回答一覧 - 高度医療(体外受精・顕微授精・ギフト他) No.47 -
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:0回 体外受精:2回
 2年前から体外受精(IVF)をはじめ、昨年アンタゴニスト法で3回目の体外受精にチャレンジしましたが、卵胞が育たず中止になりました。その後、カウフマン療法を3クールしましたが、FSH=24と高くがっかりしてしまいました。
医師から「今後は、カウフマン療法を繰り返していきFSHが下がったところで自然周期で採卵しましょう」と言われましたが、カウフマン療法は効果的なのでしょうか?何クールが限界といった境界線はありますか?他の方法があれば、おしえていただきたいです。

 LH-RH テストをされてください。通常、FSHは5未満です。月経周期3日目までのFSHは1桁ですが、24という値は平均以上という値を示します。
 両側卵巣のう腫の手術をしているということで、卵巣の機能が廃絶している可能性があります。カウフマン療法でFSHが下がる可能性がありますが、これは卵巣機能が元に戻ったという訳ではありません。薬による影響だと思って下さい。何クールが限界とは言えませんが、妊娠率はかなり低いということをご理解してください。
 もしも卵子提供ということをお考えであれば、JISART (日本生殖医療標準化機構)では医学的に適用となります。[2011年4月4日]
(院長:田中 温)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:1回 体外受精:8回
 1年前に内膜の限局性について相談した者です。現在の状況ですが、AMHは20歳前半の値よりも良く、採卵のたびに多能性卵巣症候群(OHSS)になります。夫の検査結果は、WHOの基準を満たしていません。精索静脈瘤で、泌尿器科医師は手術をすすめますが、婦人科医師はすすめません。
 治療ですが、月経3日目までの胞状卵胞の数、大きさ、E2、 LH、FSH、AMHなどを測定し、アンタゴニスト法で12個採卵しました。
 1. 新鮮4細胞期を移植し、陽性。7週で流産(染色体検査で原因は母体)しました。その後は、4BB〜5BBの凍結胚盤胞を自然周期およびホルモン補充周期で3回にわけて移植しましたが、陰性、化学流産(β-hCG5)、化学流産(β-hCG10)という結果です。これまで合計7回の移植を行ないましたが、「新鮮の初期胚」が唯一の成功例でしたので、先月もアンタゴニスト法で10個採卵して新鮮5細胞期を移植しましたが、陰性でした。6細胞期、4細胞期、5BC胚盤胞、SEET用培養液を凍結していますが、今後の治療について助言をいただきたいと思います。
 1.セントマザーでは、桑実胚>8細胞期>4細胞期の順に妊娠率が高いようですが、私も少し培養してから移植したほうがいいでしょうか。
 2.2個移植は1個移植よりも妊娠率が高いのでしょうか。(現在通院中の病院は多胎を防ぐため、40歳以上の反復不成功例のみ2個移植できます)

 精索静脈瘤であっても顕微授精を行なえば受精が十分可能ですので、痛みなどの生活に支障がなければご主人に手術は必要ないと考えます。当院の凍結は、胚盤胞ではなく桑実胚、8細胞期、4細胞期で行います。これを融解した後、培養して桑実胚または胚盤胞で胚移植をしています。しかし、胚の凍結および移植に関しては施設で独自の方法をとっていますので、一概に当院の方法がいいとは言えません。主治医がすすめる方法でいいと思います。1個移植より、2個移植の方が妊娠率は少し高くなります。年齢のことも考え、主治医にも相談をされてはいかがでしょうか。ただし、身長・体重・糖尿病などの過去の病歴を考え、双子を妊娠する可能性を考えてからのほうがいいと思います。[2011年4月4日]
(院長:田中 温)
年齢:45 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:1回 体外受精:7回
 昨日、凍結胚盤胞を移植しました。移植直前(排卵後5日目)のホルモン値が、P4=27、E2=89でした。先生は、E2はちょっと低いと言っていましたが、移植になりました。念の為、エストロゲンの貼り薬を処方され、移植当日から貼っています。
 私のように移植時のE2が低くても妊娠される方はいらっしゃるのでしょうか?移植直前のホルモン値は、どのくらいがよいのでしょうか?実は、今回は見送った方がよかったのではないかと不安になっています。

 E2=89は決して低くはないと思います。P4をもう少し上げた方がいいのではないでしょうか。[2011年4月4日]
(院長:田中 温)
年齢:41 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:4回 体外受精:3回
 これまでの胚移植は、6回で、3日目8分割新鮮胚G2とG3の2個移植、3日目8分割凍結胚G1(自然周期移植)、3日目凍結8分割胚G2(ホルモン補充周期)、3日目凍結8分割胚G2を2個移植(ホルモン補充周期)、5日目凍結胚盤胞4AB-AB(ホルモン補充周期)、 5日目凍結胚盤胞4A-AB(ホルモン補充周期)という経緯です。
 しかし、すべて結果は陰性です。アシスティッドハッチングも行なっています。
 比較的良好な胚盤胞を得られても着床しません。子宮鏡検査では問題ありませんでした。このような状況でも今後妊娠・出産が見込める治療法はあるでしょうか?見た目のグレードが良好でもやはり卵子の質低下が原因でしょうか。

 体外受精・顕微授精で妊娠するためには、良好な胚と同時に良好な着床内膜が必要です。着床内膜の状態を判断する目安としては、内膜の厚さが10mm以上、また黄体ホルモンが一定の値を維持していることです。黄体ホルモンは低すぎても(20未満)、高すぎても(60以上)よくありません。黄体ホルモンの値が20〜50を維持できており、良好な胚盤胞であれば必ず着床妊娠するはずです。[2011年4月4日]
(院長:田中 温)
年齢:34 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:6回
 これまで、自然周期で6回の移植をしましたが妊娠しません。初回は採卵周期に7分割胚の移植、あとの5回はすべて凍結胚盤胞移植です。
 卵のグレードは良く、アシスティッドハッチングもしていますが、毎回着床の気配すらありません。
 自然周期だと着床時期にズレが生じてしまう人がいるとのことで、次回はホルモン補充周期を勧められました。ホルモン補充で人工的な子宮環境を作ることで解決できるのでしょうか。また、かなりのホルモン剤を使うとのことで、今後の採卵に影響がでないか心配をしているのですが、どうでしょうか。

 月経周期が規則正しい場合には、自然周期の方がホルモン周期よりも妊娠率が高くなり、流産率が低くなると思いますが、排卵日が正確に分からない場合には、かえって成功率は下がります。いかに正確に排卵日が確認できるかで結果が決まるとお考え下さい。ホルモン補充周期の移植は一般的に行われており、この方法で用いるホルモン量は胎児には影響ないと考えます。[2011年3月16日]
(院長:田中 温)
年齢:39 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:4回 体外受精:8回
 生理3日目からセロフェンを飲み、体外受精(IVF)を何回かしていますが、採卵時には卵は毎回2個ほどしか卵子がとれません。採れた卵はほとんど毎回受精し、初期胚までは進みますが胚盤胞まではいかず、成長がストップしてしまいます。初期胚を採卵周期に移植しても、凍結初期胚を移植しても妊娠には至りません。年齢も高く、卵の質が悪いからでしょうか?
 セントマザーの治療法は、個人に合った誘発法を考えるというものと聞いていますが、私の場合はどのような誘発法になるのでしょうか?誘発法を変えることによって、卵子の質がよくなったり、胚盤胞まで進んだりということはあるのでしょうか。また、セントマザーへ転院もする場合は、主人も一緒に行った方がいいのでしょうか?

 これまでに排卵誘発法の注射を使っての誘発法は行ったことがないのでしょうか。ないのであれば、注射とGnRHアゴニストやGnRHアンタゴニストを組み合わせる誘発法を行うことによって卵の質が変わり、良好な胚がとれる可能性はあると思います。ただ、年齢とともに卵の質は落ちていきます。年齢の因子が大きければ質は変わらないかもしれませんが、他の誘発法をやっていないのなら方法を変えることによって、卵の質を向上させる可能性はあります。
 初期胚は、排卵何日目の何細胞を移植していますか。移植は、胚盤胞でないとだめというわけではありません。卵によっては早い時期(4〜8細胞)で移植した方がいい人もいますよ。当院での転院ですが、ご主人が無理であればお一人で来院いただいても構いません。[2011年3月16日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:32 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:2回
 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)でAMH=41、男性ホルモン=60、黄体機能不全、重度の男性不妊(MD-TESE)のため、顕微授精(ICSI)からスタートしました。
 1度目はアンタゴニスト法(フォリルモン150で10日目採卵)で、卵胞9個中採卵数は4個、受精卵2個できて、1つ胚盤胞になり凍結胚移植しました。結果は化学流産でした。
 2度目はロング法で2週間前からプレマリン・ルトラールを飲み(HMGフェリング300で14日目採卵)、卵胞14個中採卵9個、受精卵3個でした。2日目4分割を凍結(G3)、残り2つは培養を続けましたが胚盤胞になりませんでした。採卵2日前のE2は3900でサイズは16〜20mmでした。この周期は、移植しましたがだめでした。
 担当医からは「顕微授精でもなかなか結果の出ないカップルもおり、結果が出ない方々は誘発方法を変えてもなかなか結果は出にくい。」といわれました。とりあえずメルビンを飲んでみることになり、最近太ったのでダイエットと体質改善のためしばらく休むことにしました。
 毎回の採卵で、移植に至る胚が1個という状態では凍結精子もお金も足りません。やはり夫婦共々悪い状態だと受精はしにくいのでしょうか?セントマザーでは私達のようなカップルにはどのような誘発剤が有効だと思われますか?卵の質を上げるため有効な治療法もあれば教えていただきたいです。また、セントマザーに転院する場合、凍結精子の受け入れはして頂けるのでしょうか。

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合には、卵の数がとれる場合には、質が高くならないことも良くあります。いかにして、卵を10個ぐらいに絞れるかが成功の鍵につながると思います。まずはPCOSの程度を確認してから、あなた方に合った排卵誘発法を見つけるということになると思います。
 なお、当院では、凍結精子の受け入れについては、主治医の了解があれば可能です。[2011年3月16日]
(院長:田中 温)
年齢:42 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:5回
 昨年、採卵周期で2段階移植して陽性判定となりましたが、心拍確認後に繋留流産しました。その後、凍結胚移植して化学的流産となりました。
 先日ショート法で採卵し、7個採取できました。3日目にグレード36分割、5日目に3BBと1BBを移植しました。採卵2日前のホルモン値は、E2値=1348、P4=0.4でしたが、BT当日のE2値=847、P4=58.8で、少し高いような気がしています。E2は、もっと下がるものではないのでしょうか?
 また移植後のP4の数値が高すぎるのはよくないと聞いたことがあるのですが、今のままで何か気になる点はありませんでしょうか?黄体補充は、4日おきのプロゲデポー250、デュファストンとプレドニンを朝晩1錠ずつ、バファリン、ウトロゲスタンは朝晩3錠ずつです。

 卵が複数ある場合は、移植当日のE2の下がり方、P4の上がりには変化がありますから一概にはいえません。あなたの場合、特に大きな問題はないように思われます。黄体補充としてP(プロゲステロン)のみで、E(エストロゲン)は使用していなのですね。当院ではエストロゲンの補充も行っています。
 プレドニン、バファリン、ウトロゲスタンはどのような理由で使用しているのでしょうか。以前に流産の経験があるからということでしょうか。施設によって黄体補充の方法は多少の違いがありますので、詳細は担当医から説明を聞かれることが大切です。[2011年3月16日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:30 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:1回
 1人目をセントマザーで授かりました。感謝しております。
 その時に凍結をした受精卵を保存しており、今年の夏あたりに二人目の治療を開始しようと考えております。受診のタイミングですが、出産後の凍結胚移植の場合は、月経周期のいつごろに受診すればいいのでしょうか?胚移植したい月の生理三日目でしょうか?それとももっと事前に受診するのでしょうか?

 断乳が終了し、月経が規則正しく基礎体温が二相性になっているのであれば治療は可能です。月経開始5日目までにいらしてください。排卵日を自然周期で見つけ、戻すようにいたしましょう。もし月経が不規則で排卵日が見つけにくい場合には、ホルモン剤を用いて移植することも可能です。[2011年3月3日]
(院長:田中 温)
年齢:44 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:0回 人工授精:3回 体外受精:4回
 40歳で、ロング法、凍結胚盤胞G3BBをホルモン周期で移植し、妊娠出産いたしました。
 第二子を希望して43歳で、ロング法で採卵した凍結胚盤胞G3BBを自然周期移植しましたが、妊娠にいたらず、次回また採卵からになります。
 ロングとの相性が良いようですが(数は少ないのですがよい受精卵ができます)44歳になってしまい不安です。
AMHは7.5、生理3日目のFSHは6〜7、LHは1〜2と低めです。高齢でロングに挑戦できる限界、およびリスクを教えてください。

 一般的にロング法は発育する卵胞の数が減りますので、年齢の高い方には向かないと言われております。ただ、個人差がありますので、あなたの場合には、いい結果が出ておりますのでロング法を行なって良いと思います。
 一般的には、ロング法よりショート法の方が年齢の高い方には向いていると言われておりますが、これも確定的なものではありません。排卵誘発法は個人差がありますので、主治医の先生にあなたに最も合った誘発法を見つけていただければ良いでしょう。[2011年3月3日]
(院長:田中 温)
年齢:40 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:20回
 IVF治療歴5年になります。移植後に使用するナファレリールはどのような作用・効果があるのか知りたいです。
 自然周期で採卵を行っておりますが、結果は化学流産2回、繋留流産が1回です。
 移植後はデュファストン、ウテメリン、ロキソニン、プレドロニゾン、エストラダームを内服・外用してきましたが、数ヶ月前から、胚移植後(採卵から6日目)にナファレリール点鼻薬を1回だけスプレーするように指示があります。
 移植後に使用するナファレリールはどのような作用・効果があるのでしょうか。LHサージ目的ではなく移植後の使用なので不思議に思っています。

 ナファレリールとはGnRHアゴニストです。このスプレーを1回投与することにより、脳下垂体から分泌されるホルモンの濃度を高め、その結果、卵巣から分泌されるエストロゲン、黄体ホルモンを高まることにより着床率を高めようとする方法です。しかし、広く使われている方法ではありませんので、一般的な治療ではないように思われます。
 なかなか良い結果が出ない場合には、自然周期にこだわらず排卵誘発を行い、採卵数を増やすということも1つの方法ではないでしょうか。着床率を改善するという見方ではなく、移植する胚の質と数を増やすという方向性を考えられてもいいと思います。[2011年3月3日]
(院長:田中 温)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:不規則 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 男性不妊で治療をしています。卵管造影・ホルモン・不育症スクリーニングの血液検査では特に異常は見つかっていません。これまで通水や排卵誘発(セキソビット・プレマリン・HMGなど)をしながら、人工授精(AIH)を1年間行いましたが、陽性反応がでたことがありません。
 そろそろステップアップを考えており、セントマザーに転院しようと思っているのですが、排卵誘発をした人工授精の翌周期からすぐに体外受精(IVF)の治療に入ることは可能ですか?年齢のこともあり1周期でも無駄にしたくないと思っています。すぐに治療が開始できるならば、初診時にもっていくもの、伝えること、初診のタイミングなどを教えて下さい。
 現在は、高温期にもHCGを使用しているのですが次の治療に影響はないでしょうか?それとも、少しお休みをしてから治療に入る方がいいでしょうか?

 男性不妊症にも軽症から重症まであります。それぞれの症状に応じた治療法を選択することが重要です。すなわち、重症の場合にはタイミング、人工授精は選択せず体外受精、顕微授精に入られることをお勧めいたします。できれば一度、精子の状態を直接拝見させてください。HCGはあまり多く打たない方がいいと思います。
 体外受精の治療に入る前には十分な説明を受け、ご理解されることが必要だと思います。また、人工授精後に卵巣が腫れているような場合には、卵巣機能の回復を待ってから治療に入られた方が良い結果につながります。初診はいつでもかまいませんが、もし時間的に余裕のある方であるならば、月経がはじまって初期(5日目)までにいらしてください。もし、精子凍結をご希望の場合には、初診時に可能ですので、2〜3日禁欲されていらしてください。[2011年2月4日]
(院長:田中 温)
年齢:30 基礎体温:不明 生理周期:規則的 タイミング法:5回 人工授精:0回 体外受精:0回
 今後の治療方法についてアドバイスをお願いします。
 FTカテーテルを一度受けましたが両側卵管閉塞のため、体外受精(IVF)を受けようと思っています。
 もともと、卵巣に卵ができやすく両卵巣に各10個以上できてしまいます。月経周期は40日前後、高温期はある時とない時がありますが、毎月生理はきます。
 身長158cmで体重47kg、LH= 5.5、FSH= 5.1、E2=11.5、プロラクチン=13.5、テストステロン=0.5、インスリン=4.0、アンドロステジオン=3.4でした。抗ミュラー管ホルモン(AMH)の数値は80.2と高い数値でした。再検査を行った結果は、AMHは正常値だったのですが高い数値だと体外受精を行うにあたってどのような影響がありますか?
 なお、誘発はフェマーラとアンタゴニスト法で行うようです。多嚢胞性卵巣の疑いなので未熟卵子体外培養(IVM)もすすめられましたが、どのような治療法がよいのでしょうか?卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になりやすいとのことで治療前からとても不安です。どういったことに気をつけるべきでしょうか?

 多嚢胞性卵巣(PCO)と多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは全く違います。あなたは月経周期が規則正しく、ホルモンの値を見ますと多嚢胞性卵巣症候群ではなく多嚢胞性卵巣のようです。ただしLHがFSHより高くなっていますから、多嚢胞性卵巣症候群の可能性がありますので、是非、負荷試験(LH-RH)を行って下さい。もし、LHの値がFSHの値よりも非常に高くなった場合には腹腔鏡下のドリリング(卵巣焼灼術)が最も有効です。あえて、リスクの高いIVMを行う必要はありません。
 また、フェマーラとアンタゴニスト法という誘発法は、卵の数を減らすためには有効かもしれませんが、できるならばある程度(10〜15個)の卵が採れた方が累積妊娠率は高くなります。そのためにも、腹腔鏡下の卵巣焼灼術を先に行うことがベストと思います。そのためにはPCOSかPCOの判別をしっかりと行って下さい。
 もし、PCOSではなくPCOの状態で腹腔鏡下の卵巣焼灼術をしますと、卵巣機能が軽く低下してしまうというリスクがあります。あなたの年齢でのAMH値の平均は30pmol/ml位です。再検査で正常値であるなら心配ないでしょう。AMHが非常に高くなる場合は、腫瘍が考えられますが正常な卵巣との区別は超音波で容易にできます。[2011年2月4日]
(院長:田中 温)
年齢:38 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:回 体外受精:回
 内膜症(チョコレート)があります。D3でFSHは10前後で、AMHは測定したことがありません。
 今までに採卵を4回行いましたが、3回は分割せず、1回だけ3個採卵できて2分割で凍結、そのうちひとつを戻しましたが残念ながら妊娠には至りませんでした。
 卵の質が悪いのは年齢のためだと思っていましたが、内膜症も関係しているのではと思うようになってきました。
 現在のクリニックでは低刺激のみしか行っておらず、これ以上の治療はおススメしないと言われ途方にくれています。もし治療を続けるのなら偽閉経療法で内膜症を小さくしたのちに採卵だったらやってみてもいいでしょうと言われています。
 まだ諦めたくないので、転院して刺激周期での採卵にしたらどうだろう?内膜症の治療をしてからの方がいいのだろうか?と毎日悶々と悩んでいます。
 私の年齢で内膜症がある場合、刺激周期での採卵は有効でしょうか?それとも根気強く低刺激で採卵する方が良いのでしょうか?アドバイスをよろしくお願いいたします。

 内膜症の程度によっても状態が異なると思いますが、あなたが刺激周期でやってみたいという強い意志があり、現在通院中の病院では行えないとなれば、転院せざるを得ないと思います。
 内膜症があっても両側卵巣に複数の胞状卵胞がみえるのなら、刺激周期での採卵もやってみる価値は大いにあると思います。低刺激ではおそらく、今の状況より良くなっていくという可能性は低いのではないかと思われます。[2010年1月21日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:43 基礎体温:二相性ではない 生理周期:規則的 タイミング法:2回 人工授精:3回 体外受精:0回
 初めての体外受精(IVF)へ向けて、治療をしていましたが、突然の卵巣機能不全と診断されました。FSHの上昇(40.0)とAMH低値(3.8)です。
 2ヶ月前までは、フォリスチムとHCG、デュファストンを使用して人工授精(AIH)を行いましたが、セカンドオピニオンで受診した医師より、年齢の割には、卵巣に負担がかかる治療と指摘されました。
 今月から、他院の卵巣機能不全外来を受診し始めましたが、プレマリンとソフィアCを服用する事になりました。これは、何周期続くのでしょうか・・・。また、服用中の排卵はなくなってしまうのでしょうか。これらのお薬を服用後は、卵子の質がよくなるのでしょうか。教えて下さい。

 43歳という年齢を考えると、FSHの上昇、低値のAMHはありうると思います。今後、卵巣機能はさらに低下していく可能性があります。何周期続けるかどうかは、これまであなたの状態を診てきた主治医にご相談されることが最もよいと思います。
 プレマリンとソフィアの内服中は、原則、排卵は抑制されるので起きません。リズムが整って、その結果としていい卵が育ってくる可能性はあります。[2010年12月15日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:36 基礎体温: 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:4回 体外受精:1回
 はじめての体外受精(IVF)の結果は×でした。
 体外受精は回数を重ねるごとに成功率は上がっていくのでしょうか?平均何回目ぐらいで成功するものでしょうか?

 回数が問題ではなく、卵の質の問題ですから、状態が悪いのであれば体外受精(IVF)の回数を重ねることで成功するものではありません。ですから、今の状態では何とも言えません。
 今回の治療はどうだったのでしょうか。1.排卵誘発法 2.成長した卵胞数 3.採卵数 4.分割胚の数 5.分割の精度(4細胞、8細胞など)、他に卵の成長の状況、子宮内膜の状態などによって変わってきますので、その点をふまえてご相談ください。 [2010年12月15日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:29 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:6回 人工授精:5回 体外受精:1回
 現在、体外受精(IVF)を試みています。IVFを始めてからわかったことですが、自然採卵を行うと必ず空胞で、セロフェンを使用しなければ卵が採れません。セロフェンを使っての卵は良好で着床しましたが、残念ながら流産となってしまいました。
 実は、これまでのタイミングや人工授精(AIH)を行ってきて、私が希望をしても、病院の方針とのことでセロフェンなどの排卵誘発剤は処方していただけませんでした。それならば、これからも誘発剤を使ってタイミングやAIHを行えば成功するのではと思い、どうにも割り切れません。体外受精をやめて、ステップダウンするのもひとつの方法でしょうか?

 主治医の先生は、どのような理由でセロフェンなどの誘発剤を使用しないと仰っているのでしょうか。もしも先生との関係がうまくいかないのであれば、転院も考えて、あなたが納得する先生に診て頂く方がよいのではないでしょうか。
 排卵誘発剤を使って人工授精(AIH)を数回行ってみるのもひとつの選択肢だと思います。もしくはこれまでにAIHを5回してきていますから、排卵誘発法の注射を使用した方法にきりかえて、体外受精(IVF)を行っていくのもひとつだと考えます。[2010年12月15日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:35 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:回 人工授精:3回 体外受精:5回
 中等度乏精子・無力症・奇形精子ですがDNA検査では異常はありません。2ヶ所のクリニックで顕微授精(ICSI)を5回受け、初期胚移植を6回行っていますが、結果は全て陰性です。誘発方法はロング・ショート・アンタゴニスト・クロミッドと、色々と試しています。女性側の検査は異常なしで、AMHは35です。
 採卵数は12〜35個、受精率は90%程度、3日目は分割も問題ありませんが、毎回その後の培養が進まず、桑実胚にもならないことが多いようです。今までトータルで30個以上の胚を胚盤胞培養しましたが1個もなりませんでした。培養液も手技も変わることを期待して転院もしましたが、結果は同じで、行き詰まっています。
 通院中のクリニックでは次回の治療法として、未熟卵体外受精と自然周期体外受精の説明をうけました。誘発法も色々と試していますし...分割が停止する原因としては何が考えられるのでしょうか?次回の治療法はどうおもわれますか?夜勤がある仕事をしていますが、不規則な生活は止めたほうがいいでしょうか?

 あなたの場合、分割が進まない原因は2つあるものと思われます。
 1つは、男性因子です。DNA上問題なくても良好な精子が無い可能性があります。
 また、もう1つは女性側の因子として、卵の質が悪い場合が考えられます。
 ただし、4日目以降、桑実胚以上に育たない原因が、精子側によるものか、卵子側によるものかははっきりしません。主治医は、女性側因子を考え、未熟卵の体外受精(IVF)、自然周期の体外培養、自然周期の体外培養を考えているのでしょう。
 当院でもいろいろな排卵誘発法を行って同様であれば、同じ方法を行ったと思います。体力的にきついのであれば、夜勤がない勤務の方がいいと思いますが、支障なければ問題ないでしょう。[2010年12月2日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:34 基礎体温:二相性ではない 生理周期:規則的 タイミング法:10回 人工授精:7回 体外受精:4回
 低刺激で2個の卵子が採れ、6日目で胚盤胞になり1個を戻しましたが、結果はダメでした。今回は、もうひとつの胚盤胞を移植するので、生理3日目から エストレースを服用していますが、D12で子宮内膜が6mmしかありませんでした。D15でも、6.5mmです。心配で、担当医に大丈夫かと確認したところ、これ以上厚くならないけれども大丈夫だと言われました 今日、デュファストンが処方されました。デュファストンも内膜が厚くなると聞いた事ありますが、望みはあるのでしょうか。内膜の状態も綺麗なので、厚くならなくても移植するとのことですが、大丈夫でしょうか。

 いろいろな治療をしていても子宮内膜が8mm未満となかなか厚くならないケースはあります。子宮内膜が厚くならないことも妊娠しない原因の1つにあげられます。子宮内膜が厚くならない場合、当院では、1.長期培養 2.ホルモン補充 3.アシステッドハッチングという方法をとっています。
 1.長期培養は、採卵後2〜3日移植せずに、4〜5日後桑実胚や胚盤胞に卵を成長させて移植する方法で、これはあなたが行われている方法です。
 2.ホルモン補充は、移植日から卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤や黄体ホルモンのみを摂取する方法です。お薬は、内服、腔座薬の他に、黄体期にHCGを3〜4回(1〜2日おき)に注射するなど、色々とあります。デュファストンもこれに該当します。
 3.アシステッドハッチングは卵の殻が厚く着床しにくい場合に卵の殻の一部をカット(切開)したり、薄くすることによって着床しやすい状況をつくる方法です。
 子宮内膜が薄くてもこれらのことを行うことで、着床するケースはありますから、主治医に相談するといいでしょう。[2010年12月2日]
(産婦人科医:永吉 基)
年齢:33 基礎体温:二相性 生理周期:規則的 タイミング法:3回 人工授精:7回 体外受精:1回
 AMHが測定感度以下言われ、卵巣の予備能がかなり悪いことは理解しています。
 ショート法を行いましたが左卵巣のみに卵胞が2個しかできず、採卵は1個しかできませんでした。
 顕微授精(ICSI)を選択して受精しました。胚はG1で良好でしたが、3日目にはすでにコンパクションが始まっていました。先生からは桑実胚まではいっておらず、分割が1日弱くらい早いくらいだという説明でした。
 私は、胚の分割スピードが早い分にはあまり問題はないと認識していましたが、こんなに早い時期にコンパクションが起こることもあるのでしょうか?写真を見ると8分割にも至ってないのにコンパクションが起こっているように見えます。このような場合、今後はどうすべきですか?

 ヒトの胚は一般的には8分割ではコンパクションは起こさず、12〜16細胞あたりからコンパクションが始まります。問題はコンパクションが起きた後、胚盤胞になれるかどうかということでしょう。コンパクションが異常に早期に起こった場合には、その時点で胚の進歩が止まってしまいますので、1日培養を追加して様子を見れば、判断は可能と思います。また逆に早くコンパクションを起こしても、胚盤胞になるようであれば、十分着床可能だと思います。[2010年12月2日]
(院長:田中 温)
質問一覧に戻る   |    このページの最初へ   |    TOPページに戻る