回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.37--
年齢:37 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:4回 人工授精:0回 体外受精:3回
 採卵で、凍結胚盤胞が8個でき、ホルモン周期にて2個ずつ移植しております。
 1回目は陰性、2回目は陽性(1つはアシステッドハッチング)でしたが、8週目でけい留流産となりました。3回目は陰性でした。今回移植した胚はとても状態の良いもので、子宮内膜も3回とも14〜16mm良好でした。
 気になることがありますが、陰性後の生理時に、3〜5cmほどの白いかたまりが出ました。厚くなった子宮内膜というお話もありましたが、私は自然周期でも内膜が20mmくらいの厚さになります。子宮内膜増殖症の検査を受けましたが、異常無しでした。通常の生理では内膜が厚くても、白いかたまりが出たことがありませんので、着床と関係があるように思えます。
 質問は以下の5つです。金銭的・精神的にもこれ以上治療を続けることが難しく、残り2個の凍結胚移植を最後と思っていますので、最善を尽くしたいと思っています。(病院では、ホルモン補充移植のみしか行っていません。)
1) 白いかたまりの正体は、着床まではしたものの、剥がれてしまったという可能性はないでしょうか?
2) もしそうであれば、着床に関する検査(着床不全の検査など)はありますか?また、着床を助ける薬や注射はありますか?
3) 移植後は3、6日目にプロゲストンデポーS125mgを注射、プレマリン錠0.625mgを移植前から毎日6錠飲んでいました。移植後のプロゲストンデポーSが半量であることは、問題でしょうか?(量が少ないのは副作用が強く現れるためです。)
4) 私は子宮内膜症で、子宮がかなり傾いており、移植に激痛をともなうため全身麻酔での移植をしております。 移植時の全身麻酔は、着床に影響を及ぼしますか?
5) 現在、凍結胚盤胞の残りは2個になってしまいました。次回も、2個の移植を考えておりますが、1個ずつの移植の方が良いでしょうか?

 白いかたまりは子宮の内膜です。ホルモン周期ですので、内膜が少し固まって排出されたもので、着床したものではありません。着床不全はほとんどの場合ないとお考え下さい。移植した胚が将来胎児になる能力があるのであれば、胚盤胞であれば24時間以内に着床します。そして絨毛ができ、その絨毛からたくさんのホルモンが分泌され、着床を助けます。もちろん、妊娠反応も陽性となります。ですから、全ては胚の生命力とお考え下さい。胚の生命力がなければ、いくら着床を助けるお薬や注射を打っても効果がないとお考え下さい。
 全身麻酔での移植は大変でしょうね。麻酔による直接の影響はないと思います。卵管に入れるEIFT法も効果がありますよ。
 移植の数についてですが、今までの結果から考えるならば、おそらく2個ずつ凍結されているのではないでしょうか。1度凍結融解したものを再凍結すると、かなり胚の質が落ちると思いますので、2個でよろしいのではないでしょうか。[2009年8月12日]
(院長:田中温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:3回 体外受精:3回
 体外受精(IVF)の移植後、HCG値が7でプロゲデポーを打ち、プレマリンを飲んで様子を見ましたが、HCGが2になり妊娠しませんでした。
 医師からは、「採卵もできて胚盤胞まで育ち、凍結もできて良いほうである。またHCGが7なので着床はしたのだから、機能性には問題はない。」と言われました。
しかし、通院中の施設では、胚移植は、すべてホルモン補充周期で、22日移植と決まっています。そのやり方や、主治医の言葉が信じられません。体外受精をもう一度という気にはなれなかったので、しばらくは人工授精(AIH)をと思って相談したところ無駄だと言われ、体外受精をすすめられました。
 HCGの注射はしていませんが、移植後の判定でHCGの値が7で、着床したことになるのでしょうか?ちなみに、卵管も  も問題はありません。それでも、体外受精しかないのでしょうか・・・。なぜ人工授精がだめなのか、よく理解できないままで、今後どうしたらよいのかわかりません。アドバイスをいただけませんか?

 不妊症治療は、医師と患者様との心の絆が非常に重要です。不妊症治療は1回で結果が出るわけではありませんし、長くかかる場合もあります。この長くつらいトンネルをくぐり抜けるためには、お互いの信頼感が重要となります。メールの文面からお察ししますと、あまりお互いの気持ちが理解しあえているようには思えません。思い切って病院を変えてみることも考えてみてはいかがでしょうか。
 精子の状態が不良であるならば人工授精(AIH)は難しいと思います。しかし、今まで人工授精をしていて、その結果妊娠に至らずに、体外受精(IVF)に入ったのであれば、一度腹腔鏡検査をされてみてください。腹腔鏡検査をすることによって、卵管周囲の癒着の有無が分かります。卵管周囲が癒着していると、いくら卵子と精子の状態がよくても卵管が卵子をピックアップできませんので、妊娠には至りません。このように、癒着があれば、体外受精が必要となります。このような話をされて、治療方針を決めてきましたか?もしも不十分なのであれば、主治医とよく話し合いをされるか、転院をお考えになってもいいと思います。[2009年8月12日]
(院長:田中温)
年齢:32 基礎体温: 生理周期:不規則 タイミング法:4回 人工授精:4回 体外受精:1回
 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合は、自然周期移植はできませんか? 初めての体外受精(IVF)で妊娠反応は出ましたが、完全流産してしまいました。しばらくお休みをして、今周期からまた治療を再開し、凍結胚移植を予定しております。
 治療費や体の負担を軽くするため、自然周期での胚移植を希望しているのですが、医師より、「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の傾向があるために、排卵の予測がつきにくく、自然周期での胚移植はお勧めしません。どうしても自然周期を希望するならば、今周期の胚移植はしないで、基礎体温をきちんと測ってからでないと胚移植はできません。」と言われてしまいました。結局は、自然周期を諦めてホルモン補充周期で胚移植することになりました。
 そこで質問ですが、私のようにPCOSの患者は、自然周期での胚移植は難しいのでしょうか?また、自然妊娠の可能性も低くなるのでしょうか?

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方の場合は、月経が不規則でいつ排卵するかを見つけるのが非常に難しいと思います。また、PCOSの診断には「LHの血中濃度がFSHよりも高い」というホルモン結果が必要となりますが、その確認はされていますか?
 自然周期の方がホルモン周期よりも妊娠率は高く、流産率は低くなりますので自然周期をお勧めしますが、排卵日がはっきりしない場合にはホルモン周期の方がいいと思います。基礎体温をおつけになって、一度自分の排卵周期を確認されてください。[2009年8月12日]
(院長:田中温)
年齢:34歳 基礎体温:不明 生理周期:不規則 タイミング法:複数回 人工授精:複数回 体外受精:3回
 今回、3度目の体外受精(IVF)を行いました。
今までの2回は、胚盤胞を戻しましたが着床しませんでした。
これまでに黄体機能不全の診断を受けたことはありませんが、今回の体外受精では、黄体ホルモン補充にて妊娠に至りました。
しかし、後に、黄体ホルモンが胎児に悪影響を及ぼす可能性があるという情報を耳にしました。これは真実なのでしょうか。その場合、どのように影響があるのでしょうか。

 現在、世界中で黄体ホルモン補充治療は一般的に行われています。環境ホルモンなどによる胎児への影響なども盛んに研究されている今の時代において、もしそのような悪影響が実際に起きているのであれば、直ぐにそのことについての報告や研究、警告がなされるはずです。
既に20年以上にわたって世界中で行われてきた不妊治療において、限りない数の新しい生命が誕生、成長していることを考えると、さほど神経質になる必要はないものと思います。[2009年8月4日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:6回 体外受精:3回 
 現在通院中のクリニックでは、採卵時ではなく、凍結胚移植の前に注射を行います。今回は、HCGを1回とプロゲストンを2回注射されました。前回は凍結胚移植前にHMG150単位を2回、プロゲストンを2回注射されました。
自然周期で戻すのだし、できれば注射は打ちたくないと思っているのですが・・・。凍結胚移植の前にも何かしらの注射は必要なのでしょうか?

 黄体期の処置については各施設によって方法が異なりますので、その施設の方法に従ってください。
しかし、わざわざ凍結した胚を自然周期に戻すわけですから、ホルモン剤等はできればあまり使わないほうがいいと私は思います。月経周期の高温期が1週間未満と短いのであれば必要かもしれませんが、10日間以上あればまず大丈夫だと思います。移植後5日目までには着床しますし、着床後は胚自体がホルモンを分泌していますので、黄体ホルモンの投与は必要ないと思います。[2009年8月4日]
(院長:田中温)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:36回 人工授精:1回 体外受精:3回
 4年前に自然妊娠をしましたが流産し、その後は妊娠せず検査を行ったところ、卵管閉塞が判明しました。FTカテーテル手術をしていますが、妊娠できず体外受精(IVF)を行っています。
1回目は、ショート法で排卵誘発をしましたが、採卵前に排卵をしてしまいました。
2回目はロング法で、排卵を防ぐためにHCGを24時間前に打ちました。この時は、HCGが採卵の24時間前なので未成熟卵が多くなるかもしれないと言われました。結果、採卵数は7個で、成熟卵は3個、受精卵は3個(良好胚)でした。
3回目は、HCGを36時間前に打ってほしいと思ったのですが、排卵するといけないということで24時間前に打ちました。採卵数は14個、成熟卵は不明、受精卵は2個(良好胚)でした。
全て新鮮胚移植で2個ずつ戻していますが、妊娠にはいたっていません。凍結するには数が少なく、融解には耐えられないだろうと説明を受けています。
凍結もできず、新鮮胚移植でのお腹の張りも苦しいし、毎回の採卵も正直辛くなっています。できれば胚を凍結して、自然周期で戻したいと考えています。
そこで質問です。HCGの注射が採卵の24時間前ということがひっかかっています。早期排卵を防ぐためとはいえ、未成熟卵が多いのはどうかと思うし、通常の時間である36時間前に打つ方がよいのではと考えてしまいます。ただ、その時間帯は、現在通院している病院は開いていないので、注射は無理のようです。受精卵ができているのだから、HCGの時間は関係ないと考えていいのでしょうか。それともHCGの時間を変えれば、成熟卵や質の良い卵が増える可能性があるのでしょうか。遅い時間の注射はセントマザーではどうしているのですか?

 体外受精(IVF)の成功の可否はいかに成熟した卵子が採れるかによってきまります。卵子の成熟度はHCGによって完成されます。今までの研究で、卵胞が成熟している場合にはHCG投与後、約36〜40時間後に排卵しますので、36〜38時間の間に採卵することが一般的です。24時間では早すぎます。
Long法でGnRHアゴニストを使用されていますので、排卵の心配はいりません。現在注射は自己注射が可能となっておりますので、ご自分で注射されるのであれば時間の問題なども解決されるのではないでしょうか。一度主治医とよく相談されてください。その結果、改善がみられないようであれば病院を変えてみてはいかがでしょうか。[2009年8月4日]
(院長:田中温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:7回 人工授精:5回 体外受精:0回
 来年の春に入籍予定で、セントマザーでの体外受精(IVF)を希望しています。
1年半前の卵管造影検査では異常はありませんが、黄体機能不全ぎみと言われています。精子運動率は、平均30%で精子数も少ないそうです。
このような状態ですし、年齢や仕事の都合もあるので、できれば入籍前に治療を開始し、受精卵の凍結をお願いしたいと思っています。
今年は、秋頃に1ヶ月程休暇が取れるので、その期間に採卵や受精ができるかどうか診ていただければと思っていますが、一般的に1ヶ月でどのようなことがわかるのでしょうか。セントマザーでは排卵誘発剤の種類もいくつもあるようですが、どの排卵誘発剤が合うかが分かるまでにやはり1ヶ月の通院では無理でしょうか?遠方からの通院でも見極めなどは可能でしょうか。 r>

 体外受精(IVF)は原則的には戸籍上夫婦の方に限られますが、事実婚も認められています。そのためには、住民票と戸籍抄本を持参され、確認をされてください。 体外受精を行えば、どのような質の卵が採れ、受精率がどのくらいかというのがはっきりと分かります。排卵誘発法は、月経3日までの卵巣の状態、ホルモンの値などで、あなたに一番あった方法を決めます。 排卵誘発法は月経3日目までにいらしていただければ胞状卵胞の数、大きさ、E2、LH、FSHのホルモンを測定できます。ホルモン測定は1時間ほどで結果が出ますので、午前中に来院されれば、その日のうちに治療方針についてお話ができます。排卵誘発法が決まれば、注射や卵胞モニターは地元の病院で構いません。注射を地元の病院でうって、卵を育てていただきます。当院への来院は、採卵時となります。[2009年8月4日]
(院長:田中温)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:7回 体外受精:6回
 3年ほど前から治療しておりますが結果がでません。食事や運動には心がけています。
6回目の顕微授精(ICSI)では、ロング法で9個採卵できましたが、成熟卵は5個で顕微授精ですが3個しか受精しませんでした。精液検査では正常値です。3個はいずれもフラグメントも0%で、細胞分割も均等で順調に成長しているようで、その周期に初めて二段階胚移植を行いました。生理12日目で採卵、14日目に4分割胚を移植、16日目に初期胚盤胞を移植し、残りは胚盤胞で凍結保存できました。
移植後は、ルトラール、エストラジオール、バファリンを処方されました。卵巣が右6.4cm、左5.4cmまで腫れましたが、少しずつ引いていきましたし、子宮内膜も術前検査の子宮鏡検査ではきれいで問題なく、ほぼ順調にきていると思っていましたが、妊娠に至りませんでした。
主治医は受精卵に問題があるとおっしゃいますが、私としては子宮内膜に何らかの原因があるのではと心配しています。大阪の大学のレポートで、子宮内膜は生理19〜23日目に着床しやすいように窓が開くといったことが書かれているのを見て、今回の移植は日程がよくなかったのかとも思いますが、どうでしょうか。
やはり卵の問題でしょうか。また、次回、凍結胚移植を行う際に最もよい方法があれば教えてください。

 大阪の大学のレポートでの子宮内膜は生理19〜23日目に着床しやすいというのは、自然周期での話でしょうか、それとも治療周期(排卵誘発周期)のことでしょうか。
上記のレポートは統計的な結果ですが、実際には、患者様の生理周期によって、着床しやすい時期は異なると思います。したがって、16日目に移植したことが悪いとは思われません。
生理周期が30日前後と規則的で、自然周期に移植なら、排卵後3日目に胚盤胞を戻すことになると思いますし、ホルモン補充周期に移植なら子宮内膜が厚くなってから移植となりますから、くわしいことは、ご自身の移植をされたドクターに確認されたほうが良いでしょう。
子宮内膜が薄い場合には、アシステッドハッチングといって、卵の壁を一部カットして移植する方法もありますが、卵の状態にもよりますので、必要であるかどうかは、卵の状態をみて判断されるとよいでしょう。[2009年8月4日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:3回 体外受精:2回
 前回は丁寧な回答ありがとうございました。
この回答を読んで、PCOとPCOSの違いがあることを知りました。卵巣の卵胞がチェーン状にはなっていないように思います。基礎体温は測り方があっているのかどうか不安ですが、二相性にみえますし、月経周期は28〜32日と規則的です。排卵痛があるので、以前治療していた産婦人科では排卵しているといわれました。また、現在のクリニック(不妊専門)でも、無排卵だといわれたことはありません。ただ、タイミングや人工授精(AIH)ではクロミッドを使用していました。早めに体外受精にステップアップをして、ホルモン補充周期にて2回の胚移植をしましたがダメでした。なぜ妊娠しないのかを考えると悲しくなってきます。
排卵痛は癒着などが原因でも排卵痛が起ることはありますか?できれば、人工授精を行いたいと思っていますが、腹腔鏡検査を行ってからの方がよいでしょうか?また、排卵痛のときに鎮痛剤を飲んで性交渉をしても、卵への影響などはありませんか?

 あなたは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)ではなく多嚢胞性卵巣(PCO)です。また、生理周期も規則的ですので、精子の状態に問題が無ければ人工授精(AIH)で大丈夫だと思います。しかし、卵管に癒着があれば人工授精でも妊娠しにくい場合がありますので、ぜひ腹腔鏡検査をされてください。月経痛の原因となる子宮内膜症(腺筋症)、子宮筋腫などは超音波で簡単に分かります。超音波で異常所見が認められなければ、鎮痛剤の服用で大丈夫だと思います。[2009年8月4日]
(院長:田中温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:3回 体外受精:2回
 排卵痛がかなりひどくて、不妊治療を始める前から、すごく気になっていました。最初のホルモン検査で多嚢胞性卵巣(PCO)と診断され、卵管は炭酸ガスの検査で良好といわれています。主人は、運動率が43%くらいですが、スイムアップは問題ありません。主治医は対応が冷たく、時に怒鳴られるので早めにステップアップをして体外受精(IVF)に進みましたが、新鮮胚移植も凍結胚盤胞移植もダメでした。  排卵痛がひどくて性交もできない時があり、排卵時期の出血もあります。排卵痛がひどいのは、放置していてもよいのでしょうか?以前、生理前に濁ったおりものが続いたこともありますが、何か関係しているのでしょうか?また、腹膜鏡検査をまだ行っていませんが、行う意味はあるのでしょうか?

 排卵痛と不妊は関係ないと思います。痛み止めを服用されて下さい。ただ、多嚢胞性卵巣(PCO)の場合、排卵誘発時に多くの卵胞ができるため、排卵痛がひどくなることがあります。卵がたくさん採れてしまうと、1つあたりの卵の質が低下することがありますので、採れる卵の数を10個くらいに減らす排卵誘発を選択するといいと思います。
 PCOとPCOSは症状が異なり、治療法も異なります。あなたの基礎体温は二相性で生理周期が規則的ということですので、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)ではないと思います。ホルモン検査は正常でしょうか。もし、異常であれば、二相性にはならないと思います。
 PCOとPCOSのどちらも、超音波で両側の卵巣に数多くの小さな卵胞を認められますが、異なります。PCOSの定義は、月経周期が不順で、FSHよりLHが高く、男性ホルモン(テストステロン)が高いことです。PCOSであれば卵巣焼灼は有効的な治療です。しかし、PCOの場合、腹腔鏡下に卵巣焼灼を行うとかえって卵巣の機能を低下させる事がありますので、注意が必要です。[2009年7月2日]
(院長:田中温)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:7回 体外受精:1回
 現在、顕微授精(ICSI)をしています。採卵1回、新鮮胚移植1回、凍結胚移植1回です。
 過去に1度、静脈麻酔にて採卵を行いました。そのときの麻酔について、ずっと不思議に思っていることがあり、お尋ねします。
 この採卵の他に、総合病院で3回手術をしたことがあります。その手術のときは、麻酔科の医師が担当し、常にそばに医師がいて安心できました。ガスを使用して麻酔薬を入れ、数秒後には眠っており、不快なことは何もなく、安心して手術に臨めました。
 しかし、別の病院(個人病院)での採卵のときです。
 1. 静脈麻酔を看護師が行っています。看護師が行ってもいいのでしょうか?
 2. ガスマスクを私に付けた看護師は手術室にはいますが、私のそばで管理するわけではなく、様々な準備で動き回っていました。ガスが効きはじめて、意識はありますが全く体が動かず、頭の中がぐるぐると周り始めて、このまま死んでしまうのではないかと恐怖でいっぱいでした。ガスをつけてから1分後に医師や培養士、他の看護師が手術室に入り、点呼や確認、消毒が始まり、点滴に麻酔を入れますという説明後、ようやく眠くなり、採卵終了後に目が覚めました。ガスをつけてから、1分程放置して、麻酔薬を入れるという方法は正しいのでしょうか?
 3. 他の病院では、全く感じたことのない恐怖を味わい、不信感がつのります。次に採卵する場合は、ガスを使わずに、麻酔を受けることは可能なのでしょうか?ガスを使用しないと、採卵中に目が覚めたりするのでしょうか?

 総合病院での3回の手術の内容は何でしょうか?
 また、別の病院(個人病院)での静脈麻酔の種類は何でしょうか。また、総合病院と個人病院の医師や看護師の違いや、ガス麻酔から点滴に麻酔を入れるまでの時間がなぜ1分間だとわかったのかなどについては、具体的には把握しかねますし、麻酔の効き方は個人差もありますので、はっきりとした回答は難しいところです。不安な点は主治医に相談されるのが一番だと思います。
 また、ガスと麻酔にも種類がありますので、何を使ったかによって異なります。個人病院でも総合病院と同じ方法で麻酔をかけてもらえるように、主治医に相談をされるとよいと思います。卵の個数が少なく採りやすければ、座薬だけでの採卵は可能だと思います。[2009年7月15日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:1回 体外受精:4回
 これまでに、体外受精(IVF)を4回(凍結胚移植は1回)しましたが、いずれも妊娠にはいたりませんでした。検査結果も夫婦とも問題なく、受精卵のグレードも良かったです。主治医からもなぜ妊娠しないのか?と逆に言われることもありました。
 原因不明の場合、体外受精を続けるのが一般的と聞いたことがあるので、次回も体外受精をしようかと相談したところ、次回は「成長ホルモンの注射」か「通水検査」を勧められました。成長ホルモンの注射については、体や胎児への影響がまだわからない部分があるのでお断りするつもりですが、通水については非常に興味があります。初めの検査で、左側の卵管が少しつまり気味と言われていますが、通水をすることで妊娠できる可能性はあるのでしょうか?体外受精ですが、通水治療の意味はあるのでしょうか?

 通水療法と体外受精(IVF)の結果は、因果関係はないと思います。しかし、一度子宮卵管造影で卵管の状態、子宮の内腔の状態を観察することには意義があります。
特に卵管水腫のように卵管に異常がある場合には、着床障害の率が高くなりますので、体外受精をする前に卵管の治療をすることで、着床率向上ということでは意味があります。
しかし、通水検査はこのような治療の根本的な治療となりませんので、お勧めできません。ぜひ、子宮卵管造影で卵管の状態を正確に知ることをお勧めいたします。[2009年7月15日]
(院長:田中温)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:7回 体外受精:2回
 1回目の凍結胚移植は化学的妊娠で終わり、2回目の凍結胚移植で妊娠に至りましたが心拍確認後に稽留流産してしまいました。(ともに桑実胚移植です)
 凍結胚が、まだ2回分残っていますが、年齢のことを考えると、早めにもう一度採卵しておくべきなのか悩んでいるところです。特に、40歳を過ぎると、流産後の卵巣機能の回復がうまくいかず、妊娠することがかなり厳しくなるという話も聞き、不安が増しています。実際のところ、卵巣機能の回復はどうなのでしょうか?年齢的には、早めに採卵して凍結保存をしておいたほうが良いのでしょうか?凍結胚ができても、加齢で着床がしにくくなるのであれば・・・と悩みます。

 2〜3ヶ月で卵巣機能が急激に低下することはあまりありません。まずは、凍結してある胚を戻してみられていいのではないでしょうか。うまくいかなかった場合でも自然周期での移植ですから、すぐに次の採卵をすることができます。[2009年7月15日]

(院長:田中温)
年齢:41 基礎体温:二相性 生理周期:不明 タイミング法:2回 人工授精:3回 体外受精:9回
 先日、2回目の凍結胚移植をしました。しかし、移植直前に、受精卵の状態があまり良好でない(ひとつは色が変色、もうひとつは3日目で7分割)という旨を聞かされました。判断に迷いましたが、手術着も着て胚移植直前というときでしたので、結局移植しました。今はまだ判定待ちですが、体温は上昇しています。
 このような胚を移植して、妊娠した場合、子供に障害があったり、虚弱な子供が生まれたりすることはないのでしょうか?ちなみに1人目は凍結胚移植で元気に生まれてきましたが、とてもいい状態の受精卵でした。

 胚移植時の胚の状態判定が良好でない場合、妊娠率は低下しますが、いったん妊娠が成立した場合には、胎児の先天異常の発症率には、ほとんど影響しないものと考えています。
 自然妊娠を含め、すべての妊娠において原因不明の先天異常が起こりうることは、認識しておく必要があります。[2009年7月15日]
(産婦人科医:粟田松一郎)
年齢:36 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:0回 体外受精:9回
 今までに9回採卵して顕微授精(ICSI)に挑戦しています。
 毎回誘発方法を変えて挑戦しているのですが、いつもすべての卵が7分割で停止してしまいます。
 分割スピードや受精数は毎回違いますが、多くても少なくても、必ず7分割で止まります。卵の質が原因といわれますが、誘発法もありとあらゆる方法を色々と試していますし、どうしようもない原因があるのではないかと思っています。精子の影響はありますか?このような場合、あきらめたほうがよいのでしょうか。

 いかなる排卵誘発法を用いても、7分割で止まるという事は、やはり卵巣に問題があるように思われます。あとは、顕微授精(ICSI)の技術も影響します。精子に受精障害などがある場合には、受精は全くしないという事になると思いますから、精子の影響は考えなくていいと思います。
 あまり長く培養しないで卵管内へ移植するGIFT法やZIFT法を試されることをおすすめします。効果はあると思いますよ。[2009年7月15日]
(院長:田中温)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:6回 体外受精:5回
 高プロラクチン血症、2年前に腹腔鏡検査でチョコレート嚢腫を焼きましたが、すぐ再発し、現在は3cmになっています。子宮筋腫は妊娠には、さほど影響がないと言われています。
 夫の運動率と高齢ということで、顕微授精(ICSI)をしています。
 ホルモン補充周期での凍結胚移植、3回目と4回目で妊娠陽性になりましたが、2回とも8週目迄のホルモン補充をやめてから数日後に、出血してしまい進行流産してしまいました。
 年齢のことで焦りもあり、不育症の検査もしましたが、異常はありませんでした。
 今回は、内膜10mmの状態で20日目に移植、小児用バファリンとプレドニゾロンを服用しましたが妊娠には至りませんでした。
 陽性になった時は、移植日が18、19日目でしたが、今回は胚移植の時期が遅かったのがよくなかったのでしょういか。また、チョコレート嚢腫や高プロラクチンの影響はどのくらいありますか?

 ホルモン補充周期での凍結胚移植は、内膜の厚さによって日にちがかなりずれますが、着床率には影響はほとんどありません。2〜3日のずれならば、心配しなくてもいいと思いますよ。
 チョコレート嚢腫は移植には直接影響はありませんが、高プロラクチンの場合には影響があると思いますので、プロラクチンを正常値に抑えるようにお薬を服用されるといいと思います。[2009年7月15日]
(院長:田中温)
年齢:41 基礎体温:二相性 生理周期:不明 タイミング法:2回 人工授精:3回 体外受精:9回
 過去に、3回の採卵(クロミッドとフォリスチム)、9回の移植をしました。
 1回目の採卵では、9個の受精卵ができ、何度かに分けて胚移植をしました。胚盤胞に育った2個が着床しましたが、化学流産でした。(うち1回は胎嚢らしいものが見えるところまでいきました。)
 2回目の採卵では、受精卵が4個、うち1個が胚盤胞になり着床しましたが、やはり化学流産でした。
 3回目の採卵では、受精卵が4個、うち2個の胚盤胞になりましたが、どちらも着床しませんでした。
 このような状況を考えると、採卵のたびに卵の質が落ちているように思われ、今回の採卵では、あえて誘発をせず、自然周期で採卵を希望していました。それで、月経10日と11日目のホルモン値を測定しましたが、E2の値がD10で100台、D11で130台でした。卵胞は左右に1個ずつ(17mmと20mm)あり、主治医には、排卵期の大きさだと言われました。しかし、E2が低いので未成熟の可能性が高いといわれ、自然周期による採卵をあきらめ、HMG(テイゾー)とアンタゴニストを注射されました。
 そこで質問です。
 1. 注射をうたず(あるいはアンタゴニストだけ打って)、E2の値が高くなるのを待つことはできないのでしょうか?
 2. HMG注射で、E2を上げることができるのでしょうか?それによって卵の質をあげることができるのでしょうか?
 3. そもそも自然周期と排卵誘発とでは、どちらが質の良い卵を得ることができるのでしょうか?
 4. 未成熟卵=空胞ということでしょうか?HMGは空胞をそうでない状態にすることができるのでしょうか?
 5. 年齢とともに卵の老化が進みますが、老化が進んだ卵は生命力が弱いのでしょうか?そのために、着床しても育たないのでしょうか?

 体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)の妊娠率はどのような質の卵子が採れるかによって決まります。すなわち、排卵誘発法によって結果が左右されるといっても過言ではありません。月経周期3日目までの胞状卵胞の数、大きさ、位置が排卵誘発に対する反応を予期するのに信頼性が高いといわれています。ぜひ胞状卵胞の状態を観察されてみてください。
 E2の値だけで判断するのは不十分だと思います。自然周期の体外受精(IVF)は、排卵をしてしまうなどの理由からキャンセル率が高かったり、ベストなタイミングで採卵できないというデメリットがあり、妊娠率も低くなりますので、あまりお勧めはできないように思います。質の高い卵は、自然周期でも排卵誘発周期でもどちらでも採れますが、数は排卵誘発の方が採れます。ある程度の数が採れた方が、1回の採卵に対する妊娠率が高くなりますので、GnRHアゴニスト、アンタゴニスト+HMG(or FSH)を用いて、十分な排卵誘発をされる方が有利だと考えます。しかし、年齢の高い場合や卵巣機能が低下して他の排卵誘発法で反応しない場合は、自然周期でもよいと思います。
 未成熟卵は空胞ということではなく、卵子は採取できても染色体レベルが成熟状態に至っていない状態ですから、受精率は、ほぼゼロとなります。排卵誘発が十分でないか採卵の時期が不適当な場合に、このような未成熟卵が採取されます。
 加齢とともに卵子の老化が進みますので、染色体異常の発生率が高くなります。そのような理由から、着床しても流産する確率が40歳以上の方の場合は著明に増加します。これは異常なことではなく、自然な生命現象ですのである程度は避けることはできません。[2009年7月15日]
(院長:田中温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:16回 体外受精:2回
 男性不妊のため、これまでに2回の顕微授精(ICSI)を受けています。
 次回は、凍結胚盤胞移植の予定ですが、生理3日目からクロミッドを5日間服用するよう言われています。
 採卵しない周期でのクロミッド服用には、どのような効果があるのでしょうか。

 クロミッドの内服に関して、主治医からはどのような説明を受けていますか。また、顕微授精(ICSI)時の排卵誘発法はスプレキュアやアンタゴスト、HMG(FSH)を併用されていますか。あるいは、クロミッド内服のみでしょうか。
 以下、ご回答をいたしますが、あくまでも憶測となりますので、正確な内服指示の理由は必ず主治医に確認をしてください。
 35歳を過ぎると、生理周期が順調であっても排卵がなかったり、順調な人でも一時的に周期が長くなることもあります。ですから、正確に排卵を促すこと、また、規則的な生理周期にする目的として、クロミッドを出しているのではないかと思います。次回への治療に向けてのホルモン環境整備のためだと考えます。[2009年7月2日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:31 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:0回 体外受精:2回
 以前は、回答をいただきありがとうございました。
 その後、初期胚で凍結し、8分割(フラグメーションも0%の良い卵)をホルモン周期で移植しましたが陰性、その時に融解した中の1つが胚盤胞(G2)に育ち、再凍結をして、再度ホルモン周期で移植しましたが、妊娠には至っておりません。
 今回は、前回と同じアンタゴニスト法で採卵し、15個顕微授精しましたが、やはり10個が多核になりました。正常受精したうちの2つが胚盤胞になり、現在移植準備中です。前回質問させていただいた際に、顕微でもいい結果にはならない・・・と言われており、おっしゃるとおりの結果になってしまいました。
 主治医からは、次の移植で結果が出ないようであれば、受精卵に異常のある可能性も高く、他にできる治療はないと言われています。私としても顕微授精は最終手段と思っていたのに、正常受精は圧倒的に少なく、あきらめたほうがいいのかと悩んでいます。
 しかし漢方薬局の先生は、正常に受精したもののいくつかは胚盤胞まで育つので、自然妊娠は難しくても、治療を続けていれば可能性はあるよと言ってくださいます。
 もちろん可能性があるのなら、あと数年はがんばりたい気持ちもありますが、可能性がない、もしくはものすごく低いのであれば、あきらめる決心をした方がよいのか悩んでいます。アドバイスいただけるとうれしいです。

 顕微授精(ICSI)で多核ということは、精子が1匹しか入っていませんので、卵子の卵細胞質内の染色体の分配がうまくいかなかったことが推測されます。
 しかし、前回もお答えしましたように、この2個に分かれた染色体が1個になることもあり、正常に回復することもありますので、顕微授精で間違いなく1匹の精子だけを注入しているのであれば、移植してもいいと思います。
 それと、顕微授精の技術にも多少の差があると思います。最高の技術を持った顕微授精とそうでない場合には、このような現象が出てくる可能性があります。結論としては、排卵誘発法の見直しと顕微授精の技術の検討の2点です。[2009年7月2日]
(院長 田中 温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:6回 体外受精:2回
 体外受精(IVF)をしています。
 通常は、採卵前に血液採取をし、自己血清で培養するそうですが、私の場合は血管が細く採血がしにくいといわれ、血液採取しないといわれました。
 培養に自分の血清を使う場合と使わない場合で、受精卵の分割や着床に変わりはないのでしょうか。
 1回目の体外受精では自己血清を使って受精・妊娠(流産)しています。2回目は使わずに受精なしなので、影響があるのではと考えてしまいます。

 現在の培養液には自己血清ではなくて、製薬会社が作った血清を代用としており、このやり方が一般的です。
 ご自分の血清を処理して培養に使用するには時間がかかりますので、一般には、世界的に市販されている培養血清でいいのではないでしょうか。[2009年7月2日]
(院長:田中温)
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