回答一覧 - 女性が原因の不妊について No.6 -
 不妊治療で知り合った友人の話で、プロラクチンの話題がよくでてきます。プロラクチンとはどのようなものなのでしょうか?また、プロラクチンはどうして高くなってしまうのでしょうか?「高プロラクチン血症」という病気があると聞き、私もそうなのではないかと心配しています。

 プロラクチンとは脳下垂体から出るホルモンで、出産後、乳汁分泌を司っているホルモンです。ですから、妊娠後の授乳にはこのホルモンが正常に出ることが必要となりますが、妊娠していないときにこのホルモンが出ることは、排卵・着床に悪影響を与え、不妊となりますので、プロラクチン分泌を抑えるお薬が必要となります。 プロラクチンが高くなる原因は脳下垂体に腫瘍ができること、または色々な病気(胃潰瘍、うつ病、高血圧)のお薬による副作用もあります。しかし、原因不明ということもよくあります。また、プロラクチンのホルモンの検査をしても正常値ということもよくあります。
 プロラクチンは非常に不安定で敏感なホルモンですから、検査は月経の5日目ぐらいで、午前中に絶食をして行って下さい。午後になったり、運動をした後などでは値が高くなってしまいます。また、眠っている間には値が高くなるという変化もあります。ですから、単にプロラクチンの値を測るだけでなく、TRHテスト(甲状腺刺激ホルモン分泌ホルモンを注射して、15〜30分の間に2回採血して計測する方法)という負荷テストを行うと、更に正確な値が分かります。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 結婚して3年が経ちます。すぐに子供が欲しかったので、念のため婦人科で検査をしてもらったところ多嚢胞性卵巣症候群だと言われました。目の前が真っ白になったのを覚えています。多嚢胞性卵巣症候群とはどういった病気なのでしょうか?治りますか?

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは多くの症状が認められたグループの総称です。すなわち、「月経不順(生理がきちんとこない)「血液中のLH(黄体化ホルモン)の値がFSH(卵胞刺激ホルモン)よりも高くなる」「超音波で左右卵巣に多くの小さな卵胞がたくさん認められる(首飾りのように見えるネックレスサイン)」の3つが揃った場合を多嚢胞性卵巣症候群と言います。若い女性の排卵障害の中で最も多く認められます。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 ある雑誌に「多嚢胞性卵巣症候群と多嚢胞性卵巣の違いって?」というコラムがあり、読んでいたのですが、意味がよくわかりませんでした。何か違うのでしょうか?

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と多嚢胞性卵巣は全く違います。そして、よく治療が混同されることがありますので注意が必要です。
 多嚢胞性卵巣症候群は、「月経不順(生理がきちんとこない)「血液中のLH(黄体化ホルモン)の値がFSH(卵胞刺激ホルモン)よりも高くなる」「超音波で左右卵巣に多くの小さな卵胞がたくさん認められる(首飾りのように見えるネックレスサイン)」の3つがそろった場合を言います。
 多嚢胞性卵巣では、超音波で左右の卵巣にたくさんの小さな嚢胞が認められる点ではPCOSと同じですが、多嚢胞性卵巣だけであるならば、月経が規則正しく不規則ではありませんし、LHの濃度はFSHよりも低くなります。すなわち,多嚢胞性卵巣だけの場合は、ホルモンには異常がありません。
 ですから、根本的に多嚢胞性卵巣症候群と多嚢胞性卵巣は全く違うとお考えください。多嚢胞性卵巣症候群に行われるべき治療を多嚢胞性卵巣に行うと、かえって症状が悪くなることもありますので、両者の判別は非常に重要です。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 こんにちは。多嚢胞性卵巣症候群と診断され、治療をしています。先日、高インスリン血症というも見られるといわれたのですが、高インスリン血症とはどういったものでしょうか?また、男性ホルモンの増加とPCOSとの関係も教えて下さい。

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)には生活習慣病の1つである糖尿病との合併の頻度が高いと最近報告されております。両者の因果関係については、はっきりとしておりませんが、多嚢胞性卵巣症候群におけるホルモンの異常などが原因でインシュリンに悪影響を及ぼしている可能性もあります。ですから、まず、高インスリン血症を治療する(飲み薬:メルビン)、または、肥満のある方はダイエットや運動療法で体重を落とすだけで、多嚢胞性卵巣症候群の程度が軽くなることもあります。また、高インスリン血症や多嚢胞性卵巣症候群の場合には男性ホルモンが高くなるということも特徴の1つです。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 半年前に多嚢胞性卵巣症候群と診断され、現在不妊治療をしています。「卵巣過剰刺激症候群に注意しながら治療していきましょう.」といわれましたが、多嚢胞性卵巣症候群だと卵巣過剰刺激症候群になりやすいのでしょうか?注意すべき点はありますか?

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、卵巣に未成熟な卵胞がたくさん残存しておりますので、排卵誘発剤を使うと同じ量でも正常の人よりも何倍も反応が強く出ます。その結果、卵巣が腫れてしまって、卵巣過激刺激症候群(OHSS)となることがありますので、十分に注意をして副作用防止に努めなければなりません。
 本来ならば、HMGなどの排卵誘発剤を使いたくはありませんが、ほとんどのPCOSでは飲み薬のクロミッドでは反応しないために注射のHMG製剤を使わざるを得ません。最近開発された遺伝子組み換えで作られたFSHの注射ではOHSSの頻度は低くなっており、その効果は期待できそうです。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 はじめまして。私は、32歳です。多嚢胞性卵巣症候群と言われて、2年前より治療をしています。お願いします。先日、友人(彼女はお医者さんです)と話していて、多嚢胞性卵巣症候群は糖尿病の発症の危険があるといったようなことを聞きました。はっきりと覚えていないのですが、本当でしょうか?何か対処法はありますか?

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と生活習慣病の糖尿病が合併することが最近よく報告されております。両者の因果関係はよくわかりませんが、多嚢胞性卵巣症候群ではLH分泌が増加し、これが卵巣からのアンドロゲンの分泌を増加させ、このアンドロゲンの分泌がインスリンの分泌にそれぞれ働いて増加するということもいわれております。ですから,多嚢胞性卵巣症候群と糖尿病の合併が認められた場合にはまず、糖尿病の治療を先にすると有効な結果が出ることはよくあります。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 多嚢胞性卵巣症候群を克服したいと思っています。電気焼灼が効果的だと聞きましたが、本当ですか?もしそうなら、是非試してみたいと思っていますが、どういった治療なのでしょうか?費用はどのくらいかかりますか?

 多嚢胞性卵巣症候群の治療には、糖尿病が合併している場合には抗糖尿病薬の投与、肥満がある場合には運動療法やダイエットなどが有効です。
 しかし、そのような症状がない場合や、クロミッドに反応しないために排卵誘発剤のHMGやFSHなどを投与せざるを得ず、副作用が出やすい症例の場合には、卵巣の表面を電気メスやレーザーメスなどで焼灼する方法が非常に効果があります。
 焼灼は、腹腔鏡で行いますので、1日の入院が必要です。操作時間は20〜30分で終わり、その効果は約1年続きます。効果としては、自然排卵が50〜60%、クロミッドを用いればほぼ100%排卵するようになります。またHMG後のOHSSの頻度も低下し、非常に有効な治療法です。費用は9万円前後です。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 多嚢胞性卵巣症候群と診断され、メルビンというお薬を服用しています。インターネットで調べると、メルビンは糖尿病のお薬だと書いてありましたが、なぜ糖尿病の薬が効くのですか?

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とII型の糖尿病は内分泌環境がお互いに影響しあっていることがわかっています。ですから、メルビンで糖尿病の症状を軽くすることは、多嚢胞性卵巣症候群の治療にも効果があると言えます。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 3年前に結婚して、2年前より不妊治療を始めましたが、なかなかうまくいかず、検査を行いました。ホルモン検査と超音波検査の結果、黄体機能不全であると診断されました。黄体機能不全とはどういった症状なのでしょうか?また、どのような治療があるのでしょうか?

 黄体機能不全とは、一般的に、高温層が10日未満、黄体ホルモンの値が中期で10ng/ml以下の状態を意味します。しかし、実際には、黄体機能不全という状態は普通の排卵周期ではほとんどないと思います。しかし、排卵誘発剤などを用いた不妊治療の際に、認められることがあります。特にGnRHアゴニスト、アンタゴニストなどの強力なLHの分泌を抑える薬を使った場合には、黄体の発育が不十分となり、着床を阻害することが報告されております。このような場合には、黄体ホルモンの投与が必要となります。黄体ホルモン(プロゲステロン)の飲み薬や注射、又は座薬を症状にあわせて処方します。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 黄体機能不全で、治療をしていますが、体毛が濃くなりました。治りますか?
 不妊治療を始めて、7ヶ月です。数年前から体毛が濃くなってきたと、担当医に相談すると、黄体機能不全かもしれないと言われました。それはどういうことなのでしょうか?どうすれば治るでしょうか?

 不妊治療の内容にもよりますが、普通の一般的なホルモン剤では毛が濃くなったり、多毛になったりすることはないと思います。黄体機能不全で使う一般的な黄体ホルモンではこのような症状は出にくいと思います。
 ただ、あなたの黄体機能不全の基礎に多嚢胞性卵巣(PCOS)がある場合には、体毛が濃くなることがあるかもしれません。また、内科で副腎の検査をしてもらうとよいでしょう。副腎に異常があり、腫瘍などで男性ホルモンが増えてきますと、月経障害、排卵障害、黄体機能不全の原因になる可能性があります。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 こんにちは。現在25歳です。月経は毎月規則正しくきているのですが、友人と話していると、自分の月経量は非常に少ないように感じます。最近少なくなったというわけではなく、初潮の頃から同じです。もしかして、排卵していないのではと心配なのですが、病院を受診したほうがいいのでしょうか?

 月経量が多いか少ないかをご自分で判断することは、なかなか難しいかもしれませんが、大事な点は排卵があるかどうかでしょう。まず、基礎体温をつけて、二相性になっているかどうか、または月経の期間(何日間続くか)、量(1日何回ナプキンを替えるか)などを記録して産科の先生に診てもらってください。貧血がある場合は増血剤、また、筋腫や子宮内膜症がある場合にはその治療が必要でしょう。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 1年に3〜4回くらい、月経の予定日がずれます。月経が来ないということはありませんが、予定日より5〜10日くらい前後します。どれくらいまでなら正常でしょうか?もしかしたら私のずれも異常なのでは...と心配しています。

 一般的に2〜3日のずれは正常範囲だと思ってください。しかし、半月〜1ヶ月以上ずれる場合には詳しい検査が必要だと思います。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 今年で18歳になるのですが、まだ初潮がきません。普通の人は小学校の高学年で初潮がくると思いますが、私は異常なのでしょうか?
 このまま月経がこなかったら...と思うと心配で心配で仕方がありません。いつまで待っても大丈夫なのでしょうか?将来結婚もして、子供も欲しいと思っているのですが、月経がなければ妊娠できませんよね?どうすればよいでしょうか?

 女性の初潮は大体、小学校高学年〜中学校2年生ぐらいが一般的です。18歳で初潮がない場合は産婦人科に行かれたほうがいいと思います。特に身長が低い場合や、乳房、恥毛の発育が悪い場合には、ホルモンの検査が必要だと思います。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 大学を卒業後、会社に入社したのですが、社会人になってから月経が不規則になってしまいました。学生時代の頃は、2〜3日前後することはあっても、毎月順調に月経がありました。環境がかわったからでしょうか?しばらくしたら正常に戻るではと半年待っていますが、不順なままです。元に戻るでしょうか?病院へ行くことも考えていますが、月経不順になってから、どのくらいで病院を受診すればよいでしょうか。

 社会人になると、人間関係などの様々なストレスで月経が無くなることはよくあります。しかし、もともと正常であった方の場合にはあまり気にせず、ストレスを解消する方法が見つかれば、元に戻ると思います。しかし1年以上不順な場合には、ストレス以外が原因の可能性もありますので、一度産婦人科にかかって診ていただいた方がいいと思います。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 友人が、早期卵巣機能不全と言われたそうです。本人もショックを受けていて、詳しいことは聞けなかったのですが、早期卵巣機能不全とはどのような病気なのでしょうか?治療をすれば妊娠することはできるのでしょうか?とてもふさぎこんでいるので、力になりたいと思って色々と調べているのですが、なかなか情報を集めることができません。治療法があれば、教えて下さい。

 早期卵巣機能不全とは40歳未満で卵巣の機能が消失してしまう状態です。もともと初潮がなく、生まれた時からこのような状況の場合と、2次的に何かが原因となってこのような状態になる場合があります。
 一般的には2次的なものが多く見られます。このような場合は、ストレスなどの原因を取り除くことなどで解消できます。また、投薬も効果があります。いずれにしても原因を詳しく調べることが先決です。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 現在36歳なのですが、今までは規則正しくきていた月経が、3ヶ月前から完全に止まってしまいました。友人は、妊娠したのではないかといいますが、最近夫婦生活はもっていません。早期閉経なのでしょうか?早期閉経になってしまったら、もう妊娠することはできないのでしょうか?

 36歳で今まで規則正しい月経があった場合には、いきなり早期閉経は考えなくていいと思います。まずは卵巣、脳下垂体、視床下部などのホルモン検査をされてみて下さい。また、何か無月経となる原因がないかその点も考えられてみてください。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 婦人科の検査で、視床下部に原因がある無排卵症だといわれました。視床下部とは何なのでしょうか?排卵に何か関係があるのでしょうか?治療法などはあるのでしょうか?

 視床下部とは脳にある組織で、脳下垂体に指令を出す場所です。この視床下部からホルモンが出て、脳下垂体からLH、FSHという刺激ホルモンを出します。ですから、視床下部が正常に働かなければ、脳下垂体からLH、FSHのホルモンが出ず、その結果排卵しなくなり、無月経、不妊症の原因となります。一般的にその原因としては、ほとんどの場合が原因不明ですが、ダイエットのし過ぎや激しい運動、肥満などが原因であることも珍しくありません。そのような状況を改善することにより、元の正常な状態に戻ることは可能です。しかし、不十分な場合には詳しい検査、投薬が必要となります。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 先日、病院で「下垂体性の無排卵症」と診断されました。色々と心配や疑問がありましたが、先生がとてもお忙しそうだったので、なかなか言い出せず、自分の状態もよくわからないまま帰宅してきてしまいました。調べてみると、無排卵症には視床下部性と下垂体性があるようですが、下垂体性の無排卵症とはどのような状態をいうのでしょうか?また、何が原因で下垂体性無排卵症になってしまうのでしょうか?治療法を教えて下さい。

 下垂体性無月経とは下垂体に原因があり、LH、FSHが分泌されずに無月経となるものです。原因としては下垂体性腫瘍などがありますが、頻度としてはあまり高くありません。LH-RHなどのホルモン検査で視床下部性か、脳下垂体性かは判別できます。いずれにしても排卵誘発剤のクロミフェンまたはHMG(FSH)の投与が必要となるでしょう。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 普段から腰痛があり、生理の時には痛みもひどかったので、病院を受診すると子宮内膜症と診断されました。今度アルコール固定を受けることになりましたが、とても痛いと聞きました。先日、インターネットで調べていて、レーザー治療も有効であるという記事を目にしました。レーザー治療とはどういった治療なのでしょうか?また、どういったときに対象となりますか?できれば痛くない治療をのぞんでいるのですが・・・

 子宮内膜症の外科的治療の方法として腹腔鏡下にレーザーで病巣を焼灼するというのはいい方法です。しかし、癒着が非常に酷く、処置ができない場合には、開腹手術となります。ですから、あまり進行しておらず、癒着が酷くない場合が適用となります。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 子宮内膜症と診断されて、点鼻薬(スプレキュア)を処方されました。帰宅して使ってみると、体中に発疹が出てしまい、病院に連絡をして中止するように言われました。何かのアレルギーがあるのでしょうか・・。他にもお薬はありますか?

 子宮内膜症の治療薬としてGnRHアナログ(スプレキュア、ブセレキュア、イトレリンなど)があります。このお薬はたまに発疹などがでる場合がありますが、薬によるアレルギーでしょう。点鼻薬が最も有効だといわれておりますので、他の点鼻薬を試されてはどうでしょうか。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
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