回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.25 -
年齢:43 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:1回 人工授精:1回 体外受精:7回
 44歳目前ですが、残念ながら今回も妊娠していないことが判明しました。これまでに、2年間の通院で、顕微授精(ICSI)を6回、凍結胚移植を2回していますが、妊娠反応は出ていません。今回は、血中判定が4.8とほんのわずかの数値で化学流産と言われました。
 今回は、卵は6個とれて4個受精し、グレードも最もよい良好胚でした。いつもは3日目に戻しをしており、今回も、桑実胚と5分割を3日目で戻しました。着床率をあげるには、何日目に戻すのが最もよいのでしょうか?8分割や桑実胚、胚盤胞で戻す場合の違いを教えてください。グレードがよい場合は、胚盤胞まですすめてから戻す方がよいのでしょうか?

 人の胚は卵管内で受精、分割を繰り返し、大体、桑実胚から胚盤胞の段階で着床するといわれています。
 生理学的には、桑実胚か胚盤胞移植がもっとも自然だと思われます。しかしながら、体外で胚を培養するため、卵子の質が十分でない場合には、長期間培養することによって、胚の質が低下することは避けられません。そういう場合には、あえて長く培養しないで初期に戻したほうがいいかもしれません。
 GnRHアゴニスト、GnRHアンタゴニストやHMG、FSHを使った採卵周期では、どうしても着床に不利な条件となりますので、凍結をして、自然周期に戻す方が妊娠率は高くなり、流産率が下がります。しかし、この場合には、胚が十分に成熟していること、また凍結技術が完成していることなどが条件になります。
 いずれにしても44歳という高齢では、流産率はどうしても高くなりますが、今お話したような戦略を立てて臨めば、十分可能性はあります。なお、当院では46歳の方が、今年2人出産されています。この方たちはGIFTとZIFTでした。卵管に入れるという方法も年齢の高い方にとっては一つの方法だと思います。[2007年12月1日]
(院長:田中温:)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:4回 体外受精:0回
  これまでに人工授精(AIH)を4回しましたが結果が出ず、次回は体外受精(IVF)に挑戦することになっています。潜在性高プロラクチン、黄体機能不全気味などの原因はあるものの、現在はお薬で改善されていて、決定的な不妊の原因とはいえないようです。精子の状態も悪くありません。私の方も、今までの治療では卵ができなかったり、成長しないということはありません。
 体外受精を行うにあたって、排卵誘発の方法で迷っています。担当医には、ロング法をすすめられていますが、私はアンタゴニストが気になって、担当医に質問したところ、まずロング法を試すことが主流であり、通っている病院の実績ではロング法の方が良質な卵ができると言われました。しかし、自分なりに色々と調べてみると、ロング法よりもアンタゴニストの方が、卵の質はよいものができるけれども、卵の数が減るということを知りました。担当医の話とは違っているので、困惑しています。ロング法とアンタゴニスト法は、それぞれどのような場合に適用になるのかを教えてください。また、私の場合は、どちらがよいかもアドバイスいただけると嬉しいです。

 一般の施設では、ロング法が主流で、あなたのように若い人はロング法がいいと思われます。人工授精(AIH)の際に採卵誘発剤の注射は使われたのでしょうか。使われた場合、いくつぐらいの卵ができましたか。
 もしも、たくさん(20個以上)と多いようであればGnRHアンタゴニスト法の方がいいと思います。ただし、卵の質はアンタゴニスト法が必ずしもいいとは限りません。やはり個人差があります。
 今の状態から判断すれば、まず、ロング法でいいと思います。アンタゴニスト法にこだわるなら、もう一度ドクターに相談されて下さい。[2007年12月1日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:4回 人工授精:3回 体外受精:6回
セントマザーでお世話になっています。スプレキュアとHMGで誘発して体外受精(IVF)しており、いつも4〜8個採卵できます。いつも受精卵は3個以上できていましたが、今回は8個採卵できたうち、2個しか受精せず、凍結できたのはたった1個でした。今回の周期では、初めてピルを用いて卵巣を休めました。その影響か、いつもよりHMGを4日間長く打たなければ卵が大きくなりませんでした。もしかしたら、初めから良い卵ではなかったのかもしれません。年齢的な衰えもあると思います。
 ただ、気になっているのは、今回初めて再凍結精子を使ったことです。精子を再凍結することによって、凍結精子よりも運動率が落ちて、受精卵に影響を与えるという可能性はないのでしょうか?通常、運動率は60%くらいですが、凍結後、融解して、また再凍結すると運動率が落ちるのではないかと気になりました。
 もしも卵子の影響だけでなく、精子を再凍結することで、極端に受精率が落ちるのであれば、次回は、新しく精子を採取しようと思っているので、精子凍結、および、再凍結のリスクを教えて下さい。

 ヒト精子は外界の環境に対し、非常に抵抗性が強く、守られておりますので凍結してもほとんど影響はないとお考え下さい。特に顕微授精(ICSI)をする場合には全く差がないとお考え下さい。
 最終的には、卵子の質が結果を左右するのではないかと考えております。少なくても、精子の再凍結に関してのご心配はありません。[2007年12月1日]
(院長:田中温)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:5回 体外受精:3回
 これまでに3回の顕微授精(ICSI)を行っています。初めの2回は、アンダゴニスト法で誘発し、いずれも採卵数は3〜4個と少ないものの、受精率は100%で、3日目に質の良い8細胞期の胚を移植する事もできました。
 3回目は、気持ちを切り替えるためにも転院をして、初めてロング法にチャレンジしました。採卵前のホルモン値はE2が3291、LHが3.91、P4が0.31で、卵胞数は7つ(17〜23mm)見えていましたが、結局、採卵できたのは4つだけで、成熟卵は3つ(1つは変性卵)でした。ちなみに、生理3日目でのホルモンの値は、FSHが5.45、LHが38.75です。注射は、ゴナピュ−ル9本(300単位)です。結局、1つも受精まで至りませんでした。
 採卵まではホルモン値の推移も順調だったので、主治医もこのような結果になって驚いているようでした。次回は、アンダゴンスト法に戻す予定ですが、他にも原因は考えられないのかと思っています。例えば、今回のように採卵するまでの経過が順調だった場合、HCGを打つタイミングが早すぎると、成熟卵が採れないということはないのでしょうか?

 体外受精(IVF)の成功を左右する要因としては、色々なものがありますが、ほとんどが卵子の質といっても過言ではありません。この卵子の質は、排卵誘発を始めるスタート時点で既に決まっている可能性が高いと私は考えております。
 しかしながら、排卵誘発法によっても発育していく卵子の質にはかなりの差が出てきます。またHCGを打つタイミングが早すぎる場合(卵胞径が18mm未満の場合)には未熟な卵となります。また、卵胞経が25mm以上と大きすぎても過熟となり、退行卵となる可能性が高くなります。HCGを打つタイミングは20〜22mmが一番いいと思います。
 最近では、GnRHアゴニストを使わない場合には、HCGの代わりにGnRHアゴニストとスプレキュアを用いることも1つの方法だと考えられております。
 あなたの場合には、3日目のLHが少し高すぎます。このような場合には、なかなかいい卵はできないと思います。ピルなどでホルモンを少し下げてみることも必要でしょう。また、月経3日目の胞状卵胞の数、大きさ、位置なども重要な条件だと思います。いかにして質の高い卵子を作るかが成功の決め手になると思います。[2007年12月1日]
(院長:田中温)
年齢:33 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:0回 体外受精:1回
 男性不妊で治療を行っています。私には特に異常は見つかっていません。今回初めて体外受精(IVF)のために、ロング法にて採卵を行いました。現在は、胚移植を終え、妊娠判定待ちの状態です。
 採卵前の超音波検査では、左右合わせて20個程度の卵胞が確認できましたが、実際に採取してみると、多くが空胞で、使用できる卵子はたった4個でした。担当医も、7〜8個は採れると期待されていたようです。後日、この原因を担当医に聞いてみたところ、難しい質問だと言われ、回答は得られませんでした。
 受精後は、グレードが良いものは4個のうち1つだけで、凍結するだけの受精卵が確保できなかったため、今回がダメだった場合は、また採卵からのトライになります。次の採卵では、良質な卵子がたくさん取れるように、今回うまくいかなかった原因を知って、治療方針を考えたいと思っています。
 私が思いつく原因としては、「卵巣機能に問題がある」か「排卵誘発法が合っていない」くらいです。他に考えられる原因を教えて下さい。また、今後、どのようにすればよいかもアドバイスしていただけると嬉しく思います。

 20個の卵胞があり、良好な卵子がたった4個ということは、排卵誘発法があっていないか、HCG切り替えの時期がずれていたかのどちらかだと思います。排卵誘発法の選択は非常に重要です。月経3日目までの胞状卵胞の数、位置、大きさ、E2、FSHの値などが参考となります。
 ロング法で20個の卵胞が確認できるということは、卵巣反応は非常に良好ですが、少し多すぎるかもしれません。できれば、10〜15個ぐらいになった方がいいかもしれませんね。そのためには、ピルを3週間飲んで、胞状卵胞の数を減らすか、FSHを長く使うか、またはGnRHアゴニストからGnRHアンタゴストに変えるという方法も試してみる価値あると思いますよ。以上のような検討すれば、必ずいい卵が採れてくると思います。頑張って下さい。[2007年12月1日]
(院長:田中温)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:6回 体外受精:3回
 私の卵巣機能が低めではありますが、主人には問題はありません。初めての体外受精(IVF)は、ショート法にて15個の卵子がとれましたが、すべてグレードが悪く、半分は受精しましたが、大半は分割が停止してしまいました。かろうじて成長した1個もグレードも悪く、フラグメントがあり、良い受精卵ではありませんでした。
 卵巣刺激をすることによって、卵子の質より量になってしまったのか、2回目の体外受精(自然周期)では、まったく受精しませんでした。3回目は自然周期で顕微授精(ICSI)をしましたが、それでもまったく受精しませんでした。自分にあった誘発方法が分からず、途方にくれています。まずは受精だけでも・・・と思っていますが、今後どのように治療をすすめていけばよいでしょうか。

 顕微授精(ICSI)の妊娠率は採取された卵子によって左右されます。いかに質の高い卵子が採れるかが決め手だといっても過言ではありません。
 15個の卵子すべてのグレードが悪いということは、排卵誘発法が合ってなかったと思います。32歳で胞状卵胞の数がある程度みとめられる場合には、ショート法よりもロング法、または1周期ピルを飲んでからのショート法、GnRHアンタゴニストなどが有効だと思います。
 以上の点に注意して排卵誘発法を行えば、必ずいい卵が採れるはずですよ。決して諦めないで下さい。[2007年12月1日]
(院長:田中温)
年齢:19 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 今年の夏に、待望の赤ちゃんを死産で出産いたしました。私も主人も、本当に子供を楽しみにしていました。
 先日産婦人科に排卵日を調べにいくと、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性があるといわれ、血液検査を行いました。本日、結果を聞きにいってきましたが、ホルモン値には異常がなかったということでした。これは、PCOSではないと考えても良いのでしょうか?今後、自然妊娠は可能でしょうか?

  多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の定義としては、以下のような症状があります。
 1. LHの濃度が月経初期におけるLH濃度よりもFSHよりも高い(特にLHRSという負荷テストをするとその差が著明となります)
 2. 月経不順があること
 3. 超音波上、ネックレスのような小さな脳胞が左右卵巣に10個以上見える
 4. 男性ホルモンが高い
 これらの症状がない場合には、単なるPCOである、超音波でたくさん卵胞が見えるという状態のPCOSとは   まったく異なり、治療法も異なってきます。死産とPCOSとはあまりがないと思いますよ。諦めず頑張って下さい。[2007年12月1日]
(院長:田中温)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:3回 体外受精:2回
 セントマザーにて体外受精(IVF)を行っています。1回目の戻し後、判定日の2日前に大量出血をしました。お薬は、ドオルトンと膣座薬です。
 治療に入る前から、高温期10日目から少量の出血があり、そのまま生理になるという体質でしたが、治療後、生理前の出血はなくなりました。
 今回、2回目の戻しをしましたが、判定日まで、まったく出血はありませんでした。結果は、陰性でしたが、前周期にドオルトンを使って治療したことで、不正出血が治る事があるのでしょうか?
 また、2回目の戻しの時は、内膜が7mmしかなかったのに、8分割を2個と6分割を1個戻しました。内膜が薄いのに大丈夫なのかと質問をすると、私の場合はない膜が1mmずつ厚くなっているので、最終的に着床する頃に、厚くなっていれば、大丈夫だと言われました。しかし、病院で受けた説明書では内膜が8mm以下の場合は、凍結する事もあるということだったので不安でした。8mm以下では戻さないというのは、内膜が厚くならない方が対象なのでしょうか?  

 黄体機能不全とは、高温期に黄体ホルモンが十分でなかったり、子宮内膜が黄体ホルモンに反応しなかったりすることをいいます。あなたの場合もその可能性があります。ドオルトンで黄体期のホルモン合剤を補充することによって、黄体期のホルモンが正常化し、治ったものと思われます。
 あくまでも、子宮内膜の厚さは、胚移植時に移植するか、凍結して移植を見送るかの目安です。卵の状態や子宮内膜の厚さの変化、過去の治療歴で8mm以下でも移植することはあります。[2007年11月15日]  
(産婦人科医:永吉基)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:2回 体外受精:2回
 今年に入ってから、体外受精(IVF)にステップアップして、ロング法で卵が14個採れましたが、すべて分割停止しました。その後、ショート法で9個採卵(G1が1個、G2が1個、G3ga7個)して、移植しましたが結果は陰性でした。卵の質が悪いということで、GnRHアンタゴニストを試しましたが、G2が2個とG3が2個という結果でした。アンタゴニストを使えば、よい卵ができると期待していたのに、質は悪く、数は少なく、内膜は薄いという状態で・・・。
 金銭的にも厳しいのですが、どうしても諦められません。質を良くするにはどうしたらいいのでしょうか?  

 排卵誘発法は、その方法によって採れる卵の質にかなりの差が出てきます。ですから、いかにあなたにあった排卵誘発法を見つけるかが成功の鍵を握っているといっても過言ではありません。ロング法で14個採れるということは卵巣反応も非常に良好だと思います。
 月経周期3日までの胞状卵胞の数・大きさ・位置とFSHの値がわかれば、もっと詳しいお話ができるかもしれません。採卵周期の前にピルを用いるのも1つの方法かもしれません。[2007年11月15日]  
(院長:田中温)
年齢:36 基礎体温:二相性ではない 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:4回 体外受精:1回
 セントマザーにて、顕微授精(ICSI)にて妊娠し、昨年末に長女を出産いたしました。原因が特に見当たらないのですが、年齢のことも考えて、早い時期に二人目を希望しています。
 生理は今年の7月に再開し、年内には断乳をしたいと思っています。現在は、自然妊娠を願ってタイミングをはかっておりますが、もちろん体外受精(IVF)も視野にいれています。体外受精に入る場合、断乳してから、どのくらいに受診すればよいでしょうか?また、2人目の治療は減額制度がありますか?  

 出産は自然分娩ですか、帝王切開ですか。帝王切開の場合だと、妊娠までに約1年はあけた方がいいでしょう。1年を目標とする場合、生理が再開して、10ヶ月くらいから断乳されるのがよいでしょう。断乳して、順調に生理がきているのであれば、2ヶ月ぐらい(生理2回)あければ身体的には問題ないと思います。心配なら断乳してから基礎体温をつけて二相性になっているかを確認されてから治療にはいるのがよいと思われます。
 尚、第2子にかかる体外受精や顕微授精の治療費は初回と同額となります。(複数回になる場合には、減額制度があります。)[2007年11月15日]  
(産婦人科医:永吉基)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:3回
 TESEで採取した精子を凍結し、それを用いた顕微授精(ICSI)を行なっております。1回目と2回目は卵のグレードが低く、分割スピードも大変遅く、5〜6分割を移植しましたが、妊娠にはいたりませんでした。
 3回目の今回は、初めてグレード1の卵が5個採れました。しかし、2日目で4分割と2分割までしか進まず、全胚凍結になりました。融解が無事できるのか、その後、きちんと分割が進むのか不安でいっぱいです。卵の状態は綺麗だと言われているのですが、精子に問題があるのか、卵子に問題があるのかわかりません。例えば、精子が弱い(?)場合は、分割が進まなかったり、流産をする可能性が高くなったりするのでしょうか?  

 採卵時、グレードのいい良好な卵で分割が進まない場合には、精子に問題がある可能性があります。TESEで採取した精子とのことですが、精子の形(奇形はないか)や運動性などが問題になると思います。たとえ運動性が弱くても、正常な形態を持った精子ならば受精率に差はないと思います。
 ただし、精子の頭部が非常に大きかったり、小さいようななどの形態異常を伴う場合には、受精率や分割率はかなり低下してしまいます。そのような場合には、精子になる一歩歩手前の後期精子細胞を使った方がいい結果が出る場合もあります。[2007年11月15日]  
(院長:田中温)
年齢:33 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:3回 人工授精:2回 体外受精:2回
 他院で、排卵させない完全なホルモン補充周期で凍結胚移植をして、移植後すぐにHCG注射を受けました。しかし、インターネットで「排卵させない完全なホルモン補充周期にHCGを使うことは考えにくい」という記事あったので、主治医に質問すると「使用する事もあります」と一言だけ言われました。それ以上の詳細は聞くことができず、何だかモヤモヤしています。ちなみに、エストラダームMとプロゲステロン膣座薬も使用しています。
 ホルモン補充周期の凍結胚移植後にHCGを使用する目的はどのような事が考えられるのか教えてください。  

 凍結胚移植は、自然周期とホルモン周期の2通りの移植法があります。ホルモン周期は、排卵させないでホルモンを外部より投与し内膜を作っていく方法ですので、排卵させる必要はありません。HCGの作用としては、排卵を促せる方法とE2とPを高めるというものがあります。ですから、エストラダームとプロゲステロン膣座薬と同時にHCGを打つという方法も決して意味がないわけではありません。[2007年11月15日]  
(院長:田中温)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:4回 体外受精:1回
 結婚して7年目、不妊治療を始めて2年4ヶ月になります。2年2ヶ月の間、大学病院で卵管造影検査を始めとするスクリーニング検査をしましたが、特に原因が見つからず、体外受精(IVF)が可能な専門病院へ転院して自然周期の体外受精を行いました。
 採卵後5日目に、胚盤胞移植(内膜は10mm)を行い、現在5日目です。採卵時や移植時には、血液検査は行わず、採卵2日後からプラノバールを12日間、移植日からデュファストン・ユベラを1日3回2錠、服用しました。
移植後4日目の血液検査で、P4が6.9、E2が78で基準値を下回っていると言われました。その日にプロゲステロン即効性のあるものと持続性のあるものの2種類を注射して、プレマリンを1日3回1錠ずつ処方されました。
2年4ヶ月も治療を受けてきて、黄帯機能不全を疑われたことは一度もなく、信じられない気持ちでいっぱいです。服用したお薬の作用でP4が低く出ることはありませんか?もしも、黄体機能不全だった場合、移植後4日目からのお薬で着床できるでしょうか?
 移植時に血液検査をしていれば、もっと早い時期にP4をあげて、着床率を高めることができたのではと思い、転院も考えているのですが・・・  

 排卵誘発はしていないのでしょうか。排卵誘発をしていない場合、プラノバール投与は着床に対してホルモンを下げる働きがあるかもしれません。P4は黄体ホルモン(プロゲステロン)の濃度測定です。プラノバールやデュファストンは、自然のプロゲステロンではなく合成されたホルモンですので、投与してもP4の値は上がりません。かえって下がる場合もあります。プロゲステロンの筋肉注射か膣座薬が有効だと思われます。
 上記のように、一般的には服用した薬でP4が低くなることはありません。おそらく、あなたの場合は、もともとP4が低い値なのだと思います。黄体ホルモンは移植直後から投与される方が有利だと思いますよ。[2007年11月15日]  
(院長:田中温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:3回
 卵管水腫のため、体外受精(IVF)を行っています。現在通院している病院では、卵管因子の場合は、「卵管回帰説」にのっとって胚盤胞移植が大前提になります。しかし、桑実胚までしか分割せず、移植ができませんでした。
 卵管因子の場合は、胚盤胞移植をしなければ、全く着床の見込みはないのでしょうか?「卵管回帰説」とは、どこまで正しいのでしょうか?  

 卵管回帰説はどのようなものかよくわかりませんが、卵管水腫がある場合には、まず卵管水腫の治療を先にした方がいいのではないでしょうか。すなわち腹腔鏡下に、卵管と子宮との交通性を遮断する卵管切除が有効だと思います。
 また、卵管の通過症があるなしに関わらず、移植時のステージは、桑実胚でも胚盤胞でもほとんど変わりませんし、3日目の8細胞期胚でも着床の可能性は十分にあります。大切なのは、胚のグレードの問題だと思いますよ。[2007年11月15日]  
(院長:田中温)
年齢:37 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:6回 体外受精:17回
 初めて質問させていただきます。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のため、体外受精(IVF)を行っていますが、なかなか結果が出ません。
 卵巣の反応は良すぎて、採卵日が1日違うだけでE2が6000を超えてしまいます。昨年初めて妊娠した時(12週直前で流産)に移植した胚が初期胚だったので、主治医は私には凍結より初期胚が合っていると、お考えのようです。そのため、いつも、初期胚で移植するために、卵胞が17〜19mmで切り替えて、E2が4000前後で採卵となります。たいていは、14個前後の卵が採れ、受精率は80%くらいですが、あまり質は良くありません。たまにG1もできますが、ほとんどはG2やG3で、胚盤胞もたまにしかできません。
 治療暦も6年になり、この治療が本当に合っているのか、他に方法はないのかと考え、現在は、少し休憩しようと思い、ピルも飲んでいません。気になっているのは、前回の移植時(採卵2日目)に、採卵後に成長したと思われる20mm前後の卵胞が数個みえていたことです。この卵胞は今後どうなっていくのでしょうか?ピルを飲まないと、残った卵胞は消えないのでしょうか?卵胞が残っていると新しい卵胞が育たないのではないか、排卵も難しくなるのではと不安です。

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合は、卵がたくさん発生しますので、1個あたりの卵の質はどうしても下がってしまいます。また、E2の値が高くなり、着床率も低下します。このような場合、全胚凍結し、自然周期胚移植を行う方法が、最も妊娠率が高く、流産率は低くなります。但し、これは凍結の技術が完成されている場合の話です。採卵の時には、十分に卵を成熟させた状態で採る方が有利だと思います。当院では20mm未満では切り替えておりません。GnRHアゴニストとピルを用いた二重抑制を行えば、卵の数は10個くらいに抑えられると思います。卵の質も良好になります。このような状態で採卵し、全胚凍結して、自然周期胚移植を行えば、よい結果が出ると思いますよ。
 自然周期でも、初めは複数の卵胞が大きくなりますが、そのうちの1個だけが最後まで成熟し、排卵して黄体となります。途中まで発育した他の2番手・3番手の卵胞は、途中から自然と体に吸収されて消失していきます。但し、排卵誘発剤を使った後に残った黄体嚢胞などに関しては、ピルが最も効果的です。服用された方が確実に消失すると思いますよ。[2007年11月1日]
(院長:田中温)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:5回 体外受精:3回
 男性不妊で、1年半ほど治療しています。1回目の顕微授精(ICSI)は,アンタゴニスト法で4個採卵し(1個未成熟・1個変性卵)、3日目に6分割と3分割の2個移植、結果は陰性でした。2回目もアンタゴニスト法にて4個採卵し(1個未受精)、3日目に5分割1個と3分割2個を移植しました。分割が遅いので、あきらめていましたが、妊娠(2個着床)しました。1個はだめになりましたが、もうひとつが一卵性の双子となりました。無事心拍も確認され、10週に不妊クリニックを卒業しましたが、13週の検診で子宮内胎児死亡と診断され、死産しました。
 年齢的にも余裕がないため、死産から4ヶ月後に3回目の体外受精(IVF)にチャレンジしました。前回とほとんど同じ内容で刺激しましたが、卵は2個しか採れず、2個ともうまく受精せずに移植キャンセルとなりました。今回注射開始直前(D1)のホルモン値は年齢の割にはよいと言われていました(FSHは9.6、E2は25、LHは4.7)。今回片方の卵巣がエコーで見えないと言われたことが少し気になっています。不妊治療には女性の年齢が大きく影響することは百も承知していますが、半年でこれほどまでに刺激に対する反応が悪くなってしまうのでしょうか?それとも、前回の妊娠の影響で、妊娠するための機能が戻りきっていないのでしょうか?

 高齢になるに従い、卵巣機能が低下することは、自然の変化ですので避けることはできません。流産の後に卵巣機能が低下することはよくあることです。これが元に戻るものなのか、元に戻らないものなのかについては、判断が難しいところですが、思い切ってアンタゴニストではなくて、Short法にしてみてはいかがでしょうか。数が増えるという点では、アンタゴニストよりもShort法の方が有利だと思いますよ。試されてはいかがでしょうか。[2007年11月1日]
(院長:田中温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:7回 人工授精:3回 体外受精:1回
 初めての体外受精(IVF)で、ロング法で点鼻薬をしたらD3で28mmの嚢胞ができてしまい、誘発は中止しました。プレマリン+ルトラールでリセットしたのですが、リセット中の高温期(中温期)に卵胞が育ってしまい、次周期のD3で、7〜9mm胞状卵胞が4個できていました。
 担当医からは誘発してみようとのことで、アンタゴニストを使用して誘発し、3個の成熟卵が採れました。結果はG2(7細胞)、G4(5細胞)、多角でした。その凍結胚を移植したところ、妊娠し、現在8週目に入りました。
 実は、これまでずっと妊娠できなかったために、すぐに妊娠できるわけがないと思い、予行演習という気持ちで挑みました。しかし、妊娠してから、高温期に育った卵胞はあまり良くないことを知り、不安に思っています。
 この不妊Q&Aの回答で、胞状卵胞が10mm以下であれば誘発してもよいといった内容が書かれていましたが、それはどういった理由からなのでしょうか?根拠があるのなら、教えて頂けませんでしょうか?

 胞状卵胞が10mm以上の場合は、正常の大きさよりも逸脱して大きくなっている状態です。E2の値がかなり高く(100近く)なっていると思います。このような場合には、排卵誘発をしても、卵胞の発育が不良となりますので、ピルを使ってリセットした方が有利だと思います。[2007年11月1日]
(院長:田中温)
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的ではない タイミング法:3回 人工授精:3回 体外受精:2回
 結婚後8ヵ月後に妊娠しましたが、1回目は稽留流産となりました。流産後、すぐに自然妊娠し、翌年に自然分娩で第1子を授かりました。母子とも異常はありませんでした。
 第2子を希望していますが、なかなか恵まれず、出産から2年後に不妊センターへ行きました。卵管造影検査の結果は異常なしでしたが、プロラクチンの値が高い(30くらいでした)といわれました。1年間、タイミング療法を行いましたがうまくいかず、人工授精(AIH)にステップアップして3回行いましたが、いずれも失敗しました。
 その後、体外受精(IVF)を2回行っておりますが、2回とも4個しか採卵できていません。プロラクチンの値は31〜33くらいです。1回目は新鮮胚を2個、2回目は凍結胚を2個戻しましたが、うまくいかず、現在は、治療をお休みしています。初めの採卵時の前周期には、LHが3.9、FSHが10.3でした。排卵誘発法ですが、1回目はロング法で、フェルティノームを675単位、ヒュメゴンを825単位で、E2は897.7でした。その後、更にヒュメゴンを900単位打ってE2は1077になりました。2回目はショート法で、フェルティノームのみを2700単位うちました。
 体外受精に失敗してから1年間、漢方(温経湯・芍薬甘草湯)を服用しています。基礎体温は、いつ高温期になるのかわからないといった状態が続いています。月経周期は22〜31とばらつきがあります。
 うまくいかない原因はどこにあるのか、それを改善するためにはどうすればよいのか、助言いただけないでしょうか。GIFTやZIFTを試してみるべきかも色々と考えて悩んでいます。

 精子の状態に問題はありませんか?妊娠は2回で、1回は流産、1回が出産なのですね。4個の分割状態は、それぞれ、どうだったでしょうか?(4細胞が何個、また、凍結は採卵後何日目だったでしょうか?)
 お話の内容から察するに、卵の状態は、まずまずいいように思います。分割の状態がよくないようであれば、顕微授精(ICSI)が必要になるように思います。卵の殻が固い可能性もありますので、今後、アシティッドハッチング(卵の殻の一部をカットして、胚が子宮内膜にくっつきやすいようにする方法)をされてみるのもよいと思います。また、卵管の状態がよいのであれば、GIFTやZIFTも有効でしょう。[2007年11月1日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:8回 人工授精:6回 体外受精:3回
 私は子宮内膜症(チョコレート嚢腫)を3年前に切除し、人工授精(AIH)を6回、顕微授精(ICSI)を3回、凍結胚移植(胚盤胞)2回行なってきました。夫は乏精子症と精子無力症で2年前より漢方薬を内服していますが、改善は見られません。
 3回目の顕微授精(アシスティッドハッチング)で、初めて妊娠にいたりましたが、10週目で稽留流産をしました。
 これまでは、HMGにて誘発、セロトタイドを2日、プロファシーの後に、5〜9個の採卵ができています。顕微授精でほとんどが受精しますが、8分割〜胚盤胞まで進むのは3つほどです。しかし、その形が円形ではなく、楕円形に変形しているということです。担当医は問題ないといいますが、楕円形は決して良い状態ではないと思います。楕円形でも妊娠の可能性はあるのでしょうか?また、アシスティッドハッチングをした胚盤胞の移植時に、確認したらチューブに何かが残っていたために、チューブを変えてすぐに移植をしなおしたのですが、そんな状態で胚は大丈夫なのでしょうか?

 分割胚が楕円形になることはたまにありますが、最後まで楕円形のままということは考えられません。おそらく、8細胞から16細胞、胚盤胞と分割が進むにしたがって、球形になると思います。また、胚移植時に何かが残っていたという点ですが、(何が残っていたのかがよくわかりませんが)短時間内で入れなおしたのであれば、あまり影響しないと思いますよ。[2007年11月1日]
(院長:田中温)
年齢:29 基礎体温:二相性ではない 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:2回
 子宮外妊娠を2回経験(2001年と2005年)し、両卵管切除をしています。そのため、2回の体外受精(IVF)を行っています。2回目の体外受精で妊娠反応がでましたが、化学的流産となりました。
 その後、治療を続けていますが、今まできちんと厚くなっていた内膜が、プレマリンや貼り薬を使用しても厚くならず、2周期続けて胚移殖をキャンセルすることになってしまいました。高プロラクチン血症もあり、テルロンを1錠内服しています。排卵もしにくいということで、今回は排卵誘発剤を使用しましたが、やはり内膜が厚くならず、胚移植は延期となってしまいました。
 内膜が厚くならない原因は何でしょうか。また、対策はありませんか?

 内膜が薄い方の内膜を厚くする治療は、かなり難しい治療となります。今までにも色々な方法を試していますが、薄い内膜を短期間に厚くするということは、ほとんどできないということがわかっています。このような薄い内膜にとって、最も着床率が上がる方法は、自然周期胚移植です。採卵後の胚を一旦すべて凍結し、自然周期に戻せば、薄い内膜であっても着床が可能です。ホルモンで内膜を作るよりも、自然周期での排卵を確認した後に戻す自然周期胚移植の方が有利だと思います。[2007年11月1日]
(院長:田中温)
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