回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.30 -
年齢:36 基礎体温:不明 生理周期:不明 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:6回
 5回の体外受精(IVF)がうまくいかず、転院して3つの凍結ができて自然周期戻しを行いました。私はこれまでにクロミッドやHCGを使っていたので、自然周期にとても不安がありました。しかし、以前は自然周期でも生理があったことや、少しでも確率がいいということでチャレンジしてみました。
 実際には排卵までに27日もかかり、エコーで排卵の確認はできたものの、戻しの日も体温が高くならず、不安なまま長期培養2日目(病院がお休みのため3日目は無理でした)に9分割を1個戻しました。
 しかし翌日に出血・・・安静にしていますが止まらず、生理のようです。移植翌日に生理がくるということなんてあるのでしょうか?今回、排卵に時間がかかったり、排卵の判定もわかりにくかったのですが、自然周期戻しよりホルモン周期戻しのほうが良かったのでしょうか・・・また、長期 培養も3日目までおけなかったことも気にかかります。
 今回、初めて受精卵を凍結もできたし、もっと早くに知っていれば・・・近ければ・・・と思っています。しかしその分、その受精卵を最高の時に戻したかったと後悔し、焦って早く戻して結果を求めた自分に腹が立ちます。
 もうすでに6回目の体外受精・・・諦めるべきなのでしょうか?移植翌日の出血は生理だったのでしょうか?

 生理周期は30日前後で順調でしょうか。不順の場合(排卵がはっきりしない場合)は、ホルモン周期での胚移植が有効です。
 生理周期を回答していただいていないので、わかりませんが、排卵日が27日目になったのは、今回が初めてでしょうか。いつもの月経周期が規則的で、排卵も16〜18日頃に起こっているのであれば、今回はキャンセルが良かったのかもしれません。おそらく内膜の状態が良かったので、胚移植になったものと思われます。
 周期が長くなって、内膜の表面が剥離し、出血したのだと思います。治療は、その周期、その時の状態で異なります。主治医とよく相談されて、方針を決められると良いと思います。諦めることはないと思いますよ。[2008年9月16日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:2回
 基礎体温が二相性で月経周期が規則的な場合は、凍結胚のホルモン周期移植よりも自然周期移植の方が、着床率が良く、流産率も低いという回答がありますが、それはなぜでしょうか?単に統計的な理由からですか?

 体外受精のためにいろいろな種類のホルモン剤を使うことにより、卵巣および子宮内膜への直接的な影響があり、この事により着床率が下がってしまうのはある程度は仕方ありません。卵を数多く採るために必要な事ですので。ですから、このような場合には無理に戻さず、全胚凍結を行い、自然周期戻しが効果的です。
 すなわち、胚を受け入れる子宮内膜の状態がもっとも適した状態となるからです。[2008年9月16日]
(院長:田中温)
年齢:40 基礎体温:二相性ではない 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:5回
 現在、セントマザーにて体外受精(IVF)をしています。
 1回目はありませんでしたが、2回目の胚移植時に、初めて導尿されました。導尿されると苦痛なのですが、胚移植時にはした方がよいのでしょうか?移植後も身動きができず、ストレスを感じます。導尿で妊娠率はあがるのでしょうか?

 子宮内膜がよく見えるかどうかで、妊娠率を左右する事もあります。あなたの場合、1回目の移植時に、子宮内膜の状態が見にくかったのだと思います。
 子宮内膜をよりよく見るためには、膀胱にバルーンを入れて膨らませ、子宮の角度を緩やかにした状態で移植します。移植後すぐに抜くことも可能ですから、看護士にお申し出下さい。
 膀胱炎を頻繁に起こす人には管を入れないこともあります。いずれにしても、どうしても苦痛ということでしたら、移植時にドクターに相談されてください。[2008年9月16日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:5回 体外受精:1回
 機能性不妊で、体外受精(IVF)へステップアップしました。軽度の卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のため、全胚凍結し、1周期休んでから移植の予定でした。
 移植日当日に凍結胚の蘇生が悪く、中止となりましたが、2日後の午前中に、成長過程を観察していると透明帯から自力で出てきたので移植しましょうということになり移植しました。主治医を信頼していますが、初めての経験で不安になり、セカンドオピニオンをお願いしたくて質問いたしました。
 1.凍結胚の成長が遅いと妊娠率が下がるという回答がありますが、今回のように、自力で透明帯から出てくる状況でも、成長が遅いために妊娠率は低くなるのでしょうか?
 2.壊れている受精卵の画像ももらいましたが、壊れていることが障がいを持つ子供の率を高めるような事はないのでしょうか?
 3.私のように凍結胚の蘇生が悪くても、その後の経過で移植するケースは一般的なのでしょうか?

 凍結胚を融解後、胚の蘇生した状態で、胚の発生能力はある程度予測できます。
 しかし、思いがけず良くなるということもありますが、一般的ではありません。透明帯から出てくる場合には正常に発育して胚盤胞となり、透明帯からハッチングしてくる最高の状態となる場合ともう一つは凍結融解の障害により透明帯が破れ、中身が出てくる場合の2通りがあります。どちらかは胚の状態を見れば判別は可能です。
 胚の状態が不良な場合に、障害を持つ子供が生まれるという事とほとんど関係はありません。すなわち、もし胚に明らかな発育遅延や形態異常がある場合には、まず着床せず妊娠には至らないと思います。障害児は少なくても着床し、胎児となっているわけですから、着床時の胚の状態は生物学的には良好と判断できます。
 凍結胚の移植する判断は施設によって異なりますので、はっきりしたことは申しませんが、担当の先生にそのような場合の妊娠率、着床率を実際にお聞きになられてはどうでしょうか。[2008年9月16日]
(院長:田中温)
年齢:41 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:8回 人工授精:7回 体外受精:1回
 人工受精(AIH)で頑張っていましたが、造影検査で右の卵管が詰まっていたため、体外受精(IVF)に踏み切りました。小さい粘膜下筋腫がありましたが、特に治療はせず、ロング法にて誘発し、10個採卵できました。2個は受精せず、1個は分割せず、3個は精子が複数入ってしまいましたが、なんとか4分割した4個のうち3個を戻しました。結果は出ず、その後、主治医と相談して筋腫の手術に踏み切りました。
 その後、しばらくはお休みをしていたのですが、もう一度、体外受精に挑戦することにしました。現在の主治医とは、初めはアンタゴニスト法で誘発をしましょうという話をしていたのですが、先日のカウセリングで、ショート法ということになりました。
 私たち夫婦は年齢的に、卵の質も確実に下がっていると思うので、アンタゴニスト法がベストなのではないかと思っているのですが、先生はどのようにお考えになりますでしょうか?

 アンタゴニスト法が良いと考える根拠はどういうことでしょうか。
 当院での結果からは、アンタゴニスト法は多数の卵が成長して卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になるような症例に有効ですが、その他の症例には他の方法とあまり差は認められません。また、40歳以上の症例では、アンタゴニストが強すぎて卵が成長しないなど、かえって悪い場合もあります。当院では、40歳以上の方には、ショート法やセロフェン+HCG(FSH)法が主流です。
 カウンセリングでアンタゴニストからショート法に変わった理由は何だったのでしょうか。治療法については、よく主治医とご相談下さい。[2008年9月16日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:13回 人工授精:1回 体外受精:1回
 原因不明の2人目不妊です。1人目は自然妊娠で授かりました。
 治療を開始してから1年半が経過し、先日、初めてアンタゴニスト法での体外受精(IVF)に挑戦しました。17個が採卵できて、14個が受精しましたが、2日目に11個が多核胚となりました。主治医も、こんな事は初めてで、原因もよくわからないと言われました。
 残りの受精卵はですが、2つは、3日目にダメになり、1つは7分割になりましたがグレード3でした。
このようなことが起こるのは、卵子の染色体異常が原因でしょうか?次回は、顕微授精(ICSI)を行うか迷っていますが、ICSIで防げるものなのでしょうか?

 14個受精し、11個が多核という事は普通はあまりないことです。多分、卵に問題があったんだと思います。
 排卵誘発法を変えてみるか、顕微授精をするかの2通りあると思います。顕微授精も一つの方法だと思いますよ。顕微授精であれば、まず多核にはなりません。しかし、顕微授精でも場合によっては多核になる場合があります。そのような場合には、やはり卵子の質が不十分だとお考え下さい。[2008年9月16日]
(院長:田中温)
年齢:不明 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:3回
 先日セントマザーにて採卵して、顕微授精(ICSI)をしました。
 卵はたくさん採れたのですが、グレードは低くて凍結できず、戻せるのは1個だけという結果になりました。
 戻しの日の説明で「卵をとるのが難しかったのかな。次の採卵時は院長を指名してください。」と言われました。戻しの日に    採卵の話をされて、とてもショックを受けました・・・。
 採卵する先生の技術によって、卵のグレードが変わることがあるのでしょうか?

 私が説明したものと思いますが、「採卵時に私を指名して下さい」と言ったのであれば、卵はたくさんあったわりに、数が採れなかった場合だと思います。もし卵がたくさん採れたのであれば「採卵時に私を指名して下さい」とは、言わないと思います。
 当院では、私を含めて3名で顕微授精(ICSI)を行っておりますが、「私が顕微授精をしますので、院長を指名してください」という内容をお伝えしたということではありませんでしょうか。
 採卵する医師の技術差で、卵のグレードが変わることはありませんが、顕微授精の成績は、担当するスタッフの技術で多少の差が出ることがあります。
 私宛のメールを使って、お名前やカルテ番号を教えていただければ、もっと詳しくお話しできますので、宜しければ「院長メール」から連絡をいただけませんでしょうか。もう少し納得いくご説明ができると思います。[2008年8月20日]
(院長:田中温)
年齢:28 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:3回 体外受精:3回
 昨年、初期胚移植で流産の経験があります。その後は胚盤胞まで培養するも途中で分割停止してしまい、悩んでいます。
 現在、通院している病院で、E2が40以上だと誘発剤に反応しにくいので、治療は勧めないと言われたので、とても気になっています。私のD3のE2値は、何もしなければ40、マーベロンを服用すると13です。
 胚盤胞になるには、D3のE2値は50〜75が理想値という情報がありますが、これは不妊治療を行う先生方の間でも言われていることですか?

 治療初期(生理3日目)にエストロゲン値が高いと、抑制をかけるためにFSHも上昇してしまい、排卵誘発剤の注射に対して反応が悪くなることがあります。また、その周期に、卵巣嚢腫などで卵巣が腫れている場合にも、エストロゲンが上がることがあります。この時も良好卵胞の数が少なくなる傾向にあります。
 但し、E2値が50〜75であることを、どのようにとるかについては施設や医師によって多少異なると思われます。50未満というところもあるし、70未満というところもあります。[2008年8月20日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:0回 体外受精:1回
 ひと通りの検査で原因が分からなかったのですが、体外受精(IVF)で、原因がわかるかもしれないと思い、ステップアップしました。
 GnRHアンタゴニスト法で、18個の成熟卵が採れ、18個とも受精しましたが、そのうちの15個が異常受精だったそうです。通常であれば核が2つのところ、3〜6個の核ができていたそうです。主治医からは、核が3〜4個は多重受精という現象でよくあるが、私の受精は5〜6個のものが多いので、染色体の異常も考えられるとのことでした。
 とりあえずは、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の危険性があり、今回は全胚凍結してあるので、融解して正常に分割すれば、移植になるそうです。もしそれで妊娠に至らなかったら、次回は顕微授精(ICSI)を行うといわれています。
 1.ここまで異常受精が多いことについて、考察をお聞かせください。
 2.今のところ正常な3つの受精卵、今後の治療でできた受精卵を使って、妊娠した場合、胎児の染色体異常率は高くなりますか?
 3.現在凍結している正常な受精卵を融解して移植できた場合、流産率は高くなるのでしょうか?
 4.私もしくは夫の染色体検査の必要はありますか?

 一般的に多精子受精(卵子内に精子が2匹以上入っている場合)は染色体異常となり、異常受精ということになりますので、移植はしない方がいいと思います。
 しかしながら、最近では、1匹の精子で受精した場合でも、男性由来の遺伝子が本来ならば1個として観察されるところ、2〜3個に分かれてしまうという報告もあります。トータルとしては1個の量ですから、このような場合には、分裂していくうちに正常ということもあり得ます。
 しかし、いずれにしても、これほど沢山の多精子受精があるという事は、卵子に問題があると思います。卵の方に問題があるのであれば、顕微授精(ICSI)をしてもあまりいい結果は出ないと思います。排卵誘発法を検討しなおすことで改善することもあるでしょう。凍結している受精卵も、おそらく同じような状態になって、良好な分割にならないのではないでしょうか。染色体の検査は、それほど必要はないと思います。[2008年8月20日]
(院長:田中温)
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:4回 人工授精:5回 体外受精:1回
 初めての体外受精(IVF)で、先日、採卵をしました。ロング法でしたが、右に1個、左に3個と、あまり卵が育たちませんでした。採卵は4個の予定でしたが、採卵後、主治医に「左の卵巣の表面が硬くて針が刺さらず、右から1個しか採卵できなかった。今までも、左の卵巣からは排卵できていなかっただろう。」と言われました。
 針が刺さらないほど固くなるという原因としては、何が考えられるでしょうか。加齢のせいでどうしようもないのでしょうか・・・。もし対処法があるのでしたら教えてください。

 卵胞は非常に薄い膜でできた嚢胞です。針が刺さらないという事はあり得ません。針が刺さらないほど硬いということは、おそらく、卵胞ではなくて、卵巣腫瘍ではなかったのではないでしょうか。
 一般的には子宮内膜症(チョコレート嚢胞)が似たような所見と考えられます。しかし、超音波でよく調べれば、鑑別はそれほど困難ではないと思いますが・・・。[2008年8月20日]
(院長:田中温)
年齢:28 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:2回 体外受精:1回
 男性不妊のため、今回、初めて体外受精(IVF)をしました。
 前周期ピルなしで、ロング法(スプレキュア使用)で誘発をしました。生理4日目からフォリスチム100×6日間、10日目からHMGテイゾー150×2日間、12日目にHCG10000です。
 注射5日目の内診で、17mmに急成長した卵胞が1個ありましたが、他は、11〜13mmが数個でした。
 注射7日目には、ほとんど成長しておらず、HMGに切り替えました。
 HCG当日は、20mm、18mm、17mm、16mm、15.5mm、13mm、11mm、10mmと、大きさがバラバラの8個の卵胞が確認できましたが、採卵数は3個、受精は0個でした。
 卵胞の大きさが揃わず、卵の数も3個しかとれず、受精もまったくしなかったので、ショックが大きく、次も同じことが続いたら・・・と思うと、不安でなりません。受精しなかったので卵の質も悪かったのだと思います。もしかしたら、空胞が多かったのかもしれません。
 卵胞の大きさがバラバラに育ってしまうことは防ぎようがないのでしょうか?これまで、卵巣などに異常があるとは言われたことはありません。

 体外受精(IVF)の成績は、排卵誘発法によって得られた卵子の質、数によって決まると言っても過言ではありません。質の高い卵が10個ほど採卵できる事が理想です。
 それには、まず採卵誘発時の左右卵巣内の胞状卵胞の数、大きさ、位置、E2、FSH、LHの濃度が必要検討事項となります。これらの所見を参考にして、排卵誘発を決めるといい結果が出ます。
 若い方には、一般的にロング法がお勧めですが、あなたの場合、胞状卵胞の数はどうだったでしょうか。また、E2の値は高くなかったでしょうか。E2の値が高いと、卵の大きさが不揃いになることがあります。このような場合には、排卵誘発剤使用前にピルを使うと効果的です。排卵誘発法に工夫をすれば十分いい卵が採れると思いますよ。決して諦めず頑張ってください。[2008年8月20日]
(院長:田中温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:10回 体外受精:8回
 私は内膜症の疑い、腺筋症・筋腫等があり、片側卵管閉塞です。
 「内膜症があり、卵の数が少ない場合には、アンタゴニストよりもアゴニストの方が有利」という情報をよく目にしますが、「アゴニストを使用する場合、誘発量も多くなるので質が低下する」という情報もあります。
 私は、いずれの治療をしても、両卵巣に1個ずつしか卵が育ちません。このような場合は、卵の質を向上させるという目的では、アンタゴニストとアゴニストのどちらを選択すればよいでしょうか?
 また、「卵胞の発育が遅延した場合には、良好な卵子が採れる確率はかなり低下する」という情報を目にしました。
 私は卵胞発育が早い場合が多いのですが、それは加齢や各中枢性の影響でしょうか?

 38歳という年齢と、内膜症があり左右の卵胞数が1個ずつと少ない点から考えるならば、一般的にはアゴニストよりもショートの方がいいと思います。ただ、ショートでも1〜2個の場合には、思い切ってアゴニストやアンタゴニストを使わずにクロミッド+FSHの方がいい結果が出ることもありますから、試してみる価値はありますよ。
 また数が少ない場合には、卵管に入れる方法(GIFTやZIFT)が子宮に戻す体外受精(IVF)よりも率は高くなります。[2008年8月20日]
(院長:田中温)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 女性側がB型肝炎などの感染症の場合でも体外受精(IVF)はできますか?
 婚姻している夫婦でも体外受精ができない条件を教えて下さい。

 女性側がB型肝炎などの感染症の場合でも体外受精(IVF)は可能です。
 婚姻している夫婦でも体外受精ができない条件は、主に子宮がない場合や、卵子ができない場合です。(将来には、日本でも提供卵子による治療が認められるようになるかもしれませんが。)[2008年8月20日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:1回
 初めての体外受精(IVF)を受けましたが、アンタゴニスト法で卵が3つしかできませんでした。1つは小さすぎたので、結局、採卵は2個だけで、2個とも受精しませんでした。
 主治医に、「なぜ2個しか取れなかったのか」と質問したところ、「数は問題ないですよ。卵の質が問題ですから。」と回答されました。
 しかし、体外受精をされている方の採卵数を調べてみると、10個以上が多いし、やはり個数が多い方が、分割まで育つ卵の確率が高いと思います。
 次回、体外受精をする時は、違う方法(ロングやショート)でお願いした方がいいのでしょうか?

 アンタゴニストで卵3つというのは少し少ないと思います。体外受精(IVF)での妊娠率は、排卵誘発により、質の良い卵が10個くらい採れるかどうかによって決まると言っても過言ではありません。まずは、月経3日までの卵巣内の胞状卵胞の数、大きさ、E2、FSH、LHの濃度をみてもらうことが必要です。これらの所見を総合的に判断して、排卵誘発を決めていただいて下さい。
 胞状卵胞の数が少ない場合には、アンタゴニストよりもショート法の方が有利だと思います。ただ、あなたの年齢ではショートよりもロング、本来ならばアンタゴニストを選択することは自然です。排卵誘発法は、患者様の体質によって選択することが必要ですから、元々、胞状卵胞の数が少ないようであれば、アンタゴニストよりもクロミッドとFSHの方がいいかもしれませんね。[2008年8月20日]
(院長:田中温)
年齢:31 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:2回
 半年前に、初めての顕微授精(ICSI)をしました。過去に左卵巣嚢腫の全摘出手術をしていますが、右卵巣だけで、27個採卵できました。未熟卵をのぞいた18個を顕微授精し、14個が正常受精、10個は前核期凍結、4個を培養したところ、すべて5日目に胚盤胞になり、全凍結しました。
 これまでに、ホルモン補充周期で、胚盤胞を2回移植しましたが、両方とも陰性でした。現在、通院している病院は、生理12日目前後に、内膜をチェックして、8mm以上で移植可能になります。
 移植した2回とも内膜に問題はありませんでしたし、アシステッドハッチングをしてもらい、移植前には中身がとびだしている元気のいい卵でした。
 少し時間を空けて3回目の移植にチャレンジ予定ですが、胚盤胞でも着床せず、前向きな気持ちでチャレンジができません。何か良い方法はないのでしょうか?
 なお、プロラクチンの値が30ですが、薬は服用しなくていいと言われています。プロラクチンの高値が着床に影響しているのでしょうか?

 色々検討する点があると思います。
 まず第1に、胚盤胞の凍結は胚盤胞の状態が良くなければ、成績がかなり落ちます。かえって、胚盤胞の一日前の桑実期の方がいい場合もあります。胚にとって一番いいタイミングでの凍結が必要だと思いますから、胚盤胞にこだわる必要はないと思います。
 採卵数が27個ということですが、数が少し多いように思います。10〜15個に減らすような排卵誘発をされると卵の質がもう少し良くなると思いますよ。
 妊娠の可否を左右する最も大事な点は、卵の質と数です。数は多い方が有利ですが、20個以上になると質が低下しますので、10〜15個になるように、排卵誘発法を検討し、質の良い胚盤胞になれば妊娠率が高くなります。
 また、凍結胚移植の場合、月経周期が正常な方は、ホルモン周期よりも自然周期で排卵日を確認した後に戻すと、妊娠率は多少下がりますが、流産率が低くなると思います。
 プロラクチンを下げるお薬を服用された方がいいと思います。但し、妊娠確認後は中止されて下さい。いい結果が出ることをお祈りしております。[2008年8月20日]
(院長:田中温)
年齢:27 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:1回
 後期精子細胞を用いて、顕微授精を行っています。
採卵後、胚移植を行うつもりで長期培養を行っていましたが、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)がひどくなり、4日目に、桑実胚3個と、8〜10分割2個を凍結しました。
凍結をするのなら、2〜3日目がいいと聞いておりますが、4日目だと、凍結によって、質が落ちたり、蘇生ができないのではないかと心配です。蘇生率はどのくらい落ちるのでしょうか。また、融解後は、さらに培養すすめてから胚移植を行うものでしょうか?

 胚の凍結は施設によって、方法がかなり異なりますので、一般的な事は言えません。現在では、胚盤胞でも蘇生率は変わらないと言われている程、凍結の技術は高まっております。
2〜3日目の胚の凍結が最もよい施設であるならば、4日目の凍結は少し下がるのかもしれませんね。しかし、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)がひどくなったのであれば、母体の保護が第1優先ですので、凍結を選択することは正しいと思います。融解後は、原則として1晩培養して、順調に進んだものを戻すことになると思います。[2008年7月15日]
(院長:田中温)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:6回 体外受精:2回
 人工授精(AIH)をしてもなかなか妊娠せず、体外受精(IVF)にステップアップしましたが、妊娠しません。採卵は10〜15個程度ですが、受精率が低くて困っています。担当医には、卵の質が悪いことと、少しやせて下さいと言われています。166cmで70kgだと太りすぎですよね・・・。やせたら卵の質にも影響が出るのでしょうか。

 166cmで70kgだと、それほどの肥満だと思いません。生理周期は規則正しく、基礎体温も二相性になっているようですので、それほど深刻ではありませんが、できれば5kgくらい痩せてもいいかもしれませんね。糖尿病の検査なども行ってみてはいかがでしょうか。[2008年7月15日]
(院長:田中温)
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:3回 体外受精:2回
 1人目の治療の時に桑実胚を再凍結しています。そろそろ2人目の治療を考えており、その時の凍結胚を戻そうと思っておりますが、再凍結卵は質が落ちると聞き心配になりました。蘇生率は低いのでしょうか?また、再凍結した桑実胚はとてもよい受精卵だといわれていますが、妊娠した場合、流産の確率が高くなるなどの影響があるのでしょうか?着床しにくいということなのか、妊娠経過にも影響があるのか教えてください。

 再凍結胚は、1回の凍結胚よりは、やはり少し質が落ちると思います。しかし、以前に凍結胚で出産されているのであれば、その再凍結胚もいい質だと思いますので、妊娠の可能性は十分あると思います。妊娠すれば、後は順調に進むと思います。[2008年7月15日]

(院長:田中温)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:18回 人工授精:1回 体外受精:0回
 昨年5月に、初めて卵管造影検査をした結果、両方通っていると診断されました。同年12月に通気検査をした時も、今年4月に再検査をした時も、問題なく通っているという診断を受けました。(検査直後に肩がものすごく痛かった記憶があります。)
 ところが、今年6月の腹腔鏡の手術中に行った着色した水を通す検査では、両方通っていないといわれました。(右は1回通りましたが、2回目は通りませんでした。)
 こういうことは良くあることなのでしょうか?
 腹腔鏡下で全身麻酔をしている状態での検査が一番正確という記事をよくみますが、再度、卵管造影をしたら通っていたということはあるのでしょうか?どちらを信じればよいのかわかりません。

 腹腔鏡でみた時に卵巣の形は正常でしたか。癒着はありませんでしたか。また、腹腔鏡時に水を通す際にチューブの位置はよかったのでしょうか。チューブの位置がよくないと通らない事はあります。癒着がなくて、卵巣の形にも異常がなく、通気がいいのであれば、卵管造影検査の方が正確なこともあります。今一度担当医に確認され、よく説明を受けてください。[2008年7月15日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:8回 体外受精:9回
 第1子は、1回目の顕微授精(ICSI)で授かることができました。第2子を希望し、産後1年で不妊治療を再開し、顕微授精を9回しましたが、妊娠にいたりません。
未成熟卵が多い事に加え、受精率が悪いので、ほぼ毎回採卵です。移植する受精卵はわりと良い状態で、内膜も問題ないといわれておりますので、希望をすてきれません。
 今までにアシスティッドハッチング、2段階移植など、色々と行ないましたが効果はなく、主治医は、精子の卵活性化因子の欠乏ではないかとの見解です。
 次回は卵子をカルシウムイオンにつけるという方法をすすめられました。良好胚を移植しても結果が出ませんが、この方法により、受精卵の質が上がったり、着床しやすくなるという効果は考えられますでしょうか?それとも受精率が上がり、移植のチャンスが増えるということでしょうか?また、デメリットがないのか教えてください。

 卵子には受精を円滑に行わせるタンパク質が含まれており、通常成熟した卵子であるならば、顕微授精を行うと受精する率はかなり高くなります。
 しかし、受精がうまくいかない場合には2通りがあり、それぞれ治療法が異なりますので、注意が必要です。あなたの場合は、受精を全くしないのか、それとも未成熟卵子が多いのかどちらでしょうか。採卵時に卵子が成熟した状態であるにもかかわらず、顕微授精(ICSI)で受精率が低いならば、卵子の活性化因子が欠乏していると考えますので、カルシウムイオンにつけるのもひとつの方法です。しかし、卵子自体が未成熟であるならば、いくらカルシウムにつけても効果はありません。一般的に受精率が低い場合には、活性化因子の欠乏よりも卵子自体の質の低下が原因と考えられます。そのような場合には、排卵誘発法を変えてみる、または採卵周期には全ての胚を凍結し自然周期に戻すことをお勧めします。その方が着床率は高くなります。[2008年7月1日]
(院長:田中温)
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