回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.40 -
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:5回 体外受精:2回
 今年5月に初めての体外受精(IVF)をして、ロング法で2個しか採卵できませんでした。4分割の初期胚を移植し、妊娠するも6週で繋留流産となりました。掻爬手術後、9月からマーベロン21を服用し、10月に採卵予定でしたが、D2のFSHが18.5と高かったため延期となりました。
その後は、ルテジオンを21日間服用し、11月に採卵予定となりました。D2のFSHを含めてホルモン値は問題ないということで、D3〜D5までHMGコーワ300、D6〜D15までHMGフジ300、D11〜D14までGnRHアンタゴニスト、D16の夜にHCGを注射しました。D11では、左右に15mmの卵胞が2個ずつあり、D14のE2が598でした。D15には20mmの卵胞が左右計4個で、E2が788でした。D18に採卵予定でしたが、既に排卵済みとのことで採卵できませんでした。
医師には、通常よりも早く排卵してしまったのだろうと言われました。最後のアンタゴニストを打ってから4日経っての採卵なので、抑制が効いていなかったのではないかと尋ねたところ、その可能性もあると言われました。
今回、誘発剤の影響で卵巣機能が低下してしまったのではないかと心配です。治療の再開も2周期休んでからとなりましたが、年齢のこともあり、焦りを感じています。私のように高齢で排卵誘発剤の反応が悪く、卵の数が採れないは、刺激周期でなく、完全自然周期での採卵の方が向いているのでしょうか?

 体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)の妊娠率を左右する最も重要な所見は、胞状卵胞の数と大きさです。月経3日目までの胞状卵胞の数と大きさが、4〜5個と少ない場合にはLong法よりもShort法またはアンタゴニスト法の方がいいでしょう。10個以上の場合にはLong法がいいと思います。しかし、あなたの場合はLong法で2個ということですから、数はあまり多くならないかもしれません。卵子の質が良ければ、採卵数は3〜4個で十分ですので心配いりません。
アンタゴニストを打つ場合には十分な注意が必要です。アンタゴニストは短期間内にホルモンに対して強力な作業が働きます。当然、卵子や子宮内膜にも影響を与えます。アンタゴニストとHCGとの間隔が短い場合には、いい卵がなかなか採れません。といっても、アンタゴニストが2日以上あくとかえって排卵するかもしれません。このあたりが難しいところです。またマーベロンを服用しますとFSHが高くなることもあり、採卵数がかなり減ります。ですからピルの服用は諸刃の剣と思って下さい。
完全自然周期の方法も1つの方法ですが、別のタイミングを見つけるのは非常に難しく、キャンセル率が高くなります。また卵を採れる数が1個と少なく、全体としての妊娠率がかなり低下します。これを十分理解されて下さい。結果的には、月経3日目までの胞状卵胞の数、大きさ、E2、LH、FSH、AMH、抗ミュラー管ホルモンなどを参考にして、排卵誘発法を見つけてください。あなたの場合にはShort法がいいかもしれませんね。[2010年1月20日]
(院長:田中温)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:7回 体外受精:2回
 来月移植する胚盤胞のことについて質問させてください。
新鮮胚移植の予定をしていたのですが、分割中の胚が透明帯から出てしまったため、移植は中止になり、その胚を胚盤胞まで培養したところ、6日目に胚盤胞になったため凍結しました。
このようなことは、よくあるのでしょうか?また、透明帯がない凍結胚盤胞は通常の胚盤胞のように融解できて、移植までできるものなのでしょうか?

 新鮮胚移植で、胚が透明帯から出てしまうということはどういうことでしょうか。ハッチングをしたのではないでしょうか。もしも、そうであれば、それは自然で良好な所見ですよ。なぜ中止したのでしょう。受精法は、顕微授精(ICSI)ではなく体外受精(IVF)だったのでしょうか。顕微授精ならば顆粒細胞を分離するため、透明帯を傷つけてそこから中身が出てくるということはありうるかもしれませんが...。
透明帯がない胚盤胞の凍結は非常に難しいと思います。正常に戻る可能性は非常に低いと考えます。[2010年1月20日]
(院長:田中温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:1回 体外受精:3回
 男性不妊で顕微授精(ICSI)を行っています。昨年7月にロング法で、17個採卵し、11個受精して6個が胚盤胞になりました。採卵周期に1個戻しましたが陰性でした。
治療に疲れを感じたこともあり、着床に関係あるとは言い切れない場所でしたが、11月に10mmの子宮筋腫4個を内視鏡併用で開腹手術しました。
今年に入って治療を再開しましたが、6〜8月とホルモン補充しても、内膜が6mmと薄く、移植は中止になりました。9月にやっと内膜が7mmになり移植しましたが陰性でした。10月に薬なしで内膜が8mm(15日目)だったので、11月は自然周期で移植しましたが陰性でした。胚盤胞6個のうち、これまでに移植した3個はすべてG1、そのうち2個は自分でハッチングもしていました。残りの3個は凍結解凍の過程で変性して使えませんでした。 次はまた採卵からになります。お聞きしたいのは以下の2点です。
1.9月と11月の移植の4日後に内診した時、内膜が「限局性」と言われました。厚くなっているところと薄くなっているところがあるようです。それでも11月はいい厚さだといわれました。この限局性というのは着床に影響しますか。 2.内膜はよくなってきたので、卵自体の問題かもしれないと言われました。ロング法以外の誘発法がいいのでしょうか。

 自然周期で凍結胚を移植する際には、内膜の厚さはあまり着床に影響しません。すなわち内膜が10mm以下でも着床する可能性は十分あります。 限局性というのはどういうことかよく分かりませんが、部分的に内膜が限局性で薄くなっていたり厚くなったりすることは、普通はないのですが、粘膜か筋腫、ポリープなどがあるのでしょうか。月によって厚さが変わるということは、少なくとも筋腫ではないでしょうね。
卵の作り方は、Long法以外にも、Short、アンタゴニスト、クロミッド+HMGなど色々あります。月経3日目までの胞状卵胞の数、大きさ、E2、LH、FSH、AMHなどを測定し、その結果で最もあなたに適した誘発法を見つけることが、妊娠への近道だと思います。また胚の凍結は、決して胚盤胞がベストとは限りません。胚盤胞でもハッチングするほど発育した場合の凍結成功率は、やや低下することもあります。卵の状態をみて、3日目の8細胞や桑実期胚で凍結した方がいい場合もありますので、その点は柔軟性をもって考えられたほうがいいと思いますよ。
胚盤胞まで培養する方法は、ベストな選択ではなく、場合によっては、他の方法が適していることもあるということを理解されてください。数年前までは、4細胞、6細胞で移植することが主でした。人の胚は胚盤胞にならなくても十分妊娠する能力があります。[2010年1月20日]
(院長:田中温)
年齢:43 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:4回 人工授精:3回 体外受精:8回
 閉経後の方が着床率は高くなるという情報を見ました。閉経するとエストロゲンが出なくなることと関係があるらしいということです。情報を聞いて、閉経後の妊娠なんて・・・と思っていたので、特に気にしていませんでした。ただ、先日、代理出産のニュースで母親は閉経後にホルモン剤を投与して妊娠出産したと聞いて、私の認識が違っていたことに気がつきました。
閉経後の方が着床率が上がるというのは本当でしょうか?もちろん、年齢が若ければそちらの方がよいような気はします。ただ、私のような年齢であれば、状態のよい胚を凍結保存しておいて、閉経後に移植する方が妊娠率が高くなるのではと思ってしまいますが、いかがでしょうか?

 閉経後の方が着床率が高くなるということはありません。閉経後もホルモン剤で着床することも可能性があるとお考え下さい。統計を取ると差は無いと思いますが、閉経後の場合には、卵巣から出るホルモンがほとんど分泌されていませんので、外からホルモン剤を投与するとその影響が直接的に出やすいということも考えられ、内膜の発育が予想しやすいという利点があるかもしれません。[2010年1月20日]
(院長:田中温)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:4回
 現在、妊娠4w1dです。2日前に血液検査を行って、HCGは269でした。
胚盤胞を2つ移植しましたが、移植6日後から出血が始まり、本日で5日目になります。量は少しづつ増えているようで、生理ほどありませんが、ナプキンはしていないとだめな量です。
主治医は2つとも着床して、ひとつが流産してしまったのではないかといって、経過待ちといわれました。ただ出血が多い場合、もうひとつの着床している方も巻き添えになるかもしれないといわれました。まだまだお腹の中では確認できませんので不安ばかりが募ります。このまま妊娠継続できるのでしょうか?なにか方法はないのでしょうか。

 妊娠4週ですので着床はしていると思いますが、いくつ着床しているかについては現時点では経過をみていくしかありません。基本的には安静が一番大切なことと思います。
今後出血量が増えるならば、担当医と相談して、入院管理するかどうか検討されて下さい。初期の出血は約10%の方が経験します。今回が初めての妊娠であれば、子宮収縮抑制剤や止血剤の点滴をした方がいい場合もありますし、2回以上の流産の既往があればアスピリン服用などをした方がいい時もあります。今は安静にし、経過を良く診てもらってください。[2010年1月20日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:18回 人工授精:回 体外受精:回
 タイミング法を1年間行いましたが授からず、検査の結果、左卵管が閉塞していることがわかりました。右側は通っているので、しばらく右側を狙って頑張りましょうということで、更にタイミング法を続けて半年経ってしまいました。 生理周期は28日で、とても正確ですし、基礎体温も二相性です。ホルモン数値も問題なく、子宮内膜も十分な厚さになっています。フーナーテストでも問題ないとの結果です。
以前、卵の数を少し増やす目的で、クロミッドを飲んだことがありましたが、頭痛の副作用がひどく、2周期でやめることになりました。HCG注射を打つと、生理が4日で終わってしまう(HCGなしの時はぴったり7日間)ために、打つのをやめました。
体外受精(IVF)も考えていますが、薬剤に反応しやすい自分の体質に不安を抱えています。薬や注射を使わない、完全自然周期の体外受精というものがあることを最近知ったのですが、これは不妊治療を行っている病院であれば、どこの病院でもやっていただけるのでしょうか?またこれについて、普通の体外受精との違い、メリット、デメリットを教えていただければと思います。よろしくお願い致します。

 採卵している施設であれば、自然周期の採卵は可能と思われます。ただし、排卵誘発法は施設間で方法がかなり異なりますので、受診している施設で自然周期が行えるかどうかを確認されてください。
自然周期のメリットは、体への負担が軽い、場合によっては治療が毎月でも可能である、ということです。
一方デメリットは、採卵数が1個と少ないので、卵の質が良くなければ妊娠率が低いということです。
主治医とよく相談されて排卵誘発法は決めていってください。[2009年12月16日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:41 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:7回 体外受精:4回
 体外受精(IVF)の胚移植5日後に水が溜まっていると言われました。
主治医は、「何かするほどまではないので、安静にしてください」と言われました。とりあえず、あと1週間はプロゲストンの注射を毎日打つ予定です。
このような場合、やはり妊娠する確率は低いのでしょうか?また、予防策などありますか?

 体外受精(IVF)では、卵子はいくつできていましたか。また血液(赤血球、白血球、Ht、Hb)の値はどうでしたか。
卵子数が20個以上と多い場合、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が推測され、安静および点滴が必要と思います。
主治医のお話からすると、卵巣は少し水があるが腹水は少量で今のところ問題ないといったことだと思います。
今後、尿量が減ったり、お腹の張りが強くなるなら病院を受診されることが大切です。
普段よりも、水分をやや多めに摂取し、運動は控えたほうがいいでしょう。
水が溜まったからといって、それによって妊娠率が大幅に下がるということはありません。[2009年12月16日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回 
 以前、「同じ誘発法を繰り返しても、結果は同じだと思うのですが、誘発法をかえてもらえません」という質問で回答をもらいました。
今回は、アンタゴニスト法で採卵して顕微授精(ICSI)を行いました。しかし、受精率も受精卵の質も悪く、何とか移植できそうな胚をひとつ凍結し、ホルモン補充周期で移植しましたが、陰性でした。
私はこれまで4回の採卵で、ロング1回、アンタゴニスト3回を、いずれも前周期にピル服用を行いましたが、いずれも20個近くの卵子が採れます。また、受精率が悪く、受精卵のグレードは低く、ほとんどが途中で分割停止してしまいます。すべて卵子の質が悪いためだそうです。
採れる卵を減らしたい思いもあり、クロミッドなどを用いた低刺激法でチャレンジしたいのですが、主治医は「数が減るだけ不利」と言って聞き入れてくれません。しかも月経3日目の血液検査もしてもらえません。
同じ誘発方法を繰り返しても意味があるとは思えないので、どうしても低刺激に変更したくて転院も考えています。低刺激に変更して卵の質が良くなる可能性はあるのでしょうか。個人差があり、一概に言い切れないことは承知しております。先生のご経験から、一般的な傾向として教えていただけないでしょうか。よろしくお願い致します。

 ピルを使っても20個近く採れるということは、ピルの効果が不十分ですね。2周期ピルを使ってみてはどうでしょうか。また、低刺激のクロミッドを用いた方法も悪くはないと思います。クロミッドを用いた方法をされてみるとよいでしょう。
しかし、クロミッドを使う方法をあまりお勧めされない先生もおられます。転院も考えてもよいと思いますが、最終的にはあなたが判断してください。[2009年12月16日]
(院長:田中温)
年齢:32 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:4回 人工授精:12回 体外受精:1回
 男子不妊で顕微授精(ICSI)を始めました。1回目は、ロング法で卵が1個しかできなくて中止、2回目は誘発を強くしましたが、卵は1個もできずに中止なりました。その後、AHM検査を行った結果は、3.0と最低の数値であることがわかりました。
FSHも高いので、プレマリン、プレノパールで2クールリセットしました。そして、生理2日目からアリミデックス5日間、その後クロミフェン10日間を服用しました。卵胞14mmで、HMGフェリング75を2回投与し、卵胞18mmでHMGを投与してから、HCG1000単位で採卵しました。顕微授精で受精はしましたが、分割が進まずに中止なりました。その次は、卵子がありませんでした。原因どのようなことが考えられますか?
FSHの値はプレマリンを服用すれば、正常値まで下がりますが、卵は1個しかできません。プレマリンでFSHが下がれば、注射で誘発すればもう少し育つのではと思いますが・・・どうすればよいでしょうか?

 月経が不規則で、二相性ではないということは、卵巣下垂体からの刺激系統に問題がありそうですね。
このような場合には、強い薬ではなく、飲み薬だけの方がいいかもしれません。
質のいい卵であれば、1個でも妊娠する可能性はあります。諦めないで頑張って下さい。
卵管内に移植するGIFTやZIFTを当院ではお勧めしております。一度考えてみられてはいかがでしょう。[2009年12月16日]
(院長:田中温)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:5回 体外受精:8回
 先日、G3の凍結胚盤胞を2個移植しました。移植後にスプレキュアを毎日続けるように指示されているのですが、高温期に点鼻するスプレキュアとはロング法で、次周期の採卵のために使うとの言葉を目にします。
移植後にスプレキュアを毎日点鼻するということは、今周期の妊娠の見込みが少なく、次周期の準備に入っているという考えなのでしょうか。

 胚移植後のスプレキュア投与の有効性に関しては、確立されたものではないと考えます。着床率が上がったという報告もありますが、一般的に科学的に証明される段階ではないと考えます。
ただ、少なくとも今周期の移植で結果が出そうにないからといって、次周期のために使っているということではないと考えます。[2009年12月16日]
(院長:田中温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:6回 体外受精:2回
 今までにロング法で2回採卵をしました。顕微授精(ICSI)をしましたが、未熟卵子が多く悩んでいます。過去の回答を読みましたが、理由として、誘発方法が合わないことと体質という回答があり、自分はどちらになるだろうかと判断つかず、質問することにしました。
1回目のロング法は、注射を10日間打って8個の卵が採れましたが、全ての卵が未熟でした。卵胞の大きさは20mm以下で採卵しました。(ホルモン値は調べませんでした。)
2回目のロング法は、注射の種類を変えて、やはり10日間連続で打って、結果11個採れました。2回目は、卵の大きさを20mm以上に育てました。エストラジオールを測り、3307pg/dlでした。
主人の検査結果も悪くて、すべて顕微授精をしました。結果、正常受精1個、3PN以上1個、変性卵1個、分割停止1個、未熟卵7個でした。受精卵は2日目の4細胞(グレード3a)を移植しましたが、陰性でした。
私の異常が見つかっていないので、主人の検査がやや悪いくらいなのかなぁと軽く考えていました。現在もホルモン測定をしても特に異常がないので、ショックは大きいです。私自身の体質の問題でしょうか。胞状卵胞を調べての誘発法決定をする目安を具体的に教えてください。

 1つは排卵誘発法が合ってない場合、もう1つは卵子自体の発生機序がうまく機能していない場合です。
あなたは、これまでに2回のLong法をしていますね。卵の数は十分だと思いますが、未熟卵の割合が高すぎます。 次回は、アンタゴニストを使ってみることをお勧めします。もしアンタゴニストを用いても結果が同じであるなら、前周期にピルを3週間服用し、その後に排卵誘発をされることをお勧めします。それでも未成熟卵子しか採れない場合には、卵子の細胞期胚の成熟が、正常に機能していないということになり、特殊な薬剤の中に卵子を浸ける必要が出てきます。但しこの方法は世界でも、方法が確立されていませんので、できれば排卵誘発法を改善することにより、いい結果が出る事を期待しております。[2009年12月16日]
(院長:田中温)
年齢:45 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:15回
 3ヶ月前のAMH検査の結果(14.6)より、年齢にしては卵巣年齢が若いと言われています。
 過去にショート法で採卵を7回行っています。 1回目は、11個採れたうち、10個が成熟卵でしたが、その後、どんどん未成熟卵の率が上がり、最近では10個以上の卵胞が見えても成熟卵がたった1つだったりします。
 先日、主治医に「HCGの抗体ができてしまっているのかもしれない。だから未熟卵が多いのかも。こういう体質の人は妊娠できない」と言われました。妊娠時に出る自己HCGにも反応してしまうということです。このような事例はあるのでしょうか。

 HCG抗体の原因とは考えにくいと思います。卵巣機能への加齢の影響だと思います。
 卵が11個採れたということは、卵巣の反応は非常に良好だと考えられますが、採れた卵子の質がよくないということは決して珍しいことではありません。この原因は、卵巣機能の低下によるものだと思います。
 HCG前の卵子が成熟している過程での問題だと思いますし、卵巣の反応自体は良好ですので、排卵誘発法を変えていけば必ず成熟卵の採れる確率は高くなると思いますよ。月経3日目の胞状卵胞の数、大きさ、E2、LH、FSHの値を参考にして、あなたに合った排卵誘発法を見つける事が重要です。[2009年12月2日]
(院長:田中 温)
年齢:31 基礎体温:二相性ではない 生理周期:不規則 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:0回
 基礎体温が二相性になっていないので心配になり、先月初めて病院で血液検査をしてきました。生理が9日間と少し長引いたため、診察日は生理開始日より12日目でした。血液検査の結果は、異常なしと言われたのですが、基礎体温表を見る限り、排卵はしていません。という診断でした。
 血液検査(月経12日目)の結果は、以下の通りです。
 MVC=91.8  MCH=30.9  MCHC=33.7  プロラクチン=6.1
 黄体化ホルモン=13.4  卵胞刺激ホルモン=5.9  E2=54.6
 異常はないといわれていますが、LHが高めのように思っています。また、通院前に、タイミングをとってみようと重い、排卵検査薬を行っていたのですが、ずっと陽性反応が出てしまい、タイミングが取れませんでした。どうしていつも排卵検査薬が陽性になるのかと、主治医に聞いてみましたが、「なぜだろう?」という答えしかいただけず、不安です。
 ちなみに、現在は、とりあえず、クロミッドを7日間服用するようにと言われて服用しています。

 排卵を誘致するホルモンは脳下垂体からでる黄体化ホルモン(LH)です。しかしこのホルモンが出たからといって、排卵が完了するとは限りません。黄体化非破裂卵胞(LUF)という現象は、基礎体温が二相性になっている症例でも約2割で起きると言われています。すなわち基礎体温が二相性になることが、必ずしも排卵したという事を示しているわけではありません。
 このような黄体化非破裂卵胞の原因としては、ほとんどが原因不明ですが、過去に卵巣の手術などしている場合には、癒着が原因となって排卵ができていないということもあります。
 一度腹腔鏡検査をされると良いのではないでしょうか。HMGなどの排卵誘発剤を用いた注射で、排卵する数と力を強くすることはいい方法かもしれません。[2009年12月2日]
(院長:田中 温)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:10回 体外受精:3回
 私は子宮内膜症、主人は乏精子症のため、不妊治療を行っています。
 先日、ショート法で3回目の採卵を行いました。卵子は11個採れたのですが、受精卵が2つ、受精したかわからないものが2つ、残り7個は未受精でした。卵巣感情刺激症候群(OHSS)の兆候があり、今周期は移植できないため、採卵翌日に4個を凍結保存しました。
 主治医に受精率が低い理由を聞いたのですが、卵子は成熟したものが10個あったし、精子も処理後の運動率が90%あったので、原因はわからないといわれました。十分に成熟していても、卵の質が悪いということになるのでしょうか?
 採卵1回目はロング法、18個採卵、顕微授精(ICSI)にて11個受精、3回に分けて凍結胚移植
 採卵2回目はクロミッド法で3個採卵、体外受精(IVF)で2個受精、凍結胚移植
 1回目、2回目とも受精卵の分割スピードがやや遅かったと言われています。今回は、受精率が悪いということは、誘発法があっていなかったということでしょうか?

 卵子の質が高いか低いかは、形態学的差異により決定します。この形態学的差異は受精率と相関関係がありますが、なかには全く受精しないこともあります。すなわち、受精は精子と卵子の相互関係であり、卵子の状態がよければ必ず受精するというものではありません。精子の影響も受けるということです。しかし、精子が良好であっても受精率が低いという場合には、透明帯の問題や精子の細胞質の問題の可能性もあり、まだ未解明の部分も残されております。
 精子と卵子が共に良好でありながら、受精率が低い場合には、顕微授精(ICSI)をお勧めします。決して卵子だけが悪いという事ではないと思います。また、必ずしも排卵誘発法があってないという事でもないと思います。未だ医学的に解明されてない何かがあるものと思います。 顕微授精では、十分高い受精率が認められておりますので、この治療法で大丈夫だと思います。[2009年12月2日]
(院長:田中 温)
年齢:45 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:10回 体外受精:3回
 過去3回の体外受精(IVF)は新鮮胚移植で陰性だったため、今回は凍結胚移植をする予定です。 生理は規則正しく排卵日も見つけやすいのですが、生理3日目までのホルモン値はFSH=15、E2=60と高めです。 内膜は自然周期でも6mm台のときもあり、調子がいいときでも8mmにしかなりません。一般的には自然周期移植の方がよいと思いますが、ホルモン値や内膜の厚さ、年齢のことを総合的に考えると、ホルモン補充周期の方がよいでしょうか?

 排卵日を確認してホルモン剤を使用しない自然周期戻しと、ホルモン剤により内膜を厚くする方法と2通りあります。月経周期が規則正しくて基礎体温が二相性になっている場合には、自然周期が有利です。妊娠率は変わりませんが、流産率がホルモン周期より低くなります。ただし、40歳以上の方の場合には、ホルモン周期の方がやや有利となります。[2009年12月2日]
(院長:田中 温)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:10回 人工授精:6回 体外受精:0回
 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)(D3の LH=5.29mIU/mlでFSH=3.69)で、Bテストステロン85(基準値40未満)の32歳女性です。
 これまで、初期流産(いずれも胎嚢が確認できず)を2回経験しています。半年ほど前に、75gブドウ糖負荷試験をしたところ、HOMA-R2.2と軽度のインスリン抵抗性をみとめ、メトホルミン2000r/日を内服しています。BMIは22から19.7に低下しました。
 今後、マーベロンを2周期内服して、体外受精(IVF)をする予定です。AMHが51のためクロミフェン法を行うつもりでいますが、男性ホルモンが基準値の2倍もあるため、卵の質に影響するのではととても心配しています。デカドロンなどの内服で男性ホルモンを下げる方法もあると聞いたことがあるのですが、男性ホルモンを下げたほうが良質の卵がとれる可能性があがるでしょうか?もしステロイドを内服するとしたら、どのような飲み方をするのでしょうか?

 以下の4点が問題ですね。
 1.PCOS
 2.男性ホルモンの高値
 3.インスリン抵抗性
 4.流産の確認
 基礎体温二相性ということですが、排卵の確認をされているものとして回答します。
 これまでの2回の妊娠は、不妊症治療をしての妊娠でしょうか。それとも自然妊娠でしょうか。また流産に対しての検査もされて、それに対しての治療はされているのでしょうか。
 当院では2回以上の流産の場合は、習慣流産に準じて検査(血流凝固能、自己免疫疾患の有無、抗リン脂質抗体、染色体検査など)を行います。これらの検査の異常によっては、アスピリンの内服や、ヘパリン療法、リンパ球移植などを行います。
 男性ホルモンが高いことに対しては、ステロイドの内服があります。ステロイド内服時には排卵誘発の開始もしくは前周期から、5〜10mgの少量投与を行って採卵します。ステロイドの使用については、これまでにステロイドの内服をした事がないと何とも決めかねます。ステロイドも長く飲むと太ったり免疫能を下げたり、卵の質にマイナスの面もあるからです。[2009年12月2日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:1回
 顕微授精(ICSI)を行うため、ロング法で採卵しました。11個採卵できて、8個が受精し、2日目にすべてが4分割になりました。(G1が3個、G2が3個、G3が2個)
 しかし、4日目にはすべての受精卵の分割が遅く、全部が、まだ桑実胚前の状態でした。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のため、次周期に移植が決まっているのですが、この4分割より少し進んだ状態で凍結保存して移植しても、妊娠の可能性は低いのではと考えてしまいます。グレードが良くても、分割が遅いということは、卵の質が悪い受精卵という事なのでしょうか?

 2日目に4細胞、3日目に8細胞、4日目は桑実胚、5日目は胚盤胞が標準的な分割の速度です。
 ただ観察時間によっては上記より進んでいたり、遅れていたりすることもあります。
 卵の評価は、分割の速度と形を基に行われていますが、その評価が100%信頼できるとは断言できません。2日目に2細胞だったから、成功率をあげるために2個の胚移植をして双胎になった例(要するに、2つとも着床したということです)もあります。
 グレードが良くても分割が遅いものが必ずしも卵の質が悪いと断定はできませんので、状況を見て総合的に判断することが大切です。[2009年12月2日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:41 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:12回 人工授精:1回 体外受精:3回
 排卵させるために使用するHCGは、使用したその周期に妊娠すれば問題はないけれども、次周期以降の卵巣機能に悪影響を及ぼすという情報を目にしたことがあります。本やインターネットなどで何度か見かけたのですが、実際そのようなことはあるのでしょうか?
 私は、セロフェン+HCGで採卵していますが、続けて採卵したことはありません。ただ、1周期しかお休みをとらなかった時には空胞となりました。
 これが、上記に書いたようなHCGの影響であるならば、もう少しお休み周期を長くとろうかとも考えています。逆に卵巣機能には悪影響を与えないのであれば、(セロフェンの刺激であれば)お休みを全く入れずに採卵も可能なのでしょうか?年齢のこともあり焦る反面、可能性が高くなるならお休みの期間も・・・と色々と考えています。

 自然周期でもそうですが、排卵誘発剤やHCGを使用した周期でも大きくなった卵胞が破裂せずに残ることがあります(LUF:黄体化未破裂卵胞)。その場合は、次周期の卵胞の成長に影響が出ることがあります。
 当院では月経初期に来院していただいて、卵巣の腫れをチェックしております。卵巣刺激を始める前に超音波検査とホルモンの検査をして治療するかどうかを決めれば良いので、無意味に長い休止期間をおく必要は無いと考えます。[2009年11月18日]
(産婦人科医:佐々木雅弘)
年齢:45 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:3回 体外受精:6回
 37歳で結婚して不妊治療を続けております。私達夫婦は、顕微授精(ICSI)以外では妊娠が難しいことがわかっています。これまでに4つの病院で、採卵4回、移植6回をしましたが結果が出ていません。
 最後に治療したのは2年前で、クロミフェンでの刺激で2個採卵、1個は未熟卵、1個を移植しました。予後に生理のような出血が1ヶ月続きました。
 現在は、もう無理だろうという気持ちともう一度治療したいという気持ちがあります。先日、近所の産婦人科で、「45歳だと、50人に1人の確率で染色体異常が出る。本当に育てられるのかを考えた方がよい。子供が20才になったら65才。アメリカなどでは、着床前診断で異常のない卵子で治療ができるし、何かあっても救済制度がある。しかし日本では無理だ。」と言われました。
 遠距離で45歳の高齢ですが、セントマザーで治療(顕微授精)は可能でしょうか?気になっているのは月経周期で、1年ほど前から23〜27日と少し短くなっています。

 日本国内であれば、当院から排卵誘発剤の注射やお願いできる病院があります。遠方の場合(もしくはなかなか当院に来られない場合)は、近医で卵の状態を診てもらって、採卵、移植の時のみ当院を受診されている方もいらっしゃいます。
注射が必要な場合は、自己注射をされている方もいらっしゃいますから、遠方だからといって心配はないかと思います。 できるならば一度早い時期に受診されて、卵巣、卵管、子宮等の状態を診させていただけますか。当院での治療を希望されるなら、顕微授精(ICSI)も含めて、できるだけ早く治療を始められて下さい。[2009年11月18日]
(産婦人科医:永吉基)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:0回 体外受精:1回
 30歳のときに、子宮外妊娠、骨盤腹膜炎を起こして左卵管を切除しました。また、そのときの手術の影響で右卵管閉塞となり、5ヶ月前に体外受精(IVF)をしました。20歳のときに両側卵巣嚢腫で嚢腫のみを切除しましたが、現在は左卵巣に30mmほどの嚢腫が再発しています。右卵巣は、経膣エコーで確認が難しいくらい小さい状態です。
 体外受精では、生理3日目のFSH=19で卵巣機能が落ちていると言われました。また、潜在性高プロラクチン血症の診断を受け、テルロン半錠を内服しています。初めての体外受精ということで、誘発方法は主治医にお任せしてロング法となりました。生理5日目からHMG150単位を連日注射して、右卵巣から成熟卵が2個採取できました。左卵巣は、未成熟卵だったため採卵はしませんでした。卵子の状態は2つともグレード2で、1つは2日後に移植しましたが陰性、もう1つは5日目の初期胚盤胞を凍結保存して4ヵ月後に移植しましたが陰性でした。
 次回は採卵から始めることになりますが、私のような卵巣状態で、少しでも多くの成熟卵を採るにはどうすればよいのか、アドバイスをいただければと思います。主治医は、患者に選択肢を与えてくれる先生なので、私もたくさん勉強して治療に臨みたいと考えています。

 卵巣のう腫の詳しい内容はどうだったのでしょう。もし、子宮内膜症であれば、卵の数がかなり減っていくと思いますし、進行する可能性があります。
 ただ、子宮内膜症は卵子の数は減らしますが、質を下げることはありませんので、体外受精(IVF)で十分可能性があると思います。Long法は卵の数があまり増えませんので、あなたの場合、Short法のほうが有用だと思います。
 まずは月経3日目までの胞状卵胞の数と大きさを診てもらってください。胞状卵胞が5個以上であれば、アンタゴニスト法でよいと思いますが、2〜3個の場合はShort法のほうがいいと思います。[2009年11月18日]
(院長:田中温)
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