回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.17 -
 私達夫婦は重度の男性不妊と診断されましたが、後期精子細胞にて奇跡的に子供を授かることができました。私達のような方の悩みや不安を少しでも解消できるようにと自分でホームページを作りました。アクセス数も増え、色々な方の話を聞くと、不妊治療には、まだまだ期待したいこところがたくさんあります。セントマザーでは研究をされ、色々な学会に出席されていると聞きました。不妊治療における現在の取り組みや、近いうちに実現しそうな技術はありますか?多くの方が希望をもって治療ができるように、情報を教えていただけませんか?

 現在当院で行われている研究についてご報告申し上げます。
 1.核置換
 将来卵子提供が認められるということが前提条件です。卵子が採れるけれども、受精しなかったり、分割が止まってしまうような方は細胞質に問題があります。ですから、自分の核を若い人の卵子の除核した中に入れて受精しますと、自分の遺伝子を持った子供ができるわけです。この核置換は将来不妊症の大きな柱になると思われます。
 2.XY精子の分離
 精子には女児になるX精子と男児になるY精子の2通りがありますが、その精子を安全に分離する方法はまだありません。私たちは赤外線という身体に害を与えない方法でこのX精子とY精子を分離する方法を検討しております。X連鎖性劣性遺伝の回避にも必要な方法だと思います。
 3.PGS(着床前スクリーニング)の意義について
 体外受精(IVF)では染色体異常が高率で起こるといわれており、流産の大半がトリソミーという染色体異常です。ですから、体外受精をして胚移植を行う前に、その割球の一部をとって、染色体を調べ、正常なものだけを戻すと、流産率が低下し、着床率が高くなるということをいわれております。その考え方が本当に正しいのかどうかを現在検討しております。
 4.円形精子細胞の培養
 精子細胞を用いた治療法の成績は精子に比べるとかなり低く、流産率も高くなるという欠点があります。ですから、現在、精子細胞を培養して精子にできないかという研究を行っております。
 5.MD-TESEの開発
 無精子症の精巣から精子や後期精子細胞を採取するためには、どこにその細胞・精子がいるかということがわかる必要があります。従来、肉眼で採取していた精巣生検は、現在では顕微鏡を用いてピンポイントで組織を採る方法(MD-TESE)にかわってきております。更に、従来の光学系に改良を加え、精細管の細部が更に細かく詳細に分かり、精子または後期精子細胞の存在がわかるような光学系を開発しております。
 6.排卵誘発法の検討
 体外受精(IVF)が成功するかどうかの80%は採卵した卵子の質で決まります。いかに質の高い卵子が10個ほど採れるかが、我々臨床医の腕の見せ所です。どのような排卵誘発法を用いればどのような卵が採れるかという方程式は現在まったくわかっておりません。現在では、GnRHアナログ、GnRHアゴニスト、アンタゴニスト、クロミッド、単独、色々な方法がありますが、ちょうど料理のように、少しからいと思ったら砂糖を入れたり、薄いと思ったら塩を入れたりというさじ加減ができる、また、個人個人によって変えていくことのできる排卵誘発法を見つけることを研究し続けております。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 以前、友人から、マイクロサージェリーという手術を受けたと聞きました。ゆっくりと話をする時間がなかったのですが、マイクロサージェリーとはどのような手術なのでしょうか?また、どういった症状のときに行われる手術なのですか?

 マイクロサージェリーとは顕微鏡下に卵管の悪い部分を摘除し、それを縫い合わせる方法です。1番分かりやすい例は避妊のために卵管結紮をした後に、再婚後、再度妊娠を希望される場合、その結紮した部分を切り取り、正常な部分を縫い合わせる方法です。体外受精(IVF)が始まる前、また、体外受精初期の頃はマイクロサージェリーの方が妊娠率が高く、一般的でしたが、現在では体外受精の妊娠率が高くなっており、マイクロサージェリーを行う頻度はかなり減ってきております。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 こんにちは。結婚してそろそろ2年になるのですが、なかなか妊娠しません。不妊治療で病院に通っている友人も少なくないのですが、話を聞いていると、原因は様々だし、お薬や治療法も違うので、私も病院を受診しないといけないと思っています。体外受精を受けている友人がいるのですが、体外受精(IVF)の適用者はどういった方なのですか?

 体外受精(IVF)は、本来卵管通過障害のために行われる治療法として開始されました。しかし、今は卵管の通過障害だけでなく、精子が少なかったり、運動率が悪かったりする場合にも体外受精を行います。更に重症な男性不妊症の場合には顕微授精(ICSI)が必要となります。また、精子、卵子、卵管の全てが問題なくても妊娠しない場合には、原因不明不妊ということで体外受精が広く行われるようになっており、妊娠率は確実に高くなっております。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 不妊治療で病院に通い始めて約1年になります。これまでに人工授精(AIH)を6回行いましたが、残念ながらまだ妊娠には至っていません。今度、体外受精(IVF)を受けてみようと思うのですが、IVFとはどのような治療方法なのでしょうか?AIHとは何が違うのでしょうか?

 体外受精(IVF)とはIn Vitro Fertilizationの頭文字で、身体の外で受精・分割させ、子宮内へ戻すという方法です。排卵誘発剤で複数の卵子を発育させた後に卵子を採取し、身体の中と同じような環境に作られた培養器の中で精子と卵子を一緒にして、分割させ、子宮へ戻します。
 人工授精(AIH)は精子を排卵数時間前に子宮の中に入れるだけの治療です。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 排卵検査薬を使っているのですが、これまで排卵を確認できたことがありません。もしかしたら使用方法やタイミングを間違っているのではないかと思っているのですが、詳しい使い方と注意点があれば教えて下さい。

 排卵検査薬を用いて排卵を確認する方法として、大切なことは、排卵近くの時期に経膣超音波で卵胞を確認することです。経膣超音波で大体1〜2日の誤差で排卵日がわかります。このように排卵日を絞った後に、排卵検査薬を使って、尿中のLHを1日3回(起床時、午後、寝る前)採って測りますと、約2〜3時間の誤差で強い陽性が出ます。この陽性がでた時間の約24時間後に排卵するとお考え下さい。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 先日、子宮内膜症と診断され、スプレキュアを処方されました。GnRHアゴニストにはスプレキュアの他にも色々な種類があるとお聞きしたのですが、GnRHアゴニストを使用する際のメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?点鼻薬と注射でもメリットやデメリットは変わるのでしょうか?

 GnRHアゴニストを使用することにより、血中のLH、FSHの濃度が低下し、安定化します。そのため、注射で投与するHMG、FSHの量で卵胞の発育をコントロールすることで、質の卵子が数多く採れることがメリットです。デメリットとしては、費用が高くなることがあるといった点があります(約2万円)。
 また、Short法を用いますと、卵子の数が少し増えて、卵巣が腫れるという率が少し高くなります。しかし、GnRHアゴニストを使用する際のデメリットはメリットに比べ非常にわずかなものです。GnRHアゴニストを投与したことで、不妊症の治療成績は大きく進歩しました。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
 現在、不妊治療をしています。先日、顕微授精(ICSI)をしたのですが、残念ながら妊娠には至りませんでした。私も夫もショックを受けています。顕微授精は卵子の中に直接精子を注入するという説明を聞きました。それでも妊娠しないとのはなぜでしょうか?どんな原因がありますか?生命の誕生は、どこで、どのようにして起こっているのでしょうか。

 卵子が正常な場合には顕微授精(ICSI)で85%以上は受精します。受精しない場合には、卵子に問題があるとお考え下さい。その場合は、排卵誘発の方法を検討されるといいと思います。
 生命の誕生はどこで起こっているかの定義は倫理・宗教・法律などによって異なります。法律的には妊娠4ヶ月以降は埋葬しなければなりませんので、4ヶ月以降が生命を持った胎児と日本では規定されております。[1周年特別企画 2006年12月20日]
(院長:田中温)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:1回
 凍結胚移植を予定していますが、その移植の周期の14日目頃(移植5〜6日前)に子宮鏡検査をするようにいわれました。
 卵巣に20mmのチョコレート嚢胞があり、軽い子宮内膜症だといわれています。子宮後屈もありますが、エコー上では内膜の異常や筋腫は指摘されていません。
 今回の子宮鏡検査で、ポリープや筋腫、内膜の異常が見つかって処置をした場合、数日後の移植は可能なのでしょうか?それとも周期をあけた方がよいのでしょうか?

 子宮鏡を行う場合には、内腔を見やすくするために、おなかにお水もしくはガスを入れることが必要となります。これらの操作は出血を伴いますので、凍結胚移植の周期にされないでください。
 子宮鏡検査をされるのであれば、ポリープなどの異常をすべて治療されてから、胚移植の前の周期にされてください。[2007年2月14日]
(院長:田中温)
年齢:44 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:1回 体外受精:1回
 これまでに出産経験は3回あり、3人目は35歳で産んでいます。
 42歳の時に子宮筋腫が見つかって、不妊治療を始めて1年になります。現在は、顕微授精(ICSI)をしていますが、1回目ではG1の卵が採れましたがうまくいきませんでした。2回目の戻しもG1の卵があるのですが、うまくいくのか心配しています。現在、44歳ですが、まだG1の卵が採れるのは、老化してないと考えてもよいのでしょうか?年齢的にも、子供を産むのは困難でしょうか?

 採卵時、顕微授精(ICSI)前の卵の評価として、当院ではG1〜G3と判定しています。G1が多くとれる場合は、卵の質がよく、G3が多い場合は良くないということになります。
 ただし、これはあくまで形からみた判定ですので、G1でも分割が良くなかったり、G3でも良好な胚になることもあります。分割が進み、良好胚が得られるのであれば、妊娠は十分可能ですよ。[2007年2月14日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:28 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:1回 人工授精:5回 体外受精:1回
 先日初めて凍結胚移植をしました。4分割で凍結し、移植の前日から培養して、8分割を2個子宮に戻しました。移植の翌日、血の混じったおりものが出ましたが、これは戻した胚が出てきてしまったのでしょうか?
 私は膣坐薬を使っていますが、膣坐薬を奥まで押し込んで10分後に、溶けたものが出てきてしまい、ナプキンをしていないとショーツがぬれてしまいます。膣坐薬は奥まで押し込んでいるのですが、方法が間違っているのでしょうか?そのせいもあって、胚が出てきてしまったのでは・・・と心配です。
 私は3年前に筋腫をとる為に開腹手術をし、卵管が癒着しています。8分割で戻した胚は、1度卵管に戻るとインターネットで見たのですが本当でしょうか?8細胞期で戻した時と胚盤胞で戻した時とでは、妊娠率はどのくらい違うのでしょうか?

 移植の際には、子宮の一部を把持してチューブを入れます。移植した翌日の色のついたおりものは、その針穴からのもので、時間が経つと止まると思いますので、問題はありませんよ。他の原因としては、坐薬は溶ける前は固いので、坐薬があたって少し出血したのかもしれません。こちらも注意して入れていただければ問題はありません。
 膣座薬は、時間が経つと体温で溶ける仕組みになっており、その大半は膣外に出てきます。しかし、効果としては十分吸収されていますので大丈夫です。ご安心下さい。人によってはかぶれたり、かゆみの原因になったりすることもあります。この不愉快な症状に対しては、ナプキン等をあてている方もおられますが、ひどい場合には膣ではなく、肛門に入れても構いません。効果は変わりません。
 子宮内に入った胚がどのようになるのかは、誰も見たことがないと思いますが、一般的には、子宮内に留まると考えられています。しかし、卵管水腫など、卵管に異常がある場合には、卵管の中に吸い込まれて留まってしまい、子宮外妊娠になる率が高くなることは認められています。
 8細胞期と胚盤胞については、1個だけを比べると胚盤胞の方が妊娠率が高くなると思いますが、8細胞期2個と胚盤胞が1個を比べると、妊娠率はほぼ同になると思います。[2007年2月14日掲載][2007年2月21日改訂]
(院長:田中温)
年齢:29 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:8回 人工授精:1回 体外受精:1回
 採卵周期よりも、全胚凍結の自然周期移植の方が妊娠率はよく、流産率も低いということですが、内膜の厚さが十分の場合は、どちらを選んでも構わないのでしょうか?
 以前セントマザーで、採卵周期に桑実胚移植して妊娠に至りましたが、初期流産となりました。流産の原因は、そのほとんどが染色体の問題だと言われていますが、採卵周期に移植したために、ホルモンの状態が悪いことが原因で流産したということも考えられるのでしょうか?
 内膜の状態が良いのであれば、自然周期も採卵周期も変わりないのかなぁと思いますが、自然周期の凍結胚移植の方が良いという理由があれば教えて下さい。

 年齢29歳で月経周期が規則正しいのであれば、ホルモン周期よりも自然周期の方が妊娠率は少し高くなります。一方、月経周期が不規則な場合や、高齢の方の場合には、ホルモン周期の方が妊娠率は少し高くなります。一般的に、採卵のためには多くの排卵誘発剤やホルモン剤を使います。これらの薬剤は、卵巣および子宮内膜に直接作用し、悪影響を及ぼす可能性もあります。これらの悪影響を軽減するために、黄体機能補充として黄体ホルモン等が投与されておりますが、その効果は自然な状態に勝るものではないと思われます。この点より、採卵周期に移植することを控え、全胚凍結し、自然周期に戻す方が妊娠率は高くなるわけです。
 流産率は、採卵周期の方が、凍結胚自然周期よりも高くなります。その原因のひとつとして、着床の状態が乱れることが考えられます。ですから、内膜が同じ厚さであるならば、自然周期の方が着床率は高くなります。それは採卵周期に用いた排卵誘発剤やホルモン剤の薬剤が子宮内膜および黄体に対する悪影響が少なくなるからです。[2007年2月14日]
(院長:田中温)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:4回 人工授精:1回 体外受精:1回
 こんにちは。セントマザーでお世話になっています。
 顕微授精(ICSI)で妊娠したものの6週目で流産しました。基礎体温は二相性になっていますが 排卵までが長く、セキソビットと高温期はデュファストンを飲んでいました。流産後、まだ1ヶ月未満なので、まだ生理はきておらず、体温もガタガタです。今後の治療についていくつか質問があります。
 1. 余剰胚を2日目に凍結してありますが 凍結胚を長期培養してもらう事はできますか?
 2. また余ったら再凍結もできるのでしょうか?
 3. 自然周期移植かホルモン周期移植かはどのようにして決定するのでしょうか?(わたしの場合はどうでしょうか?)
 4. 次回は2回目の生理がきて3日目に来院ということですが、ホルモン周期移植でも来院日は同じですか?
 よろしくお願いいたします。

 凍結胚は、排卵2日後またはプレマリンとヒスロンを同時に飲み始めて4日目(プレマリンは月経1日目から、ヒスロンは月経14日目の診察に服用開始日を決定します。)に融かし、胚の状態をみて、その後3日間追加培養することができます。順調であるならば3日後には胚盤胞になります。このように長期培養は可能ですが、融かした胚の状態で長期培養がおすすめできない場合もあります。すべては融かした胚の状態で決まります。
 再凍結は可能ですが、やはり質が少し落ちてしまいますので、融解後は全部戻した方がよいと思います。
 自然周期移植かホルモン周期移植かは、年齢と月経周期によって決まります。あなたのように30歳と若くて、月経周期が規則的であれば、自然周期の方がよいと思います。ご報告によると、月経周期が不規則ということですね。2〜3日のずれは問題ありませんが、10日、20日とずれるようであれば、ホルモン周期の方がよいと思います。ホルモン周期の場合は、3日目からホルモン剤を使っていきますので、3日目に来院してください。自然周期と同じです。[2007年2月14日]
(院長:田中温)
年齢:43 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:1回 人工授精:3回 体外受精:2回
 はじめまして。いつもこちらのQ&Aで色々参考にさせていただいております。
 これまでに、体外受精(IVF)を2回しておりますが、毎回採卵できた卵子のうち50%以上が異常受精、主に多核受精となってしまいます。顕微授精(ICSI)をしていますので、精子が複数入っている訳ではなく、第二極体を放出できずに前核が2つになってしまうのことです。
 高齢のため、卵子の質が悪いのだと思いますが、このような状態を改善する方法はあるのでしょうか?また、このように異常受精が多いことと、染色体異常などの胎児となる確率とは関連があるのでしょうか?

 顕微授精(ICSI)後の多核受精は決して珍しいことではありません。多核受精にはいくつか種類がありますが、顕微授精の場合には、精子は1匹しか入りませんので、2通りになります。
 1つは卵子が分裂を起こすことができずに多核となる場合です。通常、排卵された卵子は2nの染色体をもっていますが、受精をする時にひとつ(n)が卵細胞の細胞質から飛び出し(減数分裂)、nの染色体をもった精子と受精をします。飛び出したものを「第2極体」といいますが、なんらかの理由で、第2極体が認められない場合、すなわち、細胞質から飛び出さなかった場合には、卵細胞の中には、3nの染色体が存在することとなり、多核受精がおこります。この原因のひとつとしては、年齢による卵子の老化があげられます。
 もうひとつは、卵細胞内の1つの染色体が複数にばらけてしまう場合です。染色体が2〜3個にばらけてしまうと、多核になりますが、1つに戻って正常な分裂を繰り返す場合もありますので、すべてが異常とは限りません。この場合は、分割のスピードや割球の大きさなどの均等性などを観察すれば、正常か異常がわかると思います。
 一般的に、多核受精が見られる場合は、胚の質が悪いと言われておりますので、質の高い卵子を採るための排卵誘発を選ぶことが重要になると思います。月経初期の胞状卵胞の位置・数・大きさ、E2・FSHなどのホルモンを観察することにより、質の高い卵子が採れるようになると思います。[2007年2月14日]
(院長:田中温)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:1回 体外受精:4回
 これまでに分割胚のフレッシュ移植うぃ4回行いましたが、7週での繋留流産と化学流産が1回ずつ、2回は着床せずでした。
 今後は胚盤胞を凍結して、翌周期以降に移植する予定ですが、胚盤胞を移植する周期に採卵をしても大丈夫でしょうか。クロミッドなどの誘発剤は全く飲まないで採卵するようですが、採卵によって、着床に悪影響はないでしょうか。
 もともとFSHが高く(10〜25)、クロミッドのみの誘発(1日1錠)で採卵しても、取れる卵は1個だけです。年齢を考えると、少しでも採卵の機会を逃したくないと思いますが、着床に問題があるのなら、今回の採卵はやめようと思います。どうでしょうか?

 胚盤胞を移植する周期の自然周期で1個の卵を採るということでしょうか。それであれば、あまり問題はないと思います。しかし、採卵の際には、物理的に卵巣に針を刺すわけですから、出血などが起こった場合には、多少影響が出るかもしれませんね。胚移植をするのであれば無理に採卵をしないで、排卵をさせて戻した方がよいように思います。[2007年2月14日]
(院長:田中温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:24回 人工授精:3回 体外受精:4回
 前回、「診察で卵が見えなかった」と相談させていただきました。丁寧なお返事ありがとうございます。
 今月やっと体温が上がり、排卵しました。基礎体温表を4年間つけていますが不規則になった事はなく、今回が初めてでした。
 これまでに体外受精(IVF)で、誘発を4回行い、2回の採卵をしました。誘発方法は、クロミッド(1日3回5日間)を2回、残りの2回は、生理2日目からブセレキュア、5日目からHMGパーゴグリーン(初め300単位、生理10日目から150単位)です。
 これらの誘発でできた卵は3個、採卵できたのは2個でした。質はどれも悪いもの(空胞)ばかりでした。私のような場合、誘発に対する反応が悪いのか、それともたまたまなのかどちらなのでしょうか?
卵胞チェックも毎回問題ないので、この先どのような誘発がいいのかわかりません。誘発だけで言えば、もう4回も行っているのですが、何回を目安に治療を続ければいいか迷っています。誘発だけでもIVF1回と数えるものでしょうか?

 あなたに適した排卵誘発法を見つけるためには、月経初期3日までの卵巣内の胞状卵胞(未成熟な卵胞)の位置・数・大きさや、E2・FSHの測定が必要です。これらを調べることによって、適した排卵誘発法を決めることが可能です。
 もしも、胞状卵胞の大きさが不揃いであったり、10mmを超えるものがあったり、またE2の値が30以上、FSHの値が20以上の場合には、この周期に排卵誘発はせず、ピルを1〜2周期飲んで調整した方がよいと思います。このような細かい目で卵巣を見ていけば、必ずよい卵ができると思います。
 誘発だけであっても体外受精1回と数えてもよいと思いますが、回数を目安にするのではなく、誘発法を変えてあなたに最も適した治療をすれば、よい結果が出ると思いますよ。[2007年2月14日]
(院長:田中温)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:2回 体外受精:1回
 両側卵管閉塞のため、1年前に卵管形成術(FT)を受け(左開通・右狭窄)、その後タイミング法と人工授精(AIH)を経て、現在は、体外受精(IVF)にチャレンジしています。
 ロング法で排卵誘発し、採卵した結果、15個も卵胞ができましたが、5個しか採卵できず、回収率が悪いと言われました。急遽、顕微授精(ICSI)に切り替え、2日後G3を2個とG4を1個、移植しました。受精卵のグレードも良くありません。卵管の通りが悪いことが原因だと思っていましたが、卵の質も原因だろうと言われて、ショックを受けています。胚の凍結ができなかったので、次回もまた誘発からになり、費用も体の負担も大きくなります。卵の数や質は、その時々で大きく変わるものなのでしょうか?私のような場合、どのような方法が一番適切だと思われますか?

 15個の卵胞で、5個しか採卵できなかったということは排卵誘発法が適していなかったか、HCGのタイミングがずれてしまったかのどちらかでしょう。すなわち、卵胞内の卵子の発育が未熟であったか過熟であったかのどちらかだと思います。
 いずれにしても、よい状態で採卵に至っていないと思います。このような場合には、あなたに最も適した排卵誘発法を見つけることを心がける必要があります。
 適した排卵誘発法を見つけるには、月経3日目までの胞状卵胞の位置・数・大きさとE2・FSHの測定が必要です。胞状卵胞数が10個以上あったり、大きさが不揃いであったり、10mmを超えるものがあったり、またE2の値が30以上、FSHの値が20以上の場合には、1〜2周期ピルを飲んでリセットした方がよいと思います。そうすれば、必ずよい結果が出ると思います。[2007年2月14日]
(院長:田中温)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:2回 体外受精:1回
 今回初めて体外受精(IVF)をし、卵が10個採れましたが、1つも受精しませんでした。原因は卵の透明帯が厚いからとのことでした。
 次回は顕微授精(ICSI)になると思うのですが、透明帯が厚くても、卵の(中身の)質は良いものなのでしょうか?たとえ受精したとしても、着床時に透明帯の厚さが、また邪魔をして、妊娠できないのではないかと不安です。私のように透明帯が厚く硬くても、顕微受精を行うとうまくいくのでしょうか?最善の方法を教えて下さい。

 精子の状態が正常で、10個の卵すべてが受精していない場合には、顕微授精(ICSI)が必要だと思います。顕微授精で異常児の率が高くなることはありませんので、次回は是非、顕微授精をされてみて下さい。一般的に透明帯だけが異常で、卵子の中が正常ということはあまりありません。透明帯は、卵子全体の状態を表しているとお考え下さい。[2007年2月1日]
(院長:田中温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:1回
 今回、自然周期に凍結胚盤胞を1個移植しました。移植後、採卵周期の時と同じようにプラノバールを処方されました。自然周期の場合は、ホルモン補充の薬を飲まなくてすむと思っていたので、また薬の副作用と共に妊娠判定まで過ごすのかと思うと気分が重いです。生理は順調で、基礎体温は二相に分かれており、高温期も毎回10日以上あります。生理3日後のホルモン検査も正常です。このような状態ですが、自然周期の場合も、移植後はホルモン補充した方が妊娠率は上がるのでしょうか。
 ホルモン異常がないのに、凍結胚移植後、毎回薬を使用するとなると、体への影響が気になります。私は乳癌リスクが高いのですが、乳癌への影響は大丈夫なのでしょうか。服用の必要はあるのでしょうか?

 自然周期移植の利点の1つとして、黄体機能が正常ですので、ホルモン補充を色々なお薬を使わなくてもよい点があります。ですから、原則的に、自然周期移植の場合には、お薬の補充は必要ありません。
 しかし、自然周期で月経周期が不順である場合や、高齢の方の場合には、自然周期で戻して黄体ホルモンなどのお薬を使用するよりも、最初からホルモン剤で内膜を作る方が妊娠率は高くなります。
 ホルモン剤と乳癌などの悪性腫瘍との関係ですが、胚移植のために使う量は非常に少量ですし、期間も短いので、まずご心配はいりませんよ。[2007年2月1日]
(院長:田中温)
年齢:33 基礎体温:二相性ではない 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:6回 体外受精:4回
 2005年9月に体外受精(IVF)で妊娠しましたが、染色体異常で流産してしまいました。その時の体外受精で残った受精卵(胚盤胞)を2個凍結しているのですが、なんとなくその凍結胚を戻す気になれず、半年後に新たに体外受精にチャレンジしました。しかし、卵巣機能が低下しており、FSHの数値は高く、誘発しても数も少ししか採れなくなしました。分割は進まず、胚移植もできないことが2回続いています。
 1年で、こんなにも卵巣が衰えた事に、とてもショックを受けました。そして、年齢を重ねるごとに更に衰えていくと言われ、一昨年9月の凍結胚を戻したいと思い始めたのですが、今のような状態で凍結胚を戻しても着床するでしょうか?卵巣機能が低下していると子宮にも影響がでて妊娠できないのではと不安です。どのような時期に戻すのがベストでしょうか?

 33歳という年齢や前回の体外受精(IVF)で妊娠されていることを考えると、急激に卵巣機能が低下するということは考えにくいと思います。
 今回、たまたまFSHが高くなったのではないでしょうか。その場合には、ピルなどを服用して、FSHを正常値に下げれば、元通り反応してくると思いますよ。
 卵巣機能が突然低下する場合もないわけではありません。それは、LH-RHテストなどのホルモン検査をすれば、はっきりすると思います。また、月経周期の卵巣の大きさや胞状卵胞の数や位置を見ると、更に詳しく両者の鑑別ができます。[2007年2月1日]
(院長:田中温)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:1回
 いつも勉強させていただいております。不妊期間は8年になります。
 昨年12月、初めての体外受精(IVF)で残念な結果に終わり、次回は4月頃に凍結胚移植を予定しています。移植の前周期からピルを服用するようにと言われているのですが、これの目的は何なのでしょうか?といいますのも、1月に子宮卵管造影検査をする予定になっていて、この検査後は妊娠しやすいと聞いているので、タイミングを取ってみようと思っているのです。ピルを飲むことで、凍結胚移植の妊娠率が上がるのであれば、そうしようと思うのですが、理由がわからず迷っています。
 凍結胚移植はホルモン補充下で予定していますが、この場合の移植は毎月連続で行うのと、数周期空けながら行うのでは、どちらがよいのでしょうか?年齢のこともあり、急ぐ気持ちと、ベストな状態で移植したいと言う思いで揺れています。どうぞよろしくお願いします。

 ピルの本来の目的は避妊で、着床を抑えるために服用します。長期間の服用により、その効果は高くなります。
 このピルを妊娠するためART(高度生殖医療)に使うことは、一見矛盾しているように思いますね。ARTでのピルの目的は、FSHの値が高くなっている場合にFSHを下げることや、採卵のために用いた多量の排卵誘発剤で低下した卵巣機能(黄体機能)や内膜の状態を正常に戻すことにあります。ピルでホルモン環境をリセットすることができるわけです。
 しかし、あなたの場合には、採卵後、凍結移植までは4ヶ月空いているようですので、もともと月経周期が正常であるならば、あえて移植の直前にピルを服用しなくてもよいと思います。
 但し、月経周期が不順、特に、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方の場合は、ピルを飲んで一度リセットし、それからホルモン剤で内膜を作るといったことはよくおこなわれます。
 凍結胚移植のホルモン補充ですが、1〜2ヶ月であれば続けてもよいと思いますよ。[2007年2月1日]
(院長:田中温)
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