調べてみたところ、チョコレート嚢腫は、卵巣がんになりやすいと書いてあったのですが、本当ですか?これを読んでから、不安で仕方ありません。

 子宮内膜症と卵巣癌との間には、はっきりとした因果関係は認められておりませんが、長い年月の末に子宮内膜症、(チョコレート嚢腫)が癌になったという報告はあります。但し、これは、チョコレート嚢腫が高率に癌になるということではありません。チョコレート嚢腫が大きくなると発育卵子の数が減ってきますので、直径が5〜6cm大となった場合には、手術で摘出した方がいいと思います。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
 子宮内膜症がありますが、不妊治療にはそこまで影響はないということで、治療を続けています。友人から、内膜症があると、卵の質が下がると聞きました。妊娠できないのは、これが原因なのでしょうか?内膜症の治療をした方がよいのでしょうか?

 卵巣の子宮内膜症があると、卵ができる部分が減ってきますので、数は減ってしまいます。しかし、発生した卵子の質は下がりませんので、ご心配いりません。但し、発育する卵子の数が減ってきますので、全体としての妊娠率は下がってしまいます。子宮内膜症が進行する前に早く妊娠することをおすすめ致します。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
 月経痛と日常的な腰痛がひどく、婦人科を受診したところ、子宮内膜症と診断されました。先生は、はやく出産をすることが、この病気の一番の治療だとおっしゃいましたが、わたしは未婚ですし、まだ出産も考えていません。将来は出産をしたいと考えていますが、子宮内膜症は不妊の原因となると言われ、心配しています。今、できる治療をしておきたいのですが、どういった方法があるのでしょうか?

 未婚の女性における子宮内膜症の治療法は、保存的治療(GnRHアゴニストを用いた治療、注射またはスプレー)と外科的処置(腹腔鏡下もしくは開腹)があります。さらにアルコール固定という方法もあります。どの方法をとるかは、症状、大きさ、年齢などで変わってきます。症状が非常に強く、月経時の痛みが強い場合には、まずは内科的に注射やスプレーをすることが一般的です。但し、嚢腫の大きさが5〜6cm以上の場合には、内科的な方法では、ほとんど効果がありません。嚢腫が大きい場合には、経膣的に細い針で内容液を抜くアルコール固定がいいかもしれません。(性交渉の経験がない場合には、経腹的に行うことも可能です。)このアルコール固定は、内容物を吸引し、中にアルコールを入れて、内膜症の組織を変性させる方法ですが、その効果が十分でない場合には、再発する可能性が20〜30%程度あります。再発した場合には、アルコール固定を、2〜3度繰り返すと、成功率が少し高くなります。何度行っても再発する場合には、腹腔鏡下に嚢腫を取り出すことが必要となります。しかし、このアルコール固定は決して100%安全ではありません。針を刺した穴からアルコールが腹腔内に漏れると、腸などの組織に対してダメージを与えることもありますので、十分な注意が必要です。癒着などが強く、漏れが予測できるような場合には、アルコールのかわりに抗生物質などを入れて、内腔を閉鎖させる方法もあります。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
年齢:25 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:0回 体外受精:0回
 不妊治療を始めて、約1年半になります。薬を使って、排卵をしています。高温期が短い為、黄体機能を補う薬を使用しています。夫の精液には問題ありません。
 以前、フーナーテストで精子が子宮までいかないと言われました。子宮の入り口には生きた精子がいるそうですが、子宮内には死んだ精子しかいないそうです。検査は2回しましたが2回ともそうでした。通っている病院は、不妊専門病院ではないので、特に治療はすすめられなかったのですが、私は早く子供が欲しいと思っています。私の場合、自然妊娠は難しいのでしょうか?

 生きた精子が子宮内に認められないことから、女性の体に精子に対する抗体ができて、精子が死んでしまったり、動かない状態になっていることが予想されます。おそらく抗精子抗体がつくられているのでしょう。自然妊娠にこだわるのであれば、3〜4ヶ月間は夫婦生活のときにコンドームを使用してください。そして、少量のステロイドを内服し、抗体価を下げてタイミングをとるのがよいでしょう。ステロイドで副作用が出たり、その効果が不十分な場合には、次のステップとして人工授精をおすすめします。人工授精では、採取した精子を洗浄しますので、精子周囲についた抗体を洗い流すことや、チューブを子宮内に入れることで(子宮の入り口である頚管を通り越しているので)タイミングよりもより効果的です。[2006年2月15日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 海外に在住しています。クロミッドを服用し始めて3ヶ月目に入りました。半年前までは日本に住んでおりましたが、高プロラクチン血症と診断され、デパロを服用しておりました。ところが、米国の病院にかかると 「高プロラクチン血症ではない。」という診断で、現在は日本から持参したデパロを服用せずにいます。日本ではデパロを服用しないと子供は授からないと言われたので、大変困惑しております。言葉の壁もあり、思った事が100%伝えられないので、このままで良いか、とても不安なのです。
 今後、人工受精や体外受精も考えているのですが、高プロラクチン血症の場合、完全に治さなければどんな場合でも妊娠に至らないのでしょうか。デパロを勝手に服用しようとも考えているのですが、クロミッドを服用しているため不安です。どうすればよいでしょうか?よきアドバイスを頂けないでしょうか。

 乳汁分泌などの自覚症状がない場合の高プロラクチン血症の診断は、血中のプロラクチンの濃度で決まります。しかしプロラクチンの濃度は、採血時における環境の影響を受けやすいために、評価が変わることがあります。これを正確に診断する検査として、TRHテストがあります。これは、プロラクチンの分泌を刺激して、濃度を高くする薬剤を注射し、どのくらい反応するかによって、潜在性を含めたプロラクチン血症があるかどうかを調べる検査です。この方法は、是非、受けられると良いと思います。
 デパロを利用しないと妊娠しないというのは、少しオーバーかもしれませんが、このお薬は飲まれていても結構ですよ。ただし、デパロは胎児に影響があると言われておりますから、妊娠を確認した時点で直ちに中止されて下さい。このように、服用によるリスクもありますから、まずはTRHテストを受けられて、その結果で判断されてはどうでしょうか。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
年齢:27 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:1回 人工授精:2回 体外受精:1回
 不妊治療をしていますが、排卵障害もなく、フーナーテストも(−)です。不正出血がたびたび起こるので、そのたびに治療が中断してしまいます。人工授精(AIH)では、誘発剤を注射中に出血し、中止したことがあります。体外受精(IVF)では、移植後、生理が来ましたが、その生理が終わってから3日後にまた出血が始まって18日間続きました。
 先月には、周期13日目から出血しました。受診すると排卵時期という事で、タイミングを取るよう勧められ、HCGを打ちました。結局は、出血中にタイミングなんて取れませんでした。HCGを打った翌日からは、不正出血とは思えないくらいの(生理かと思うくらいの)出血が始まり、周期25日目の今も続いています。
 初潮から生理周期はずっと不規則ですし、出血もたびたびありました。どんな原因が考えられるのでしょうか?規則的な周期にするにはどうしたらいいのでしょうか?

 生理周期が不規則ということから、排卵がうまくいっていない・卵胞が成長していないといった可能性が考えられます。診察時に卵胞が成長しているのは確認されているのであれば、無排卵性の月経異常と思われます。
 不正出血が続くなら、ホルモン治療として、プロゲステロンあるいはエストロゲン+プロゲステロンの内服や注射で、子宮内膜を古いものから新しいものへ変えていく必要があります。また薬を使っても場合で、子宮内膜が厚い場合は、麻酔科にて子宮内腔の掻爬をした方がいいと思います。いずれにしても、まずホルモン治療や子宮内膜掻爬後に、外からホルモンを補い、リズムを整えて、それから排卵誘発剤の投与を始めることをおすすめします。また、不正出血が続く場合には、年齢が若くても、子宮癌(頚癌、体癌)の検査を1度は受けて下さい。[2006年2月15日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 夫が閉塞性無精子症で、顕微授精を6回しましたが、1度も妊娠しなかったので、7回目の顕微授精の時は胚盤胞まで培養し、さらにアシストハッチングをして移植しました。結果、妊娠反応が陽性になって胎嚢は確認できたのですが、数日後、切迫流産となりました。心配だったので、2週間入院させてもらいましたが、結局、心拍が確認できず、翌月流産と診断され手術しました。
 不妊治療を始めて1年半になりますが、当時は大きくなかった子宮筋腫が、今ではかなり大きくなっています。担当の先生は、妊娠したから更に大きくなったとおっしゃいましたが、不妊治療で使用している薬の副作用とは考えられませんか?また、流産したのは子宮筋腫が原因なのでしょうか?
 また、1〜2回顕微授精して妊娠しても、何度も流産するようなら、筋腫の手術を考えたほうがいいかもしれないと言われたのですが、費用や年齢や体の事を考えると不安です。早く赤ちゃんに会いたいのに、病院に行く気になれません。

 子宮筋腫は、女性ホルモンの影響を受けますので、不妊治療を開始してその大きさが増大したとすれば、不妊治療での女性ホルモンの影響を受けたとも考えられます。また流産に関しては、子宮筋腫が子宮内腔の形に歪みを与えるようなものであれば、その原因につながる可能性も否定できません。このように子宮筋腫があるといっても、流産につながるかどうかは、その大きさや数や位置にもよりますので、医師に詳しく診察してもらうことが必要です。その上で医師の言われるように、あと1〜2回顕微授精しても流産するようなら、子宮筋腫を抜きとる手術(子宮筋腫核出術)を行う方が良いと思います。手術後、2回位通常の月経が発来したことを確認すれば、治療に入れます。合併症がある分、不安感も強いと思いますが、1つづつ乗り越えていけばゴールは近いと思いますよ。[2006年2月15日]
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
年齢:31 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不明 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 先月、下垂体腺腫の摘出手術を受けました。非機能性下垂体腺腫だったのですが、性腺ホルモンだけが少なくなっています。担当の先生のお話によると、半年くらい時間が経てば、回復する期待も持てるとのことですが、自然妊娠は難しいので、不妊治療をしなければならないと言われています。
 月経が不順(下垂体腺腫のため)ですが、子宮や卵巣には異常はないとのことです。私は、奈良県在住なのですが、どのような治療をすればよいのでしょうか?
 以前、婦人科にかかった時にホルモン剤を服用したことがありますが、副作用が強く出て、大変抵抗があるので、できれば、ホルモン剤は服用せず、漢方や鍼灸といった東洋医学に頼りたいと思っています。しかし、私のように原因がわかっている場合は、西洋医学で治療を進めて行くほうがよいのでしょうか?

 脳下垂体からは色々な種類のホルモンが分泌されておりますので、手術の影響でどのホルモンに影響が出たかを調べることが重要です。但し、手術の影響が回復するのに半年くらいかかる場合もありますので、今すぐ結論を出すのは早いように思います。もしも、半年経っても脳下垂体からでる黄体ホルモンや卵胞刺激ホルモン、LH、FSHが低いようであれば、排卵誘発剤を打つ必要があります。その場合は、漢方や鍼灸はあまり効果がないと思います。もう少し基礎体温をつけながら様子をみられてはどうでしょうか。[2006年2月15日]
(院長:田中温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:3回 体外受精:0回
 はじめまして。是非先生のご助言を頂きたく質問させていただきました。
 4年程前に、皮様膿腫と診断され、半年ごとの検診を受けてきました。両側にありますが、右が大きくて5cm、左は小さいと聞いています。サイズは4年前からほとんど変わっていません。
 結婚して1年半で、不妊治療を始めましたが、年齢的なこともあり、早めに人工授精(AIH)へステップアップをしました。先月、3回目のAIHの時に、卵胞が排卵されなかったことがわかりました。主治医の先生は、膿腫との関連も考えられるので、手術をしたらどうか?とおっしゃいました。
 私としては、手術(後)に対する不安もあり、できれば手術をしないで、不妊治療を続けたいと考えているのですが、このまま体外受精などをするのは、難しいのでしょうか?手術にはいくつかメリットがあると思うのですが、術後の癒着や、排卵障害なども心配で、手術にはかなり消極的になっています。このような場合、セントマザーでは、どのような治療方針を考えられますでしょうか。

 卵巣腫瘍は、比較的高い頻度でみられます。特に皮様嚢腫は若干女性にみられることが多い良性腫瘍です。こういった腫瘍が卵巣にあると正常部分に少なからず影響を与えます。排卵に影響を与えることもあると思われます。この皮様嚢腫があることで排卵障害を起すようであれば、手術した方が良いと思います。手術は皮様嚢腫のみを上手にくり抜いて頂いて、できるだけ正常部分を残していただくことがポイントです。妊娠性を残すことを充分にお願いして手術をされたら良いかと思います。手術後、通常の月経が2回程度発来すれば、次の治療に入れます。術後の癒着や排卵障害は、手術時に周囲の炎症が強い状態であるなど、困難な手術にならなければ、問題はないと思います。[2006年2月15日]
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:4回 人工授精:2回 体外受精:0回
 約半年前より、不妊治療をしています。子宮後屈、黄体機能不全、潜在性高プロラクチン等が見つかりました。治療を始めてから、着床時期に不正出血が続くため、今はカウフマン療法をしています。(3周期目です。)
 先日の診察で、子宮腺筋症だといわれましたが、現在のところ、生理痛等はありません。今周期不正出血が起こらなければ、来周期から3ヶ月ほどダナゾール療法を行うことになっています。子宮腺筋症は少しでも早く妊娠することがよいとサイトで拝見しました。ダナゾール療法後のことは、まだ聞いていませんが、やはり早く妊娠するために、体外受精をすることが一番良い選択でしょうか?

 子宮腺筋症と一言でいっても、その程度により治療法はかなり変わってきます。子宮が正常の2倍以上腫大している場合には、GnRHアゴニスト、ダナゾールを使って、腺筋症の程度を下げることは効果があると思います。但し、腺筋症などの内膜症は、完全に治るということはありません。薬をやめるとまた元に戻りますので、腹腔鏡を行い、子宮内膜症がどの程度進行しているかを調べることが大切です。
 卵管が完全に癒着している場合には、自然妊娠、人工授精妊娠は無理ですので体外受精が必要です。体外受精を先にするか、薬を先にするかは内膜症の進行の程度によると思います。月経痛や月経の出血の量、年齢、基礎体温が二相性かどうかなどを参考にして治療法を決めることが重要です。[2006年2月1日]
(院長:田中温)
 結婚前に多嚢胞性卵巣症候群と診断され、結婚後29歳でクロミッド+タイミングで第一子をもうけました。
 その2年後、同じ治療で妊娠しましたが、卵管子宮外妊娠で、左の卵管を切除しました。現在、33歳になりましたが、同じ治療(クロミッド+タイミング)を続けています。卵管が残っている右卵巣は、類皮性卵巣嚢腫があります。このような状態の場合、次はどのようなステップに移るのがよいのでしょうか?

 多嚢胞性卵巣症候群の場合、クロミッドに抵抗性があり、卵ができないケースもありますが、文面からは排卵もしているようなので、もう少し同じタイミングでするか、ステップアップして人工授精にしてもいいと思います。5〜6回行っても妊娠しない場合は、腹腔鏡で腹腔内の癒着の有無や、手術をしていない卵管の通過性を調べることが望ましいと思います。この際、癒着があったり、卵管の通過性が悪いのであれば、体外受精にステップアップした方がいいでしょう。
 類皮性卵巣嚢胞の大きさは小さいでしょうか。大きさが7cmより大きかったり、自覚症状(腹痛や月経不順など)があるときには、先に、手術も考慮した方がいい場合もあります。
(産婦人科医:永吉基)
 1年前に卵管水腫との診断を受け、他院で体外受精を1度受けました。その時には失敗に終わりましたが、卵管水腫の原因が気になっています。
 体外受精の前の検査では感染症の検査はするのでしょうか?体外受精をした時にはその辺の検査内容について、詳しく聞いていなかったのでとても気になっています。卵管水腫とエイズ(HIV)とは関係はありますか?エイズ検査は申し出ないとできないのでしょうか?

 卵管水腫とは、卵管の先端(卵管采)付近で閉塞が起こったために、卵管内膜壁から分泌される卵管液が卵管の膨大部を中心に貯留して膨らんでしまった状態です。この液は卵子や胚にとって悪い影響を及ぼすことが懸念されます。良好な胚を移植しても着床や妊娠に至らない原因ともなります。また、一見矛盾するようにもみえますが、卵管水腫がある方は、子宮外妊娠(卵管妊娠)の確率が高くなります。
治療としては、当院では、腹腔鏡下に子宮と卵管水腫との交通を切断する手術を行っています。開腹手術時に行うこともできます。
 原因としては、開腹手術の既往、虫垂炎(腹膜炎)、クラミジア感染症、子宮内膜炎、子宮外妊娠時の患部卵管温存手術、などが挙げられます。HIVが直接、「卵管水腫」の原因になることはありませんが、あえて挙げるならば、一般に「性行為感染症にかかっている人はエイズウィルスに対する抵抗力が落ちる」というくらいでしょうか。
 患者様の方々のプライバシーの問題がありますので、御本人の了解なしにHIV検査を行うことはありませんが、当院で体外受精をされる御夫婦には全員検査を受けていただくようにお願いしております。
(産婦人科医:粟田松一郎)
 数年前にセントマザーにて不妊治療をしていました。体外受精を4回受けましたが、残念ながら妊娠にはいたらなく、諦めていました。
 いつも子宮内膜が6mm程度と薄く、長期培養もしていただきました。以前は、子宮内膜を厚くする方法がないということでしたが、漢方や注射で治療することができるようになったのでしょうか。

 基本的には、数年前と大きく変わった点はありません。但し、採卵する卵子の質を高くする排卵誘発法が開発され、以前よりは長期培養(胚盤胞移植)の成績が向上しておりますので、同じ薄い内膜でも着床率は少し高くなっております。
(院長:田中温)
年齢:26 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 こんにちは。初めて相談をさせていただきます。2年前に結婚して、ようやく仕事がひと段落したので、4ヶ月前から避妊をやめました。避妊をやめてから、性交後に下腹部に鈍い痛みがあります。長時間続くことはないのですが、避妊をしている時には、何の痛みもなかったので、とても気になっています。この痛みの原因は何でしょうか?アレルギーなどではありませんか?診察に行かなくてもいいのか迷っています。

 精液の中には、子宮収縮を促す成分が含まれているといわれていますので、もしかしたらその作用で、子宮が収縮して痛く感じるのかもしれません。ただ普通の人は、殆んど自覚することはありません。
 性交による下腹部痛の原因としては、子宮内膜症・子宮腺筋症・骨盤内癒着・付属器炎などが考えられます。感染の原因菌としては、大腸菌・クラミジア・淋菌などが挙げられます。
 月経痛があまりないのであれば、子宮内膜症の可能性は少ないかもしれません。経腟エコーで卵巣に「チョコレート嚢腫」ができていることもよくあります。子宮腺筋症の場合には、月経痛や過多月経の症状が出ます。癒着の有無を調べるには、「腹腔鏡検査」があります。
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:0回 体外受精:0回
 生理周期9日目に超音波で卵胞を診ていただいたら、右卵巣に卵胞の大きさは22mmでした。同じ生理周期14日目に、再度卵胞計測をしたところ、右卵巣に19mmでした。体温は14日目にあがり、排卵検査薬では、11日目と12日目に色が濃く反応しました。この場合、排卵は、いつになるのでしょうか?
 また、14日目に診ていただいた卵胞は、9日と同じ卵胞がしぼんでしまったのでしょうか?それとも、別の卵胞が超音波に写ったということでしょうか?教えてください。

 仮に生理周期が28〜30日で順調であるとすれば、9日目の卵胞としては22mmだと大きいと思います。これは、前回の卵胞が排卵できなくて、残っていたのかもしれません。もしも、そうだとすれば、14日目の19mmが今回の卵胞であり、13日目〜14日目に排卵が起ころうとしているのではないでしょうか。そのように考えた方が矛盾は少ないかと思います。
(産婦人科医:永吉基)
年齢:29 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:8回 人工授精:2回 体外受精:0回
 高プロラクチン血症で、テルロン1/2Tを内服中です。
 5日目から、クロミッド2.5Tを5日間内服していますが、卵胞がなかなか大きくなりません。16日目で、11mmしかなっていません。注射を使うと反応しすぎて、治療ができないと言われました。前回の治療では、30日目を過ぎたくらいに20mm大になり、LHキットがプラスになりました。どうしたら、順調に大きくなるのでしょうか?

 お話の内容から推測しますと、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)ではないでしょうか。多嚢胞性卵巣症候群で、クロミッドになんとか反応して排卵していますが、排卵までの期間が長くなるという状態だと思います。
 高プロラクチン血症に対して、テルロンを飲むことは有効だと思いますので続けられて下さい。次回はクロミッドを再度トライしても構いませんが、FSHを75単位少量ずつうって、排卵誘発するのも有効かもしれません。ただしPCOSの場合には、卵巣が腫れやすい状態ですので、モニターを頻繁に行いながら、卵巣が腫れないように注意して行うことが重要です。
(院長:田中温)
年齢:24 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 21歳の時に子宮内膜症の診断を受け、治療をしました。生理痛や腰痛がひどい友人が数名いたので、検査を勧めたところ、半数以上(8名中5名)の友人が内膜症でした。また、内膜症は年配の方の病気だったと聞きましたが、(私の周りばかりかもしれませんが)若い人に多いように思います。内膜症は何が原因なのでしょうか?また、友人はみんなやせているのですが、内膜症と体型には関係があるのでしょうか?

 強い生理痛や腹痛を引き起こす子宮内膜症は、時代とともに増加しており、特に若い女性に増加しています。しかし、その原因は、充分に解明されていません。月経血の逆流説や骨盤腹腔内膜の子宮内膜化、免疫機構の異常等、色々な説はありますが、女性の生活スタイルの変化、出産の高齢化による月経の変化等が影響しているようです。しかし、痩せなどの体型には関係はないと思います。内膜症が進むと不妊症の原因になります。悪化しないように、また月経時の痛みに対する対策も必要ですので、産婦人科医の診療が大事です。検査をした上で、注意深い経過観察を受けていただければと思います。
(産婦人科医・麻酔科医:姫野憲雄)
 今度、卵管水腫を取り除く手術をすることになりました。手術の説明で、卵管を縛るという説明がありましたが、手術後の卵管はどうなるのでしょうか?排卵はできなくなるのでしょうか?手術をして、卵管を縛った後に妊娠したい場合には、どのような治療をするのでしょうか?
 また、手術までまだしばらく時間があるのですが、卵管が水腫で破裂するという心配はありませんか?不安で毎日考えてしまいます。教えてください。

 子宮外妊娠の場合と異なり、水腫が原因で卵管が破裂するようなことはないと思います。わたしは、卵管がどんなに大きくなったとしても破裂した症例を今まで経験したことはありません。大丈夫です。
 手術は卵管と子宮をつないでいる境界部分を切断します。卵管そのものは残りますが、子宮と卵管の交通がなくなるので、妊娠するためには体外受精が必要となります。手術が必要な理由は、卵管水腫の状態のままで体外受精すると、子宮内に移植した「胚」に卵管水腫の液が悪い影響を及ぼして、その卵管内へころがり込んで、そこで着床して子宮外妊娠を起こすことがあるためです。
(産婦人科医:粟田松一郎)
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